ずっとずっと楽しみにしていた舞台でした。
『死と乙女』 2015.3.28(土) 12:00開演 シアタークリエ
大空祐飛 風間杜夫 豊原功補
ストーリーは、
独裁政権が崩壊して間もなくの、南米のとある国。
かつて学生運動に参加していたポーリナ(大空祐飛)は、
独裁政権下で誘拐・監禁され拷問を受けた記憶に今も怯えている。
ある晩、夫の帰りを待っていると1台の車が近づき、
弁護士である夫のジェラルドー(豊原功補)が降りてきた。
車がパンクし、通りがかりに送ってもらったという。
ジェラルドーを車で送った医師・ロベルト(風間杜夫)の声を聞き、
彼こそ、シューベルトの四重奏曲「死と乙女」を流しながら、
自分を拷問した男だと確信する。
シンプルな部屋のセットの中、たった3人しかそこにはいないに・・・緊張感のあふれる舞台でした。
と、いうか、内容が内容だけに一瞬たりとも気を抜けない。
固唾を飲むように、瞬きすることもできずに観ました。
ポーリナ/祐飛さん
スレンダー!!女性姿も美しい!!
なにより復讐に燃える強い部分と、それまでの辛い過去のトラウマを抱え苦しんできたポーリナの哀しさが交互に表現されていて、本当に魅入ってしまいました。
ヅカ時代には決して口にすることは許されなかったであろう猥雑な言葉を叫び、大声で怒鳴り、笑い出し、半狂乱的に演じるポーリナの迫力に圧倒されました。
一番すごいと思ったのは、過去を思い出し自分を痛めつけた男たちの声色でその場を再現する時、あれほど〝男”を極めた祐飛さんなのに、ちゃんと女が男の声を真似ているようなセリフに聴こえたこと。
・・・ああ、もう祐飛さんは「女優さん」なんだ。フクザツ・・・
ジェラルドー/豊原さん
TVでは見慣れているけど、舞台では初めて。
ちょっとセリフが舞台向きではない?と最初思ったけど、途中からは気にならなくなった。
突如、理性を失って興奮する妻を落ち着かせようと、必死で説得する姿にはちょっぴり同情したなぁ。
それにしても、愛する彼女が誘拐されてひどい目に合ってる時に、浮気?
あーーーやっぱり、男ってバカでサイテー・・・
ドクター・ロベルト/風間さん
生の舞台で観るのは、実に、約30年ぶりです。
人の好さげな印象のドクターですが、突然自分の身に起こった不運(?)に恐怖するドクター。
「自分はやってない」と無実を訴えるけれど、最終的にはジェラルドーに説得されて自白する。けれど、それにはポーリナの巧妙なワナが仕掛けられてて・・・
・・・えーーっと、風間さん、一番重要なセリフのところで「モーツァルト」って(・・・正しくは「シューベルト」だよね)
声で、言い回しで、匂いで、ポーリナは、ドクターがその男だと確信する。
夫が寝たあとで、ドクターを縛り上げて椅子に括り付けるポーリナ。
拳銃を突き付けてドクターを罵倒するポーリナは、もはや冷静さを欠いていて、かなりヒステリック。
・・・そりゃあ、当然だろうな。
かつて自分に暴力を振るい、何度となく恥辱した男を目の前にして、そうならないはずもない。
が、そんなポーリナに対してドクター・ロベルトは「人違いだ」と。
はたして、ドクターは〝シロ”なのか?
パンクした自動車の前で手を振り続けるジェラルドーを、何台もの車が通り過ぎる中、唯一助けてくれたドクターは、親切な紳士だと思うけれど、夜中にあんな大きな音を立てて玄関を叩くのは「ええーーっ?」だし、
ポーリナの妄想(?)が半端なく強いからなのか・・・一度だけ、ドクター自身の声で、その時の拷問のシーンが再現されるのを聴いたら・・・私的にはやっぱり〝クロ”だと思ってしまったのです。(すっごく怖かった)
夫のジェラルドーは、大統領から直接指示を受けるほど、重大な任務(独裁政権の罪を暴き真実を究明する審査委員会のメンバー)を仕事とする弁護士で、ポーリナの過去も知っている。だからこそ彼女の暴挙を見守るしかできない。
ただ、男としてドクター寄り、というかやっぱりポーリナの言葉を全面的に信じてはいないように見える。
彼はポーリナの気持ちを考えながらも、どこかしら自分の立場を優先しているような・・・
ポーリナの望む解決が、ドクターの自白だとわかると、ドクターには「今だけ口裏を合わせてこの場を回避しよう」的なアドバイスさえしてしまう。
・・・ああ、男って本当に女の気持ちなんてわかってないっ!!
何年たったとしても、忘れることができないことがある。女には。
それは身体にも、身体以上にも心に刻まれた深い傷。
ポーリナのセリフの中で印象的だったのは
昔は沈黙を強いられて発狂し
今は口を開くたびキチガイと言われる・・・
なぜ、いつも私は、歯を食いしばって耐えなくてはならないの?なぜ?
・・・いいえ、今度は嫌。
ポーリナが忘れようと努力し、怯えながら、悪夢を毎夜見ながら、生きてきたのがわかる。
そして、夫・ジェラルドーに
わたしはどうなるの・・・?
見てよ!
もっと私を見て!!
あーーーなんだか哀しくなってくる
ドクターに自白させ、テープを録音し文章を書かせて署名させ、すべては終わったかのように見せるけれど、ジェラルドーが外出し、ポーリナとドクターの二人きりになった時、何が起こるのか・・・
ポーリナはドクターに向かって拳銃の引き金を引いたのか?引かなかったのか?
そして、ラストのラスト。
ドレスアップしたジェラルドーとポーリナが客席から登場し、話しかける〝ご老人”って??(私の席からは見えなかった!!)
うーーーーん。
ただ、私、幸運にも通路席だったのです。
ああ、祐飛さんがすぐそばをすり抜けるようにして歩いて行かれる・・・
・・・何とも言えない気分でした。
『死と乙女』 2015.3.28(土) 12:00開演 シアタークリエ
大空祐飛 風間杜夫 豊原功補
ストーリーは、
独裁政権が崩壊して間もなくの、南米のとある国。
かつて学生運動に参加していたポーリナ(大空祐飛)は、
独裁政権下で誘拐・監禁され拷問を受けた記憶に今も怯えている。
ある晩、夫の帰りを待っていると1台の車が近づき、
弁護士である夫のジェラルドー(豊原功補)が降りてきた。
車がパンクし、通りがかりに送ってもらったという。
ジェラルドーを車で送った医師・ロベルト(風間杜夫)の声を聞き、
彼こそ、シューベルトの四重奏曲「死と乙女」を流しながら、
自分を拷問した男だと確信する。
シンプルな部屋のセットの中、たった3人しかそこにはいないに・・・緊張感のあふれる舞台でした。
と、いうか、内容が内容だけに一瞬たりとも気を抜けない。
固唾を飲むように、瞬きすることもできずに観ました。
ポーリナ/祐飛さん
スレンダー!!女性姿も美しい!!
なにより復讐に燃える強い部分と、それまでの辛い過去のトラウマを抱え苦しんできたポーリナの哀しさが交互に表現されていて、本当に魅入ってしまいました。
ヅカ時代には決して口にすることは許されなかったであろう猥雑な言葉を叫び、大声で怒鳴り、笑い出し、半狂乱的に演じるポーリナの迫力に圧倒されました。
一番すごいと思ったのは、過去を思い出し自分を痛めつけた男たちの声色でその場を再現する時、あれほど〝男”を極めた祐飛さんなのに、ちゃんと女が男の声を真似ているようなセリフに聴こえたこと。
・・・ああ、もう祐飛さんは「女優さん」なんだ。フクザツ・・・
ジェラルドー/豊原さん
TVでは見慣れているけど、舞台では初めて。
ちょっとセリフが舞台向きではない?と最初思ったけど、途中からは気にならなくなった。
突如、理性を失って興奮する妻を落ち着かせようと、必死で説得する姿にはちょっぴり同情したなぁ。
それにしても、愛する彼女が誘拐されてひどい目に合ってる時に、浮気?
あーーーやっぱり、男ってバカでサイテー・・・
ドクター・ロベルト/風間さん
生の舞台で観るのは、実に、約30年ぶりです。
人の好さげな印象のドクターですが、突然自分の身に起こった不運(?)に恐怖するドクター。
「自分はやってない」と無実を訴えるけれど、最終的にはジェラルドーに説得されて自白する。けれど、それにはポーリナの巧妙なワナが仕掛けられてて・・・
・・・えーーっと、風間さん、一番重要なセリフのところで「モーツァルト」って(・・・正しくは「シューベルト」だよね)
声で、言い回しで、匂いで、ポーリナは、ドクターがその男だと確信する。
夫が寝たあとで、ドクターを縛り上げて椅子に括り付けるポーリナ。
拳銃を突き付けてドクターを罵倒するポーリナは、もはや冷静さを欠いていて、かなりヒステリック。
・・・そりゃあ、当然だろうな。
かつて自分に暴力を振るい、何度となく恥辱した男を目の前にして、そうならないはずもない。
が、そんなポーリナに対してドクター・ロベルトは「人違いだ」と。
はたして、ドクターは〝シロ”なのか?
パンクした自動車の前で手を振り続けるジェラルドーを、何台もの車が通り過ぎる中、唯一助けてくれたドクターは、親切な紳士だと思うけれど、夜中にあんな大きな音を立てて玄関を叩くのは「ええーーっ?」だし、
ポーリナの妄想(?)が半端なく強いからなのか・・・一度だけ、ドクター自身の声で、その時の拷問のシーンが再現されるのを聴いたら・・・私的にはやっぱり〝クロ”だと思ってしまったのです。(すっごく怖かった)
夫のジェラルドーは、大統領から直接指示を受けるほど、重大な任務(独裁政権の罪を暴き真実を究明する審査委員会のメンバー)を仕事とする弁護士で、ポーリナの過去も知っている。だからこそ彼女の暴挙を見守るしかできない。
ただ、男としてドクター寄り、というかやっぱりポーリナの言葉を全面的に信じてはいないように見える。
彼はポーリナの気持ちを考えながらも、どこかしら自分の立場を優先しているような・・・
ポーリナの望む解決が、ドクターの自白だとわかると、ドクターには「今だけ口裏を合わせてこの場を回避しよう」的なアドバイスさえしてしまう。
・・・ああ、男って本当に女の気持ちなんてわかってないっ!!
何年たったとしても、忘れることができないことがある。女には。
それは身体にも、身体以上にも心に刻まれた深い傷。
ポーリナのセリフの中で印象的だったのは
昔は沈黙を強いられて発狂し
今は口を開くたびキチガイと言われる・・・
なぜ、いつも私は、歯を食いしばって耐えなくてはならないの?なぜ?
・・・いいえ、今度は嫌。
ポーリナが忘れようと努力し、怯えながら、悪夢を毎夜見ながら、生きてきたのがわかる。
そして、夫・ジェラルドーに
わたしはどうなるの・・・?
見てよ!
もっと私を見て!!
あーーーなんだか哀しくなってくる
ドクターに自白させ、テープを録音し文章を書かせて署名させ、すべては終わったかのように見せるけれど、ジェラルドーが外出し、ポーリナとドクターの二人きりになった時、何が起こるのか・・・
ポーリナはドクターに向かって拳銃の引き金を引いたのか?引かなかったのか?
そして、ラストのラスト。
ドレスアップしたジェラルドーとポーリナが客席から登場し、話しかける〝ご老人”って??(私の席からは見えなかった!!)
うーーーーん。
ただ、私、幸運にも通路席だったのです。
ああ、祐飛さんがすぐそばをすり抜けるようにして歩いて行かれる・・・
・・・何とも言えない気分でした。