年末に録画したのを見ました。
初演時から、話題になっていた藤原くん×白石さんの『身毒丸』。初演時、藤原くんは15才。今回見たのは2008年の復活版ですから、藤原くんが26才の時の舞台です。
『身毒丸 復活』DVD(2008年)
作 寺山修司・岸田里生
演出 蜷川幸雄
身毒丸 藤原竜也
撫子 白石加代子
父 品川徹
小間使い 蘭妖子
仮面売り 石井愃一 他
火花の散る鮮烈なオープニングに、この世のものとは思えない、怪しげな面々が舞台に並ぶ。切ないような哀し気な音楽。
その人なかを彷徨う主人公・身毒丸は、生まれてすぐに母を亡くし、以来、ずっと母を忘れられずにいる。
〝家には父親がいて、母親がいて、子どもがいるのが当たり前”という父親の考えの元、見世物小屋の〝母を売る店”(どんな店なの!?)で新しい母を買う父。
撫子、というその女性は、血のつながりはない連れ子のせんさくを連れて家に入ってくる。
けれど、生みの母を強く想う身毒丸は、新しい母をどうしても受け入れない。
そして撫子は、女としての幸せを望むが、この家で母としてだけ求められることに失望を感じずにはいられない。
撫子が家に来て半年が過ぎても、身毒丸の撫子に対する反抗は留まることを知らない。追いつめられた撫子はついに、身毒丸を折檻する。
堪らず逃げ出した身毒丸は、奇妙な仮面売りに出会い、彼のもっていた不思議な穴を使って、亡き母のいる地下世界へ向かう。地獄を彷徨って、やっと出会えたと思った母は撫子で、お互いの憎しみが沸点に達し、身毒丸の視線を恐れた撫子は身毒丸の目を潰す。身毒丸は行方不明になる。
父、撫子、連れ子のせんさくという3人による家が成立した頃、盲目となった身毒丸が突如戻ってきてせんさくを汚す。
家は崩壊し、父は狂う。廃墟となった家で、身毒丸と撫子はついに、男と女として互いを認め合い、未知なる地平の道行となる・・・
いや・・・なんか、すっごいもんを観てしまった気が
あのおどろおどろしい雰囲気、あやかしの集まったかのような舞台の感じといい、セリフの所々に散りばめられる短歌(?)も特徴的・・・さすが寺山修司っぽいなぁ。
そしてなにより、藤原くんと白石さんの鬼気迫る演技に圧倒されました。
藤原くんはあいもかわらず、やっぱり美しい。
そして初めて見た白石加代子さんは、実年齢を感じさせないほど(?)しとやかなしなやかな女性であり、母でした。
しかし・・・この二人って、いつからそういうことになるの?
と、よくよく見れば、母を売る店でもう身毒丸は撫子だけに目を奪われているんだよね。なのに、間髪入れずに父は撫子を母と決めてしまう。
撫子は、結婚したはずの身毒丸の父から女性としては受け入れられないところへ、若く美しい身毒丸の行水シーンを目にしてしまう辺りから、ちょっと意識しちゃうんだろうな。
それにしても、そんな秘めた想いは表には出さず、どんどん憎しみがぶつかり合って死闘(?)を繰り広げる二人がすごい。
身毒丸が穴に落ち、♪かごめかごめ~といろいろな母たちに取り囲まれるシーン、何本ものろうそくで飾られた台車が怖いくらいに美しい。
2年が経ち、身毒丸は身体は成長しても、心は子どものまま。
どうにも、撫子にはなつかず、二人の関係はどんどん悪化。
ある時、撫子を母と見間違え甘える身毒丸を、嬲るように抱き込む撫子の強かさ。そして、撫子の正体がバレた時、怒りが頂点に達した撫子が、身毒丸の名を書いた卒塔婆に藁人形を打ち付けるのがエグイ。
バックに流れる歌(なんと、藤圭子が歌ってる!!)が♪死ね死ね死ね死ね~と延々と続くんだよね
このシーン、すごすぎ。なんか悪い夢を見そう・・・
なのに、家が崩壊して家族が壊れた時、二人は初めて母と子ではなく、女と男として向き合う。
それは、自然であり必然であり・・・
「お母さん、もう一度僕を妊娠してください」
あまりにも有名なこのセリフ、最初は、なに言ってんの?どういうこと??と焦ったけど、これこそが、母の欲しかった身毒丸と、子の欲しかった撫子との究極の愛の形。
男と女でありながら、お互いに母と子でもありたい二人。それってたぶん決して切れることのない強い結びつきだからなんだろうな。
冒頭と同じ妖しげな雑踏の中に消えていく二人はこの世から消えていくようで・・・
身毒丸の目が見えなくなっていることも、この先、老いていく撫子が見えないということに繋がって二人にとっては永遠の愛が続いていくことなんだろうね。
・・・いや、本当にすっごいもんを観ちゃった。そして・・・これは生の舞台で観たかった。
初演時から、話題になっていた藤原くん×白石さんの『身毒丸』。初演時、藤原くんは15才。今回見たのは2008年の復活版ですから、藤原くんが26才の時の舞台です。
『身毒丸 復活』DVD(2008年)
作 寺山修司・岸田里生
演出 蜷川幸雄
身毒丸 藤原竜也
撫子 白石加代子
父 品川徹
小間使い 蘭妖子
仮面売り 石井愃一 他
火花の散る鮮烈なオープニングに、この世のものとは思えない、怪しげな面々が舞台に並ぶ。切ないような哀し気な音楽。
その人なかを彷徨う主人公・身毒丸は、生まれてすぐに母を亡くし、以来、ずっと母を忘れられずにいる。
〝家には父親がいて、母親がいて、子どもがいるのが当たり前”という父親の考えの元、見世物小屋の〝母を売る店”(どんな店なの!?)で新しい母を買う父。
撫子、というその女性は、血のつながりはない連れ子のせんさくを連れて家に入ってくる。
けれど、生みの母を強く想う身毒丸は、新しい母をどうしても受け入れない。
そして撫子は、女としての幸せを望むが、この家で母としてだけ求められることに失望を感じずにはいられない。
撫子が家に来て半年が過ぎても、身毒丸の撫子に対する反抗は留まることを知らない。追いつめられた撫子はついに、身毒丸を折檻する。
堪らず逃げ出した身毒丸は、奇妙な仮面売りに出会い、彼のもっていた不思議な穴を使って、亡き母のいる地下世界へ向かう。地獄を彷徨って、やっと出会えたと思った母は撫子で、お互いの憎しみが沸点に達し、身毒丸の視線を恐れた撫子は身毒丸の目を潰す。身毒丸は行方不明になる。
父、撫子、連れ子のせんさくという3人による家が成立した頃、盲目となった身毒丸が突如戻ってきてせんさくを汚す。
家は崩壊し、父は狂う。廃墟となった家で、身毒丸と撫子はついに、男と女として互いを認め合い、未知なる地平の道行となる・・・
いや・・・なんか、すっごいもんを観てしまった気が
あのおどろおどろしい雰囲気、あやかしの集まったかのような舞台の感じといい、セリフの所々に散りばめられる短歌(?)も特徴的・・・さすが寺山修司っぽいなぁ。
そしてなにより、藤原くんと白石さんの鬼気迫る演技に圧倒されました。
藤原くんはあいもかわらず、やっぱり美しい。
そして初めて見た白石加代子さんは、実年齢を感じさせないほど(?)しとやかなしなやかな女性であり、母でした。
しかし・・・この二人って、いつからそういうことになるの?
と、よくよく見れば、母を売る店でもう身毒丸は撫子だけに目を奪われているんだよね。なのに、間髪入れずに父は撫子を母と決めてしまう。
撫子は、結婚したはずの身毒丸の父から女性としては受け入れられないところへ、若く美しい身毒丸の行水シーンを目にしてしまう辺りから、ちょっと意識しちゃうんだろうな。
それにしても、そんな秘めた想いは表には出さず、どんどん憎しみがぶつかり合って死闘(?)を繰り広げる二人がすごい。
身毒丸が穴に落ち、♪かごめかごめ~といろいろな母たちに取り囲まれるシーン、何本ものろうそくで飾られた台車が怖いくらいに美しい。
2年が経ち、身毒丸は身体は成長しても、心は子どものまま。
どうにも、撫子にはなつかず、二人の関係はどんどん悪化。
ある時、撫子を母と見間違え甘える身毒丸を、嬲るように抱き込む撫子の強かさ。そして、撫子の正体がバレた時、怒りが頂点に達した撫子が、身毒丸の名を書いた卒塔婆に藁人形を打ち付けるのがエグイ。
バックに流れる歌(なんと、藤圭子が歌ってる!!)が♪死ね死ね死ね死ね~と延々と続くんだよね
このシーン、すごすぎ。なんか悪い夢を見そう・・・
なのに、家が崩壊して家族が壊れた時、二人は初めて母と子ではなく、女と男として向き合う。
それは、自然であり必然であり・・・
「お母さん、もう一度僕を妊娠してください」
あまりにも有名なこのセリフ、最初は、なに言ってんの?どういうこと??と焦ったけど、これこそが、母の欲しかった身毒丸と、子の欲しかった撫子との究極の愛の形。
男と女でありながら、お互いに母と子でもありたい二人。それってたぶん決して切れることのない強い結びつきだからなんだろうな。
冒頭と同じ妖しげな雑踏の中に消えていく二人はこの世から消えていくようで・・・
身毒丸の目が見えなくなっていることも、この先、老いていく撫子が見えないということに繋がって二人にとっては永遠の愛が続いていくことなんだろうね。
・・・いや、本当にすっごいもんを観ちゃった。そして・・・これは生の舞台で観たかった。