駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

モラルトリヤムの時代

2020年10月21日 | 町医者診言

        

 

 四十年前、人口に膾炙した言葉にモラトリアムというのがあった。大人になる年齢になっても大人になり切れない若者達をモラトリアム人間などと呼んだ時代があった。

 それに似せて言葉遊びでモラル取り止むをモラルトリヤムと書いてみた。今や倫理道徳は意味は残っていてもその価値は低くなってきた。これは政界で顕著な現象で芸能界では倫理道徳もどきが幅を利かせている。

 さすがにそのままの嘘はまだ通らないが、巧みに誤魔化したり言葉尻を捉えて逆切れして見せればお咎めなしで通る時代になってしまった。不祥事を起こしても睡眠障害で暫く休養すればしれっと復帰出来たり、難問山積で窮地に追い込まれ体調不良になり退場しても病人を責めるなと不問に付される。

 声なき声を聴かず、声出す声を拡声させあたかも多数の応援のように響かせる時代になった。

 トランプは感染症の専門家のファウチを愚か者と攻撃している。他人を誹謗中傷すれば己の価値が上がるのだろうか。そんな馬鹿なと思うのだが、それが大統領の振る舞いで支持する人が居るのだから驚いてしまう。

 そんなのおかしいと思うのだが、つぶやきではかき消されそうだ。束ねて聞こえる声にして柔軟で瑞々しいモラルを蘇らせたい。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする