きっかけはどうあれ、居場所ができた喜びを。
「ララランド」の製作チームが・・・という宣伝をよく見かけたので、清く明るく王道を行く作品を作り上げたものと勝手に思っていた。
本作は、人とは違った外見から好奇と偏見の目に晒されてきた少数派の人たちにスポットを当てた異色の興行師の挫折と成功の物語、とでも言おうか。華やかなミュージカルの陰に、実質的な主題歌である"This is me"のメッセージを貫いた社会性の高い作品である。
決して裕福ではない仕立て屋の息子であったバーナムは、父親の商売の関係で出入りしていた家の娘であるチャリティと恋に落ち結婚する。愛に満ちた夫婦生活は幸せであったが、仕事は長続きせず、経済的に苦しい生活が続いていた。
いくつめかの仕事である新聞社を解雇されたバーナムは、一念発起して以前から憧れていたショウビズ界に足を踏み入れる。
彼が立ち上げたのは、「ユニーク」な人たちが大道芸をパフォーマンスするサーカスだった。
やたら背が高い、逆に低い、女性なのにヒゲが生えている、全身に刺青の模様がある・・・。平易な言葉にすれば放送禁止に引っ掛かりそうな「特徴のある」人たちをそこらじゅうから集めたのだ。
これには驚いた。奇抜なものに人々は関心を示すだろうという彼の発想は、単純に言い換えるとハンディキャップを持った人を見せ物にするとイコールであったからだ。ポリティカルコレクトネスが幅を利かせる現代にこんな変化球を投げることに恐れ入った。
興行はバーナムの目論見どおりに成功を収め、バーナムは豪邸を購入し、結婚に反対していた義父をはじめとした上流階級の人たちに肩を並べる存在まで上り詰める。しかし、彼を待っていたのは、新しい上流の世界と、成功を作り上げてきた土台とのあまりにも大きな落差であった。
幼いころから貧しい生活に苦しんだバーナムは、かつて自分を見下ろしていた人たちを見返したいという思いでいっぱいだった。それが無鉄砲な興行の実現につながったことは間違いなかったが、更なる高みを目指した彼は、ともに歩んできた人たちを放り出すという失敗を犯した。
バーナムは必ずしも立派な人間ではない。しかし、それが分かっても周りの人たちは、彼が持っているバイタリティ望みをかけてチームとして最大限の力を発揮する。
パフォーマーの一人であるレティが"This is me"を歌うのは、バーナムがパーティー会場に入ろうとした彼女たちをやんわりと断った直後である。
これまでであれば、「やっぱり自分たちは・・・」と落ち込んだであろうところを、サーカスを通じて自信を持った彼女らは自らの力で立ち上がる。歌詞とともに大きな力をもらう印象的な場面だ。
"Greatest"はB級的な盛りを含んだ形容詞なのだが、一方で、それぞれが誇りを持って演じられる舞台として完成したとき、それは文字通りの"Greatest"として輝きを放つのである。
H.ジャックマンもZ.エフロンもミュージカルはお手の物。バーナムの人間性を考えれば、H.ジャックマンはかっこよすぎる気もしたが、まあ主役なので。
(80点)
「ララランド」の製作チームが・・・という宣伝をよく見かけたので、清く明るく王道を行く作品を作り上げたものと勝手に思っていた。
本作は、人とは違った外見から好奇と偏見の目に晒されてきた少数派の人たちにスポットを当てた異色の興行師の挫折と成功の物語、とでも言おうか。華やかなミュージカルの陰に、実質的な主題歌である"This is me"のメッセージを貫いた社会性の高い作品である。
決して裕福ではない仕立て屋の息子であったバーナムは、父親の商売の関係で出入りしていた家の娘であるチャリティと恋に落ち結婚する。愛に満ちた夫婦生活は幸せであったが、仕事は長続きせず、経済的に苦しい生活が続いていた。
いくつめかの仕事である新聞社を解雇されたバーナムは、一念発起して以前から憧れていたショウビズ界に足を踏み入れる。
彼が立ち上げたのは、「ユニーク」な人たちが大道芸をパフォーマンスするサーカスだった。
やたら背が高い、逆に低い、女性なのにヒゲが生えている、全身に刺青の模様がある・・・。平易な言葉にすれば放送禁止に引っ掛かりそうな「特徴のある」人たちをそこらじゅうから集めたのだ。
これには驚いた。奇抜なものに人々は関心を示すだろうという彼の発想は、単純に言い換えるとハンディキャップを持った人を見せ物にするとイコールであったからだ。ポリティカルコレクトネスが幅を利かせる現代にこんな変化球を投げることに恐れ入った。
興行はバーナムの目論見どおりに成功を収め、バーナムは豪邸を購入し、結婚に反対していた義父をはじめとした上流階級の人たちに肩を並べる存在まで上り詰める。しかし、彼を待っていたのは、新しい上流の世界と、成功を作り上げてきた土台とのあまりにも大きな落差であった。
幼いころから貧しい生活に苦しんだバーナムは、かつて自分を見下ろしていた人たちを見返したいという思いでいっぱいだった。それが無鉄砲な興行の実現につながったことは間違いなかったが、更なる高みを目指した彼は、ともに歩んできた人たちを放り出すという失敗を犯した。
バーナムは必ずしも立派な人間ではない。しかし、それが分かっても周りの人たちは、彼が持っているバイタリティ望みをかけてチームとして最大限の力を発揮する。
パフォーマーの一人であるレティが"This is me"を歌うのは、バーナムがパーティー会場に入ろうとした彼女たちをやんわりと断った直後である。
これまでであれば、「やっぱり自分たちは・・・」と落ち込んだであろうところを、サーカスを通じて自信を持った彼女らは自らの力で立ち上がる。歌詞とともに大きな力をもらう印象的な場面だ。
"Greatest"はB級的な盛りを含んだ形容詞なのだが、一方で、それぞれが誇りを持って演じられる舞台として完成したとき、それは文字通りの"Greatest"として輝きを放つのである。
H.ジャックマンもZ.エフロンもミュージカルはお手の物。バーナムの人間性を考えれば、H.ジャックマンはかっこよすぎる気もしたが、まあ主役なので。
(80点)
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