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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

継続に効果あり

2021年10月07日 | 医療
              

 内科の生活習慣病と言われる慢性疾患の多くははっきりした症状がない。血圧が高くても血糖が高くてもコレステロールが高くても初期には症状がない、否かなり病気が進んでも症状が出ないことも多い。そのため健康診断などで病気が見つかり通院を始める患者さんも多い。自発的でなかったせいかどうかわからないが、時々折角五年十年通院して治療していたのに途中で通院を止めてしまう患者さんがおられる。
 仕事や家庭の事情で忙しく通院が途切れたが、自覚的には変わりがないのでまあいいやというのが一つのパターンだが、もう一つよくあるのが転居した時にどこへ行ったらよいか分からないので通院を止めてしまうというのがある。勿論、転居する時にかかりつけ医に申し出て紹介状を書いてもらい、転居後電話帳やネットで調べたり近所の人に聞いて適当な医者に掛かればよいのだが、忙しかったのか億劫だったのか何も貰わず新天地に来てしまい、まあいいや?と放置してしまうらしい。
 先日も何だかだんだん痩せてきたと近所の人に連れられてやってきた糖尿病の患者さんが居た。連れ合いを亡くし、二年ほど前に老後は故郷でと戻ってきたそうだ。聞けば二十年前から千葉の方で高血圧で通院しており軽い糖尿病もあると言われていたそうだ。検査すると軽いどころか重度の糖尿病だった。まだ間に合いそうだが、元に戻らない障害もありそうだ。とても残念だが、痒くも痛くないと自己判断で放置する人は数多い。 
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がんは同じ病気ではない

2021年09月15日 | 医療
          

  がんは百種類以上あり放置すれば命取りになるが経過は症例によって様々だ。五十年前は癌の診断は死刑の判決同然で、私が医者になった頃は本人に告知しないことが多かった。
 今は必ず直ぐ死に至るわけではないし、病気はきちんと説明するのが主流になっているので本人にも告知するようになっている。こうした流れになったのには色々な理由があるだろうが、今は患者医師共に当然のことと定着している。
 癌が治る時代になったのは診断と治療の進化によるもので、五十年前とは隔世の感がある。ただ今でも進行癌は難しい。
 早期発見が癌を治す一番の方法だが、今までの症候からアプローチする診断学では限界がある。というのは早期癌は症状がない(あっても微か)ので健康診断や通院中に偶然見つかるものが多い。
 現在の内科診断学講義の様子を知らないが、病歴診察検査の鉄則は残っていてもその比重や内容は変わっているだろう。
 幸い症状があって見つかる場合も最近は進行する手前で見つかることも多く、癌の治療後十年二十年と元気に通っておられる方も数多い。風邪や腹痛の診療中に癌が見つかることがあるのは診る方がいつも癌はないかあれば見つけてやろうと注意しているせいもあるだろう。人間野球選手でなくてもヒットを打ちたいという気持ちは共通している。
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夏空が恋しい

2021年08月19日 | 医療
             

 昨日の夕方少し青空が見えたが今朝はまた曇っている。もう一週間以上夏空を見ていない。あれこれ異常続きだが、気候もおかしい。というより地球温暖化がもたらした異常気象が新型ウイルスのパンデミックなどを引き起こしたのかもしれない。
 このまま夏が終わるのだろうか、それとも蒸し暑い夏が戻ってくるのだろうか。蒸し暑いのは嫌だが、それでも例年通りの方が気持ちが落ち着く。
 供給量が減ったようで七月に比べると新型コロナワクチン接種数は減ったが、それでも毎日二十人ばかりに接種している。六十代のおばさんが打ち終わった後に息子に特別に打ってくれないかと言い出した。人との接触が多い仕事らしい。残念ながら当地ではまだ三十代の基礎疾患のない人に接種はしていない、申し訳ないが無理ですと説明したのだが、東京など若い人に打っている地域もあるし、大企業などでは早々と社員に接種したところもある。よく考えれば不公平に思えるが、接種総数は公表されても、何処でどれくらいどんな人に接種されたかという数値はよく分からず、ちゃんとした議論も説明もできない。本当にワクチンが十分あればこんなことは起きないはずだが。
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迫り来る現実の危機

2021年08月17日 | 医療
       

 コロナに打ち勝った証次いで安心安全のオリンピックは希望的言い回しに過ぎなかったが、同じ人が次に口にした軽中症コロナは自宅療養で、は目の前にある現実なのだ。
 救急車の受け入れ先がなくなったらどうすればいいか、週に一回程度救急車を呼び、週に二三例の重病患者を総合病院へ入院依頼している当院でそんなことになったらと考えると冷や汗が出てくる。患者の選別をどうやってすればいいのか、緊急手術や処置が必要でない脳梗塞や肺炎の高齢者は在宅でということになりかねない。
 自宅療養では家族に感染する。軽中症コロナ患者の入所施設を急遽何倍にも増やす必要がある。東京ならオリンピック村を地方都市ならビジネスホテルを転用すると良いのではと愚考する。
 帰省しないで会食はしないでデパ地下には行かないで・・は効果を明らかにしなければ馴れてしまう。効果のない守れないダメダメダメは心を暗くし不信感を強めるだけだ。言いっぱなしで注意しただろ注意したでしょと言い逃れる上司にはさようなら。
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かかりつけ医を虚仮にすな

2021年06月15日 | 医療
         

 一ヶ月ほど前から政府は突然新型コロナワクチン接種に異常な力こぶの入れ始め、自衛隊員まで動員して押し進めている。接種が進むのは良いことだが動機がオリンピックに間に合わせるのためのようでどうも釈然としない。
 菅首相はG7でオリンピック開催支持を要請されたようだが、やめなさいと言う首脳はいないだろう。やめることにしましたと言えばやむを得ませんねと言うだろう。なぜ主催者でない首相がG7でオリンピックオリンピックと口にするのかといえば、政治課題にしているからに他ならない。やると言ったからには槍が降ってもやるぶれない私をアッピールされたいように見える。
 三月からインフルエンザワクチン接種と同じように始めていれば、大規模会場設置や自衛隊援助要請などしなくても七月末には余裕で高齢者ワクチン接種は完了していた。菅総理もインフルエンザワクチンは一日七十万接種できていると認識している。それなら、同じシステムで新型コロナワクチンも一日七十万接種は可能な理屈なので、医師会と協力して三月から始めれば良かった。
 確かに医師会長は問題のある人物のようだが、新型コロナ対策が圧力団体の医師会のせいでスム-スにゆかないなどと言い掛かりをつける政府要人竹中平蔵は自分たちの失敗を人に押しつけようとしている。  
 医師会と行政が協力してコロナワクチン接種が上手くいっている自治体もある。当地の医師会員には日曜日を返上して百人接種している医師も居るし、当院でも頑張って週に二百人接種(インフルエンザワクチン以上)している。今や絶滅危惧種の金儲け開業医という旧いイメージで難癖を付けないで欲しい。
 最大の問題は医師を含めた国民から信頼を得られない、科学的に物事を考えることのできない首相を筆頭とする現政権にあると申し上げたい。信頼があれば圧力をかけなくても利益誘導しなくても自衛隊を動員しなくても、医師会も国民も動く。もっときちんと説明して科学的に物事を進めて欲しい。
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