駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

訴えが多すぎて

2021年12月16日 | 診療
      

 胸焼けがする膝が痛い眠れない・・と一度に色々訴えられると診る方が付いて行けず、受付から処方追加の電話を貰うことがある。訴えが複数でも関連していれば忘れることはないのだが、ついでと言ってはなんだが湿布も貰っておこうと話の合間に訴えられると聞こえても脳に入らず処方し忘れるのだ。つまり病気にはストーリーがあり、始まり経過反応などから理解するので飛び込みの注文は別口になり外れてしまうのだ。
 微熱咽頭痛咳痰鼻水などの症状は感冒という一つのストーリーで理解できるので数が多くても全く問題ない。これは医業に限らず、人間が作業する時の特徴だと思う。例えば、中華の達人が目にもとまらぬ早業で炒飯を作ることができるのは炒飯を作る作業が一つのストーリーとして頭に入っているからだ。
 勿論、病気には多彩な症状を呈するものもあるが経過を聞けば脈絡があり、知識と経験があればストーリー(疾患像)が思い浮かぶのだが、一カ所で必要な薬を貰ってしまおうとか憂きことはなんでも話そうとかという患者さんのバラバラの訴えには短時間で対応しきれないことがある。医者は聖徳太子ではございません。
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