秋生のEtude

音楽も映画も舞台も大好き!トキメキと感動を求めて、思い立ったらGO!
好き勝手気ままな雑多ブログへようこそ!!

ろうみおからの手紙

2021年06月15日 20時20分08秒 | 言葉
私はもはや貴女を愛していない。
ろうみおとじゅりえ、というたった5日間で燃え上がった愛のお手本は、
このすべりのの、土の下に葬られました。
僕はもう貴女を愛してはいない。
幾度、そう言葉にしそうになったことだろう。腹が減るたびに、
僕はもう貴女を愛してはいない。
あろうことか、ろうみおがじゅりえを愛していないと。
寒さで身体が切り刻まれるたびに、そして眠るたびに命が食べられていく、
そんな中でどうやって貴女を愛するという言葉を紡ぎ出し続けることができるでしょう。
もしかしたらあの愛は、野戦病院のうわ言で、
貴女を愛したことなどなかったのではないのか。
古の、麗しの、時をさえ疑ってしまう。
愛する力を今の僕がどうすれば絞り出すことができるでしょう。
貴女を愛する力をください。
貴女を愛する力を取り戻したい。
果てしもなく故郷から遠い、すさび冬枯れた荒野で朽ちた木のように横たわる僕に
貴女を愛していた時の力をください。
そして、どうか朽ち木のごとく死んでいく私を忘れないでください。
どうか、どうか、私を名もない戦士として葬らないでください。
憐れんだ瞳で、無名戦士と呼ばないでください。
もう二度と私に〝名前をお捨てになって”などとおっしゃらないでください。
私には名前があった。ろうみお、という名前があった。
ひとりの名前のある人間としてここで死なせてください。

ろうみおより、じゅりえへ。 渾身の愛を込めて。



ああ、なんて・・・

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「風に」

2019年05月17日 22時57分06秒 | 言葉
毎週土曜日の朝、放送されている『題名のない音楽会』。

先週は、前回に引き続き、作曲家・坂本龍一と彼の手がける東北ユースオーケストラの共演でした。
東北ユースオーケストラは、震災で壊れた楽器を修理して、それを使い、東日本大震災の被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の子どもたちが中心となってできたオーケストラで、小学生から大学生まで、なるほど、年齢層も幅広い。
坂本龍一のピアノとオケ、そして、吉永小百合さんの朗読のコラボはすごく素敵でした。

その中で、朗読されていた詩。

「風に」

悲しいこと
辛いことが
あるのなら

つぶやこう
話をしよう

暮らしのこと
これまでのこと

腹がたったこと
泣きたくなったこと
嬉しかったこと

苦しみや悲しみや
離別や不安や
優しさや

みんな今
心の
丘に立っている

心に吹く風を
追って

さあ
行こう
一緒に

心の丘で
言葉になろう

青空に
浮かぶ
雲になろう



・・・シンプルですごく心に残った詩です。
福島県出身の、和合亮一さんという方の詩。


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メメント・モリ

2016年10月08日 02時22分53秒 | 言葉
『逆鱗』の中、最後の最後に人魚がいう言葉。

ラテン語で「死を想え」「自分が(いつか)必ず、死ぬことを忘れるな」

うーーーん。死生観の問題だわ。
舞台から学ぶ・・・ってこといっぱいあるなぁ。

ちなみに・・・娘その2が覚えた言葉は・・・「後顧に憂いなし」・・・だそうです



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上川・四郎さま

2008年07月01日 22時22分30秒 | 言葉
「俺は肝心なところでなにかが足りないんだ・・・」
・・・持っていたはずの力を失って、自らの力のなさを嘆く、上川・四郎。

さんじゅあんで寿庵は言う。
「ただの男だからいいのかもしれませんよ」
「あなたのような人なのです」
「私は満月よりも、三日月が好きです!」
「・・・人は見たいものを見るものです」


『SHIROH』の1幕。この場面、うるうるうる・・・

深いよなぁ・・・


完璧な人間なんて、この世にはいません。
人間だもの。失敗したり、悩んだり、傷ついたり。


・・・私の好きになる人って、どこか共通してるかもしれない。
完成されない、満足しない。
欠けた部分をかばうわけでもなく、欠けた部分を補うためでもなく、ただがむしゃらに走り続ける・・・そんな人。
私はその身を案じながら、でも、その人を止めることはできない。
だって、そうやって走り続ける姿が、その懸命な生き方が・・・
何よりも、美しいのを知っているから・・・


私の心はまだまだ『SHIROH』の世界を彷徨っています・・・


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「愛を拒むことはできなかったの・・・」

2008年05月30日 23時48分57秒 | 言葉
なぜでしょう・・・さらりと読んだだけではよくわからなかった、原作本をいまさらもう一度読み直しました。

「愛を拒むことはできなかったの・・・」
・・・これは自殺した?マリーが母に宛てた最後の手紙の一節。


舞台の上のルドルフとマリーは、なんとなくそこまでの純愛とは感じられなかったのです。
でも、この言葉をゆっくりかみしめるように読むうちに、ああ、そうか・・・と勝手に納得していました。

「拒めない愛」・・・ルドルフがわずか17歳のマリーに求めたものは・・・
自分の生きていく意味を、自分の居場所を失った皇太子。
“一緒に死んでほしい”と願われた時、マリーは泣いて彼を抱きしめた、と。

残念ながら、そこまでの恋愛経験はないので・・・理解しがたいのですが・・・。

何かを突き抜けた“愛”なのでしょうか?
打算をも超えた“愛”なのでしょうか?



明後日は『ルドルフ』千秋楽。
・・・もう一度、確かめたい衝動を抑えられない私です・・・


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雨、雨、雨・・・

2008年04月18日 22時43分03秒 | 言葉
巷に雨の降るごとく我が心にも涙ふる
かくも心ににじみ入る
このかなしみは何やらん


・・・たしか、ヴェルレーヌ!?だったかな・・・
はるか彼方の昔、中学生だった頃、気に入っていた詩です。
原詩のよさはさることながら、和訳がすっごくおしゃれだなぁ~とあこがれていました。


でも!!
今の私は、こんなふうにロマンチックな気分ではなくて
“いーかげんにしてよ!!”
・・・って気分です。

はぁぁぁ~
洗濯ものが乾かないよ~
たまには布団だって干したいよぉ~


雨・・・けっして嫌いというわけではないんですが
これだけ続くとね

今日は風も強くて自転車に乗るのは非常に困難な状態。
しかも傘を差すこともできず、頭から靴下の先までビチャ濡れ。
なんとなく頭が重いです。
・・・風邪ひいたかなぁ・・・



とりあえず、今夜は早めに休業しようかな・・・



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羽根飾

2007年09月14日 22時56分28秒 | 言葉
『ヴェニス』の感想の前に・・・
ずっと心に引っかかっていたこのセリフ。
・・・『シラノ』のラスト。

「俺ゃあの世に持って行くのだ。・・・はばかりながら皺一つ汚点一つ附けずに持って行くのだ、他でもない、そりゃあ・・・私の羽根飾(こころいき)だ。」

舞台を観ながら(涙でべそべそでしたが)聞いた時も、胸にグッと来るセリフだなあ、と思ったのですが・・・
パンフを読み直して、この“こころいき”が・・・
ただの“心意気”ではなく、“羽根飾”と書かれていたことに

このお話は、フランス語で書かれているわけで、それを和訳された方の素晴らしいセンスに脱帽です。
そして、この不器用な男の生き様を、最後の最後に、こんなきらめく言葉に換える日本語が存在したことがうれしくて・・・

いいなぁ・・・
粋ですよね。

・・・日本語の美しさを改めて知りました。


そういえば、この舞台の良さは、なにげにセピア色のようなやわらかな照明の中で語られる“珠玉の言葉”の数々と共にありました。
ロクサーヌが恋をしたのは、誰か、ではなく・・・そんな“言葉”だったのかもしれません。


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「真っ白でいるよりも」

2006年09月26日 20時16分00秒 | 言葉
「真っ白でいるよりも」   谷川俊太郎

  1
自分がチェンバロになって
一晩中待っているのよ
もちろんそのモーツァルトを
まだ十二歳の
ほらそんなふうに
眠れないときってない?

  2
愛ってのはころがってるのね
キッチンなんかにね
玉ねぎ刻んでて涙が出ると
思い出すわ
悲しみの理由は
いつもいつも愛だったって

  3
生まれ変わったら鯨になりたい
海の中で歌って暮らすの
言葉は知らないの
でも歌はあるの
鯨の心は人間よりずっと大きいから
歌もいつまでも続くの

  4
そうなんだよ
絵になる一瞬が大事なのさ
私そのために生きてる
だから私の写真一枚だけとっておいて
そいで思い出さずに空想して
私の一生を

  5
まだ二十世紀なのね
未来ってなんてゆっくり来るんだろ
待ってらんないわ
椅子に座ってるのもまどろっこしい
恋をするのも
夢を見るのもまどろっこしい

  6
わざわざ迷子になりに行くの
巨大迷路に
ここがどこか今がいつか
分かりすぎるんだもん
それなのに不意に分からなくなる
地球儀なんか見てると

  7
花が咲いてるでしょ
海鳴りが聞こえるでしょ
そよ風も吹いているでしょ
それだけで幸せって思ってしまうでしょ
だから私うしろめたいの
ひとりぼっちが

  8
私は空から見られているのだわ
カラスにトンボに天使に
空から見ると
意地悪も嫉妬も見えなくなって
私は私じゃなくなって
きっと地面に溶けている

  9
マラケシュにいたときのこと聞きたい?
でもあなたはいなかったのだから
きっと退屈ね
マラケシュにも子供がいたわ
黙りこくって立ってる子が
だからきっと愛もあったのね

  10
嘘つくのって好きよ
まだ知らないほんとのことを
知ってるような気になれるから
でもほんとのほんとは
一瞬で過ぎ去る
いい匂いみたいに

  11
男よりも木に抱かれたい
葉っぱに触ってほしい
枝に縛られたい
根っことからみあいたい
私は空にやきもちやくの
木は夜も空をみつめているんだもの

  12
知ってた?
気持ちにはいろんな色がある
私あなたの色とまざってもいい
真っ白でいるよりも
きらいな花の色になるほうがまし
でしょ?


・・・・・・
突然に長い長い詩を載せました。
谷川俊太郎さんのたくさんの素晴らしい詩の中で、私が一番好きな詩です。

若い頃は、彩色されていくことが、イヤでした。
・・・いつまでも、真っ白のままでいたかった。
でも、いつかそれがかなわぬことだと知り、そしてこの詩に出会った時、生きていく意味が少しだけわかった気がして、最後の言葉がすごく自然に受け入れられた・・・

私は詩人ではないのでこんな詩歌は作れませんが、心が寄り添うように、共感することはできます。

>そうなんだよ
>絵になる一瞬が大事なのさ
>私そのために生きてる
>だから私の写真一枚だけとっておいて
>そいで思い出さずに空想して
>私の一生を

一番好きなフレーズです。
・・・こんなふうに、生きたい。
そしてこんなふうに、誰かの思い出になりたいです。

なぜでしょう。感傷の“秋”だから?でしょうか。(笑)



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「倚りかからず」

2006年02月20日 17時30分53秒 | 言葉
今朝の新聞に、詩人の茨木のり子さんの訃報の記事が載っていました。79歳だったそうです。・・・心からのご冥福をお祈りします。
茨木のり子さんは、二十歳のときに終戦をむかえ、27歳の時に川崎洋さんらと共に、雑誌『櫂』を創刊。
戦後詩のリーダーの一人として活躍され、詩人の新川和江さんは茨木さんを“戦後現代詩の長女”と評しています。

茨木さんの詩集「倚りかからず」。
・・・1999年、今から6年半前の秋、人生の岐路に立ち、さまざまなことで悩む私に、ある年上の友人が贈ってくれた一冊の詩集です。


 
「倚りかからず」   茨木のり子

  もはや

  できあいの思想には 倚りかかりたくない

  もはや

  できあいの宗教には 倚りかかりたくない

  もはや

  できあいの学問には 倚りかかりたくない

  もはや

  いかなる権威にも 倚りかかりたくない

  ながく生きて

  心底学んだのはそれぐらい

  じぶんの耳目

  じぶんの二本足のみで立っていて

  なに不都合のことやある

  倚りかかるとすれば

  それは

  椅子の背もたれだけ


この一篇の詩を前にして、当時、私は、自分の弱さが見えてきて、誰かを頼って生きてきた自分が無性に恥ずかしく、そしてこの先の人生を、人としてどう生きるのが最良の方法なのか・・・そんなことをずいぶんと考えました。
茨木さんが長い人生の末にたどり着かれた、人としての生き方。それは男女の性差の前に、まず一己の人間として自立して生きる、という実にシンプルな答だったことに、私は生意気ながら、深く共感しました。

人は一人でこの世に生まれ、そして最後は一人で死んでいくのです。
人は孤独です。そして同時に人の中で生きていくのです。
まずは、自分の足で立ててこそ、人となるのです。そして、ある時は誰かを支え、ある時は誰かに支えられ、人と関わりながら生きていくことが、人としての使命であり、しあわせでもあると思うのです。

私の人生に目標ができたとすれば、“自立”・・・これしかありません。
子育てのゴールも同じです。子どもたちが、それぞれに自分のことが自分でできる人となるように、世のためにはなっても、世の迷惑にならぬよう生きていって欲しい、というのが私の理想であり、目標です。
・・・とはいえ現実は、なかなか理想には近づいていかず、一進一退の日々ですが。
はあぁぁ~~~

茨木さんの、生きていく上で、自らに問い掛けるような、はっとするような鋭い数々の詩のなかで、もうひとつ。
ぬるくなった私の気持ちに、気合いをいれてくれる詩を。


「自分の感受性くらい」   茨木のり子
 
  ぱさぱさに乾いてゆく心を
  ひとのせいにはするな
  みずから水やりを怠っておいて

  気難しくなってきたのを
  友人のせいにはするな
  しなやかさを失ったのはどちらなのか

  苛立つのを
  近親のせいにはするな
  なにもかも下手だったのはわたくし

  初心消えかかるのを
  暮らしのせいにはするな
  そもそもが ひよわな志にすぎなかった

  駄目なことの一切を
  時代のせいにはするな
  わずかに光る尊厳の放棄

  自分の感受性くらい
  自分で守れ
  ばかものよ



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