夏休みの2日目は、本当に久々に帝劇へ。
あまりに間が空き過ぎて、無事にたどり着けるか心配でしたが
『二都物語』 2013.8.11(日) 12:30開演 帝国劇場
シドニー・カートン 井上芳雄
チャールズ・ダーニー 浦井健治
ルーシー・マネット すみれ
マダム・ドファルジュ 濱田めぐみ
ドファルジュ 橋本さとし
ドクター・マネット 今井清隆
バーサッド 福井貴一
ジェリー・クランチャー 宮川 浩
サン・テヴレモンド侯爵 岡 幸二郎
ジャービス・ロリー 原 康義
ミス・プロス 塩田朋子
弁護士ストライバー 原 慎一郎
18世紀後半、イギリスに住むルーシー・マネットは、
17年間バスティーユに投獄されていた父ドクター・マネットが
酒屋の経営者ドファルジュ夫妻に保護されていると知り、パリへ向かう。
父娘でロンドンへの帰途の最中、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが
彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。
そのピンチを救ったのはダーニーと瓜二つの酒浸りの弁護士シドニー・カートン。
3人は親交を深め、ダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。
密かにルーシーを愛していたカートンだが、2人を想い身を引くことに…。
しかしダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国フランスに戻り、
フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられてしまう。
再び裁判に掛けられたダーニーだったが、そこで驚くべき罪が判明し、下された判決は死刑。
ダーニーとルーシーの幸せを願うカートンはある決心をし、
ダーニーが捕えられている牢獄へと向かうが…。(公式サイトより)
原作は、とにかく長い話ですから・・・どういう風に持ってきてどんな具合に展開してどんな形で〆るのか?
とドキドキしていたのですが・・・
1幕は思っていたより長く“へっ?”とわからない個所もありましたが、2幕になると展開が早くてしかも、1幕での謎がパーっと解けていく感じ。
それにしても、♪牢獄に17年~とか歌うドクター・マネット(今井さん)はまるでバルジャンだったし、娘のルーシーが結婚する時のドクター・マネットのチャールズを見つめる表情やらなにやらは、やはりバルジャンとマリウスのようだったり。
2幕で民衆を煽るマダム・ドファルジュは『MA』のマルグリットみたいだったし
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まあ、時代が思いっきり被ってますから、どことなくいろいろが繋がってしまうのですが・・・
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大きなパネルのような板(?)にいろいろなシーンが映し出されるセットは、最近のCG映像多用の美術より好みでした。
2階建のドファルジュの店?は、なんとなく『ルドルフ』を思い出した。
まずは、最初からツッコミですが
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ダーニーとカートンって、似てるって・・・どこかで言ってたっけ?
この二人が似てないとこの物語は成立しないんじゃ?![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0199.gif)
それから、パリなのかロンドンなのか、時々“ここはどこ?”状態に。
それにしても、重厚な歌ウマキャストさんが揃っていて、耳に贅沢。
その割には、強烈な、これっ!!という曲がないような・・・それがちょっと残念でしたが
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それぞれに聴かせどころはありますが、すごい~と思ったのは、思いがけない人と人のデュエット。
酒場で歌う井上くんと宮川さんと福井さん・・・なんて想像もつかなかった
さて、その方々ですが、
ドクター・マネット/今井さん
娘想いの父親は、もう今井さんしかいない!!
それにしても、ルーシーがダーニーと結婚する時、ダーニーの出生を知っていたのか?いなかったのか?
最後は自分の書いた手紙をドファルジュたちに悪用されるなんて・・・
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・・・ああ無情
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(←だから演目ちがうって
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)
バーサッド/福井さん
侯爵に雇われてダーニーを陥れる悪い人だと思っていたら、まんまとカートンに足元をすくわれるドジな小者?でした。まぁ、きっと根はいい人なんでしょうね。
歌声はさすが~
クランチャー/宮川さん
なにしろ衣装が・・・でこの人何者??お金を出せばなんでもやる人のようでしたが、用心棒と言われてもたしかにあんまり信用できない雰囲気?
後の“蘇り請負人”の意味が最初はわからなくて。
この方の歌声もすばらしく聴き応えがありました。
マダム・ドファルジュ/濱田さん
いや~激しいっ!!強っ!!歌唱力は本当に申し分ない。
けれど、なぜにここまで貴族を憎むのか。・・・いや、家族を殺された恨みというのはわかるけれどどこまでやったらこの人の恨みは終わるのか・・・そこがもうちょっと病的で怖い
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(旦那さんのドファルジュも持てあましてた?)
う~ん。恨みや憎しみから生まれるものってやっぱりないんだな。
マダムの最期は、なんだか仕方ないな、と思ってしまった
ドファルジュ/さとしさん
最初はドクターの味方だったはずが・・・民衆のリーダーとしてなのか、マダムの恨みに同情してなのか、ドクターを陥れる形に?
それでもマダムのあまりの暴走ぶりに「最後っていつだ?」とどうにかして妻を止めようとするのも愛情だな~と思ったり。
濱田さんのお歌があまりにも激しく(役の性質上)さとしさんの歌声があまり印象に残ってないのが残念。
サン・テヴレモンド侯爵/岡さん
本当に民衆いじめが似合う冷酷な貴族でした(誉めてます)手当たり次第に、無実の罪を着せて葬っていくところは、自分の身にいつも危険を感じているから?
唯一の甥にあたるダーニーにさえ、スパイ容疑をかけて罰しようとするのは自分を裏切ったことへの報復?
しかし、ヴィジュアルはグー
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あの衣装は岡さんの趣味かな~鬘といいメイクといい、岡さんにぴったりでした
ミスター・ロリー/原康さん&ミス・プロス/塩田さん
帝劇でこの方々の芝居が観られる!!・・・と密かに楽しみでした。
二人とも、ルーシーの保護者代わりのような役割りで、なんだかほっとする
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ラストは、“あら~
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”というサプライズもあって、うふふ。
たしかな演技力が、舞台を引き締めてくれたような気がします。
さて、肝心の3人。
ルーシー/すみれさん
背もスラッと高く美人でおきれい。お歌も思っていたよりお上手。
・・・でも、なーーーんか私のイメージしてたルーシーとちがう。(すみません。完全に私の個人的意見です
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)
う~ん。ルーシーって、カートンとダーニーと両方から愛される女性だからね、もっと言えば・・・たぶんすべての人を魅了する純粋な心と美しい容姿がないとダメ?
世間知らずっぽいところはよかったんだけど、どうもセリフになると感情表現がイマイチ・・・
ダーニー/浦井くん
伯父と絶縁して亡命する貴族のチャールズ・ダーニー。
フランス名は“シャルル”・・・でつい、某王子を思い出して笑ってしまった
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カッコいいです。美しいです。イケメンです。
ルーシーとの出会いは、ロンドンへ渡る船の船室の切符を譲ったこと?だったらしい??(あとの説明でわかる)
二人はお互い恋に落ちるけれど、なかなか言い出せない。
・・・まあ、ルーシーがダーニーを選んでめでたく結婚して娘も生まれるのだけれど。
浦井くんのパパ仕様って、初めて見た?・・・その割には、リトル・ルーシーはカートンになついているみたいだったけど
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それにしても、いくら昔の使用人を助けるためとはいえ、革命でたいへんなことになってるフランスへわざわざ戻らんでも(なんてお○カなの!?)
しかも、ダーニーにかけられた「驚くべき罪」って・・・
まぁ、たしかにフランス側に赤い帽子を被ったあのジャコバン党員(?)が多数いたのを見た時、ああこれはもう手当たり次第にみんなをギロチン送りにしちゃうとこなんだ、と思いましたが。
カートンが牢獄に現れ、あんなことになって・・・気づいた時、ダーニーはどう思ったのか。
それがまったく描かれていないのは・・・ちょっとだけ欲求不満かな。
カートン/井上くん
1幕は本当に優秀な弁護士?と思うほど、“飲んだくれの酔っぱらい”
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ルーシーに出会って、生まれ変わる?そのシーンがイマイチはっきり覚えてない。
でも、突然舞台上に現れた無数の星を見つめ歌う
「この星空」は、圧巻。
最初、ジャベールの「Stars」を歌いだすのかと・・・
もう、一気に井上くんワールド全開。井上くんの歌唱力は、やっぱりすごい!!と実感しました。
でもその直後、速攻でルーシーに振られるカートン
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あちゃー。
でも、その後もダーニーとルーシー、そしてリトル・ルーシーとの交流は続き、カートンは家庭の暖かさに触れ、今まで得られなかった幸せを味わうのです。
特にリトル・ルーシーとのシーンは微笑ましくて、おしゃまなリトル・ルーシー(この日のリトル・ルーシーが誰だったか掲示していなかったのでわからない)は、寝かしつけようとするカートンにベッドの上で両手を広げて酔っぱらいのカートンの真似をして・・・カートンは「僕の物まねをするのはやめてくれ」なんて言ってて
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そして、ダーニーが投獄され、処刑されると知った時、カートンは迷いもなく、その幸せを守るための決意を。
ああ、こんな方法しかなかったのか・・・
でも、きっとそれしかなかったのよね。
カートンの曇りのないまっすぐな気持ちが伝わってくるようで、井上くんのその歌声と演技力に泣きました。
刑を待つ間、一緒になったお針子とのシーンも、すごくよかった。(貴族に仕えていただけで死刑というのはひどくない?と思いましたが)
まっすぐ前を見て、扉の向こうに向かうカートン。
死への階段を登っていくその姿は神々しく、その表情は決して恐れてもいないしむしろ清々しい。
最初は、そうして生命を救われたダーニーとその家族がどう思ったのか知りたかった。
でも、時間が経つにつれ、あのラストでよかったと思えるようになりました。それは・・・
誰かのために生命をかける・・・それを“自己犠牲”とは思わずに最後にカートンは力強く言い放つのです。
これは僕が今までしてきた何よりも、
ずっとずっと良いことなんだ。
この先には、僕が今まで知らなかった、
ずっとずっと素晴らしい安らぎがある。
カートンは愛する者のために、自分自身も一番の幸せを実現できる“死”を選んだんだと思います。
蛇足ですが・・・
帰りの電車の中で、ふっと、ずっとずっと昔に読んだ曽野綾子さんの『誰のために愛するか』という本を思い出しました。
「その人のために死ねるか。
それはわたしたちにとってひとつの踏絵であり、つきつめればそれこそが愛の定義である。」