AND SO ON

世界の片隅から、愛をささやいてみたり @goo

笑うオーケストラ

2005年06月17日 | 日記・エッセイ・コラム
決して紛失もしたくないし、消去もしたくない
<絶対永久保存版>のビデオがあります。

1981年、アメリカの喜劇俳優ダニー・ケイが
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団を指揮した音楽会。
当時ダニー・ケイは68歳でした。
日本では、たぶん90年代に入ってから
NHKが『世界のショー』という番組で紹介してくれました。
進行役の黒柳徹子さん(お若い!)が
「品が良くて、洒落ていて、笑えて、魅力的で」
と絶賛した1時間15分。

ニューヨーク・フィルという一級のオーケストラを向こうに回し、
ダニー・ケイは飄々とユーモラスに指揮を執ります。
指揮しながら「最高!」と叫ぶのは当たり前(笑)
1曲目の終わりと共に席に着いた客達に、
「どうしたの? 道が混んでいたの?」と聞き、
2曲目が終わった途端に席を立とうとする客には
「どうして始まる前に済ませておかないの!」と叱り(笑)
当時の常任指揮者スビン・メータのモノマネをして
それをロイヤル席のズビン本人が爆笑して見ていたり。

「くまばちの飛行」では、はえ叩きを振って指揮をし、
歌劇「アイーダ」の「行進曲」では、調子っぱずれの
ホルンのソロに、「何をやっているんだ!」と叫び、
オーケストラの韓国女性と「アリラン」を歌い、
日本女性とは「しょうじょう寺の狸囃子」を歌う(なぜその歌・笑)
ちょっとした仕草の一つ一つが、大層笑えるのです。
それでいて、演奏は極上品なのですからとんでもない。
チャイコフスキーの「くるみ割り人形」や
ベートーヴェンの「運命」までやっているんですよ。

「難しいのはベートーヴェンやチャイコフスキーばかりではない」
「生涯最高の演奏が聴けますよ」
「あなたのニューヨーク・フィルです」
というダニー・ケイの紹介とともに始まる
アンダスンの「おしゃべり」という曲では、
あり得ない速さで演奏を続けながらオーケストラが歌い出します。
この演奏は本当に素晴らしく、
確かな技術に裏打ちされた洒落っけは、感動的なほどで、
私は必ず巻き戻してもう一度聴いてしまいます。

『トムとジェリー』の「ピアノ・コンサート」や
「星空のコンサート」を本当にやってしまった、みたいな感じ?

NHKアーカイブスで、再放送してくれないかしら。
見たら必ず幸せになれる、そんなコンサートなのです。



コメント (2)
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