六十年前の夏はこんなに暑くなかった。今は朝から暑い。蝉の鳴き声が何だか小さくなった気がするのは聴力低下のせいだろう。十年くらい前まで木の下を通ると蝉の合唱で頭がクラクラしたものだ。
青い夏空と蝉の声、人っ子一人居ない小学校のグラウンドは百年一日に見えるけれども、二千二十一年の夏はコロナウイルスが蔓延してきている。姿は見えず音もなく広がる災いに一体どう立ち向かえば良いのだろう。泥縄で下手な嘘をつく現内閣は頼りにならない。一人一人に本物を見極める力が求められる。
医院も来週夏休みを貰う。昨日は普段の倍の患者さんが来院され、立って待っておられる患者さんも居られた。一昨日はさして混まなかったのに、皆考えることが似ているのだ。付いてくれた看護師さんがたまたまYさんで円滑に診察ができ十二時までに六十人を診ることができた。Yさんはせかすことなく手早く介助してくれる。笑顔を絶やさないが余計なことは言わない。得がたい人だ。きっとどこにもYさんのような看護師が居て、忙しい外来病棟が凌げているのだ。しかしいつまでもとは参るまい。公平無私頭脳明晰の優れたリーダーを登場させねば。