駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

寒波襲来

2008年12月27日 | 自然
 昨日からぐっと冷え込んで、朝の通勤時手がかじかむ。シベリアからの寒気団が日本列島を覆ったのだ。20分程なら痛いような寒さも平気だ。たぶん故郷と当地とでは気温が4,5度違うと思う。駅前医院は海に近いだけ山国より暖かい。当地の人はおお寒むなどと震え上がっているが、私には零下2,3度など身が引き締まり気持ちよい。本当の北国の人には零下12,3度のまつがいでないのと言われるかも知れないが。
 寒い朝をカーンとかシーンとかキーンとか冷え込んだと表現するが、透き通って清潔で厳しい感じがあるからだろうか、どこか微かに神聖な気配さえ感ずる。この程度は寒さの内に入らないのだが、それでも連想が働く。
 ナポレオンを敗走させ、ナチスを退けたロシアの冬将軍、湯たんぽ代わりに古女房を貸し出す?北極圏イヌイット達の冬。きっとそこでは太郎を凍らせ次郎を凍らせ、ブリザードが吹き荒れるのだろう。外出は厳禁、すぐそこと迂闊に歩いて行こうとすれば、ホワイトアウトで道に迷い、冷えた身体を温めようと火を熾しそこねれば、死の眠りが待っている。車なら大丈夫と思いきや、エンストが命取りとなる。
 長い厳しい冬を生きている人達は、凍てつく道路に止まった車を見逃さない。おい、大丈夫かと必ず声を掛けてくれる。見知らぬ人にも冷えた身体に暖炉の火と温かいスープが与えられる場面を何度も見たり読んだりしただろう。
 歴史と同時に気候も異国を理解する鍵だ。牛追いの冬もハンマースホイの絵もどこか淡い光と長く厳しい冬を知らずには理解できまい。
 身体には温暖な気候が楽だが、精神には厳しい寒さが時に必要かも知れないと認知の忍び寄る灰白色の脳味噌で考えている。
 
 
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