駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

年金とは何かを学ぶ

2017年05月07日 | 

        

 高橋洋一さんという方が居る。元財務官僚で独立不羈の経済財政に関する論説を書いている。数学科出身というユニークな経歴の持ち主で、歯に衣を着せない官僚批判をされる。

 優れた人だとは思っていたがどうも窃盗で捕まるという不祥事があってから、人物に不信感を抱き敬遠して著書を読んだことはなかった。しかし先日たまたま本屋で「年金問題」は嘘ばかり(PHP新書)を見かけたので、年金のことはよく知らないので敬遠せずに一冊くらい読んでみようと買ってみた。

 この本では年金の仕組みが分かり易く説明してあり、成る程そういうことかととてもよく分かった。年金が保険方式できちんとした数理設計がされており、一定の経済成長が確保されれば破綻しようがないものであることが理解できた。

 ではなぜ人口が減少し高齢者の年金を支える若者の負担が増加し、年金が危ないなどという通説がまかり通っているかと言えば、その方が都合がいい人達が居て組織があるからだと書いてある。つまり増税を望む財務省や厚労省にとっては社会保障への不安が高まっている方が有利だし、年金は省庁の大きな利権や天下り先の源泉になっているので、年金が安心なものと知れたらそのうまみが消失するからだと書いてある。

 高橋さんの説明は俯瞰を示し論理的なので非常に分かり易いのだが、一定の経済成長がこれからも確保できるだろうかという点と、官僚がそこまで省益で動いているものだろうかという点に疑問を感じた。よくここまで官僚を悪く言えるなと思うが、実際中にいた人なので相当本当なのだろうなと呆れてしまう。

 狡いというか己ばかりが可愛いのは民官を問わず、年金保険料を払わないで知らんぷりの人達が五万といるらしい。税金もクロヨンと言われ相当の税逃れが居るようだ(ちなみに内科医は収入がガラス張りで、世間で言われているような脱税はまったくありません)。そこで税や保険料を徴収する歳入庁を作れと主張されているが、これには全くその通りと思った。しかしこれにも省益の壁があり、おいそれとは出来ないようだ。

 どうもこの本に書いてあることは八割方真実のようで、いくつかの疑問や一寸品性に欠けるところはあるが、国民の大多数に読んで欲しいと思った。特に民進党の政治家には読んで欲しい。野党がまともで力を付けないと国が躓く。

 

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