駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

年金暮らしだから

2021年12月10日 | 診療
                 

 医療費についての不満を受付で言われる患者さんは時々おられるが、医師に直接言う人は希だ。
 先日、糖尿病で通院している肥満体のHさんに、間食しないで身体を動かしてますかと聞いたところ、食べちゃってるねえと言いながら体重計に乗られた。88kgと減量の兆しはない。今日も血糖検査をすると告げたところ、
「この頃毎回検査をするけど、検査値は良くなってるじゃないか」と不満げに言われた。えっという顔をしたら、
「年金生活になったんで検査代が懐に響く」と答えられた。自分としては検査は必要最低限なものにしているつもりなので、
「間食していると言われたし体重も減ってないので今日もと思ったんですが、じゃあ今日の検査は止めて次回にしましょう」とキャンセルした。
 本当は血糖値以外にも肝機能や腎機能も数ヶ月に一度は検査したいのだが、やりにくくなった。血糖とエーワンシーの検査でも千円増なので確かに負担に感じるかもしれないが、健康のためだし自分の間食を棚に上げてとあまりいい気はしなかった。もう十年通っている患者さんで退職されていることも知っていたのだが十分な意思疎通ができていなかったらしい。病院へ行けばもっと、外国に行けばもっともっと費用が掛かるんだが、医療費に対する感覚は患者さんによってかなり違うようだ。
コメント
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