駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

マスクの不思議

2009年02月03日 | 世界
 風邪が流行るとマスクをした患者さんが増える。マスクには覆い隠すと言う意味があるのだが、本当にそれを実感する。一般の人は通りすがりのマスク美人に、ちょっとマスクを取ってみてとは頼めないわけだが、我々は咽喉を見るのでちょっとマスクを外して下さいと言える。
 人間と言うのは妙なもので、ほとんど無意識にマスクを外した顔をある程度想像している。そういうわけで、実際にマスクを外されて心の中でちょっとびっくりすることがある。マスクおじさんでは驚いてもがっかりという要素はないが、女性、特に若い女性の場合は、問題発言だろうか、ちょっとがっかりというのが多い。裏を返せば目の美しい人が結構いるということだ。綺麗な目をされているさぞかしと思わせられるのだが・・・。
 人間の視覚による認識ではどうも全体の印象が優先される傾向がある。勿論、部分も全体に影響を与え、画竜点睛を欠くような場合もあるのだが、折角の美しい目や鼻や唇といった部分の美しさは孤立しては生かされない。全体のバランスの中に美しさはあるらしい。ある程度訓練を積まないと部分の美しさを鑑賞することは難しいようだ。
 実はもっと重要なことがある。単なる形の美しさは、視覚で一瞬に判断されてしまうのだが、その視覚に理解や評価が影響を与えるのだ。目は綺麗でも団子鼻だったり、えらが張っていたりで、バランスが悪く美人でなくてちょっとがっかりしても、その人を知るにつれ控えめで優しい人だったりすると、不思議なことに美人に見えてくるのだ。控えめで優しいという情報は不動不可分のもので、最初マスクを外した時のちょっとがっかりした印象は消え去り、思い出すことさえできなくなる。
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