秋生のEtude

音楽も映画も舞台も大好き!トキメキと感動を求めて、思い立ったらGO!
好き勝手気ままな雑多ブログへようこそ!!

『6週間のダンスレッスン』 2/10 (金) ソワレ

2006年02月11日 22時22分28秒 | 舞台
2006.2.10(金) 19:00 博品館劇場

リリー・ハリソン     草笛光子
マイケル・ミネッティ    今村ねずみ

45歳のダンスインストラクターマイケルと、68歳の未亡人リリー。
6週間の出張ダンスレッスンの契約をしたマイケルは、毎週リリーの自宅を訪ね、1週目はスウィング、2週目はタンゴ、・・・とレッスンを重ねていくが・・・
初日から激しいケンカをし、お互いのウソがばれて「うそつき!」と罵り合い、魂をぶつけ合う中で、次第に心を通わせていき、そしてレッスンの数ごとに打ち解けて・・・
自分の心の奥底にある、捨て切れない思いを語りだすふたり。いつしかふたりはお互いを、優しい気持ちで慰め合い、認め合い・・・心の家族のように・・・


・・・おしゃれで、ウィットに冨み、小粋で、素敵な舞台でした。
久しぶりに身を置いた小ホールならでは、小さな吐息のひとつも漏らさないような舞台との距離を楽しんできました。
・・・大人の童話のような、後に残る、人の手の暖かさ、心の温かさにほーっとするような心地よさが嬉しかった・・・デス。

マイケルは、ゲイであるがゆえにそれまでの人生で傷つくことが多く、そんな自分を肯定できず・・・年老いた母の看護のためにダンサーをやめて、フロリダに移り住み・・・母を亡くし、孤独を背負っています。
リリーは夫を亡くし、上流に近い暮らしはしているものの、牧師の妻というレッテルの元、心をちじこませて生きてきたこと、最愛の娘を事故で亡くしてしまった心の傷が回復せず、孤独であること、老いていくことに恐怖を感じながら、外部との接触を避けて生きてきたのです。

ふたりの会話、やり取りは他愛もなく、それでいてお互いの心の隙間を埋めていくやさしさがあります。傷ついたことのあるものにしか表せないやさしさ。
そしてふたりをつないでいく“ダンス”
「あらゆるダンスの原点は、セックスなんですよ。愛する人に触り、匂いをかぎ、気を引くための社会的に容認された方法なんです!」
ドキッ!とする直接的な説明ですが、そのあとに続く1週目からのスウィング、タンゴ、ワルツ、フォックストロット、チャチャチャ、コンテンポラリー・ダンス、を熱く語りあげるマイケルのセリフは、なんて奔放で、人の奥底にある欲望を言い当てていることか!!
ダンスをすることで、リリーとマイケルは手を取り合い、心を抱きあい、まさに、ある意味、魂のセックス(=コミュニケーション?)を経験します・・・


マイケル(今村さん)・・・背が高く、スリムで、ゲイの役柄のせいか、卑屈っぽいとこがよかったですね~
各週のお衣装、タンゴの全身黒づくめ、ワルツのときのタキシード姿は、めちゃ素敵でした。

リリー(草笛さん)・・・ドレス姿が本当にお美しくて素敵!!お肌が白くきれいでした。演じるリリーと同年代、とのことですがいや、本当にお美しい!
理知的な眼差しも、屈託のない笑顔も、本当に素敵。

印象に残っているセリフの中で・・・
夫を亡くし、老いていく自分の影がどんどん消えていくようで・・・「みんなには私が見えなくなっていくのよ・・・」と涙するリリーに、マイケルは「・・・あなたはここにいるよ。オレには見える。あなたはちゃんとここにいる」(どきっ!・・・光さん!?)
自分の存在価値を認められるって、いくつになっても大切なこと、ですよね。

人生の最後はこんなふうに夕焼けのやさしい色に包まれながら、レモネードでおしゃべりを・・・と思わせてくれる舞台でした。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする