久遠寺の境内から麓を見ると、あちこちに桜が咲きみごとな眺めである。ここまで来たからには、ロープウェイで身延山に登り、下界を見たくなった。もしかして遠来の訪れ人を歓迎して、富士山が顔を出すかも知れない。
同じことを考えているのか、ロープウェイ乗り場は長蛇の列で、40分の待ち時間である。乗ってしまえばわずか7分で、1153mの身延山の山頂に着く。はるか下を蛇行する富士川に沿って、身延の町並みが見える。
ところで富士山はどうなったのであろうか。山頂と麓の富士川の画像から察しが付くが、この日は富士山は見えなかった。でも反対方向には時々北岳が見えたから、それほど悪い天候ではなかった。
佐渡から赦免された日蓮は、鎌倉で幕府に対し三度いさめるのであるが、「三度聞き入られずば山林に身をかくせ」の故事に従い身延山に入山した。以来この山からは一歩も出ず、山を離れたのは61歳の墓参の旅で、この途中に武蔵国池上で亡くなった。(シダレザクラのシリーズ終わり)
日蓮聖人御遺訓
「衆生(しゅじょう)の心けがるれば土(ど)もけがれ、心清ければ土も清し」