2012年の初演は見ていません。
ありがたいことにWOWOWで放映され、それを観たのですが・・・どうも難しく集中力が途切れて途中でリタイア![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_2.gif)
ただ、一緒に観ていた娘その2は、野田さんの創る舞台がえらく気に入ったようで、「うわ~!!再演すんの!?絶対、どうしても観たいっ!!お願いだから、チケット取って!!」と手を合わせて切望。
・・・というわけで、娘その2と観てきました。
NODA/MAP 第19回公演 『エッグ』 2015.2.21(土) 14:00開演 東京芸術劇場プレイハウス
阿倍比羅夫 妻夫木聡
苺イチエ 深津絵里
粒来幸吉 仲村トオル
オーナー 秋山菜津子
平川 大倉孝二
お床山 藤井隆
芸術監督 野田秀樹
消田監督 橋爪功
この舞台、なんといってもすごいのは、初演メンバーがそのままそっくり出演してるのです。しかも☆この面々ですよ
贅沢ですよね~
お話は、劇場で寺山修司の未完の脚本『エッグ』の原稿を案内人(野田秀樹)が発見し・・・
そこから広がる世界は、オリンピック出場を目指して「エッグ」と呼ばれるスポーツ(?)に熱中する人々、エースの粒来(仲村トオル)と、オーナーの娘で歌手の苺イチエ(深津絵里)。そしてそこへ田舎から出てきた阿倍(妻夫木聡)が加わり・・・
謎(?)のスポーツ「エッグ」は試合の場面がグランドから歓声だけが聞こえてくるので、本当のところはわかりません。
でも、人々のその熱狂ぶりはすさまじく、最初から中盤まではその謎の競技のことが大真面目に語られます。
ストイックなエース・粒来に恋するアイドル歌手の苺イチエは、ストーカーまがいの愛をぶちまけるけれど、粒来には届かず、東北の田舎から出てきた貧しい農家の三男坊・阿倍と、オーナー(実は、実の母親)の策略で結婚する羽目に。
阿倍はルーキーながら、独自の技法で玉子を割らずに中身を取り出すことに長けていて、一躍「エッグの聖人」と呼ばれるようになる。粒来は阿倍にセンターエッグの背番号「7」を譲り、自殺の道を選ぶ。(でも、結局は死んでない?)
粒来(ツブライ)と阿倍(アベベ)・・・あの1964年の東京オリンピックを想像させるネーミング。
けれど、実はここで言われているオリンピックは1940年の幻の東京オリンピック。
前半はちょっとガチャガチャしていて、なにを言いたいんだろう?とわからないことも多々あって・・・???な箇所もあったのですが・・・それがいつの間にやら、恐ろしい歴史の事実を導き出すことにつながって行く。
実はエッグは、満州で日本軍が研究・実験していたワクチン製造工場の中庭で行われていた。
・・・ここからがなにげに怖かった。背中をこちらに向けた3人の背番号が「7,3,1」と並んだ時は、一瞬身体がこわばってしまいました。俗にいう731細菌部隊のカモフラージュだったのね・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0252.gif)
カッコこそ、看護婦のような姿をしていて変なのに、彼らはエッグに見立てて実験を行い、廊下と競技場の間で囁かれる噂は、世の中の情報として流れだし、その部隊のことを書き記したものは容赦なく追われ、「○田」(マルタ)と呼ばれ「スレスレの死体」として扱われる。
・・・「スレスレの死体」とは人体実験の材料。カーテンの向こう側で顔を押し付けながらもがき苦しみ息絶えるマルタたち(ナチスのガス室みたいだった
・・・)
そして、最後はその史実の結末を阿倍に背負わせて、要領よく別の国へ去って行くオーナーたち。
・・・なんとも切ない。
阿倍/妻夫木くん
舞台で観るのは初めてです。
目がキラキラ、ひたすら素直で明るくて爽やかくん。
最終的にはなにもかもを背負わされて車イスに横たわる姿が悲しかった。
苺イチエ
これまた、舞台では初めてでしたが、アイドルにしてロッカーで(?)とにかくかわいいし、お歌も上手い。
意に染まぬ結婚だったけれど、陥れられた阿倍のそばで、最後に見せる優しさは愛だったと思いたい。
お床山/藤井隆
身のこなしが軽くてお歌が上手い!!(・・・って、歌手デビューもしてたっけ
)
おカマキャラだけど、なかなか男っぽい一面も。
オーナー/秋山菜津子
相変わらずのアクの強さ!
「お父様は、世界中の9割くらいのもののオーナー」という言葉にどんだけ~?とおののき、最後は鮮やかに時代と手を組み生き残っていく強さに脱帽です。
平川/大倉さん
TVドラマでずっと見てきて、一度生で観てみたかった人。想像していたよりすごく背が高くてびっくり。
最初からケガばかりしていて、お笑い担当っぽいけど、その最後は・・・可哀想すぎる
ずっと粒来を尊敬してきたのに・・・
消田監督/橋爪さん
やっぱりTVの中の印象が強くて、こんな舞台で観るとは。
飄々としていていいキャラでした。お歌もそこそこ上手くてびっくり。
粒来/仲村トオル
その引き締まった肉体美にドキドキ。
すごく真面目でストイックで「戦争とスポーツだけが男が男であるための最後の砦だ」という考え方には、男のプライドを見た気が。
阿倍にセンターポジションを奪われ、彼は本当に自殺したのか?いや、死んだことにして自由になった、というのが正しいような?
とにかくラストに向かうほどいろいろなことを想像してしまい、背筋がぞぞ~っとしてきました。
舞台の上は、番号のついた細長いロッカーが並び、時折現れる展望台のようなもの、そして半透明色のビニールっぽいカーテン。舞台の奥は開いていての先こはエッグの競技場があるという設定らしい。
このロッカーから人が出入りし、くるくると動き、棺桶になったり?果ては汽車になったり。
舞台を横切るカーテンは人の移動を手助けしながら、衣装がパッと変わったり、その向こう側でいろいろなことが起こっているのを想像させるマジックのような存在でした。
舞台の楽しみのひとつには、こういったセットの早変わりや、より効果的な使い方が無精にうれしいのですが、それにプラスして照明の効果が素晴らしく、バックの白っぽいレンガ壁に映る様々な色合いがすごくよかったです。
野田さんの創る舞台は本当に難解で・・・何かを伝えようとするより、さあ、よく考えて想像してごらん、というのが多い気がする。
エッグという競技に見立てての、日本の過去の黒歴史。
この舞台、次はパリで?
この難しい題材を外国の人はどう受けとめるのか?うーーん。興味深い・・・
ちなみに、この舞台を直に観た娘その2は、満州における日本の731石井部隊のことを初めて知り、怖いと思いつつものめりこむように検索して調べまくったようです。
そして・・・「野田さんの舞台・・・ってやっぱりすごい。」ですって。
ありがたいことにWOWOWで放映され、それを観たのですが・・・どうも難しく集中力が途切れて途中でリタイア
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_2.gif)
ただ、一緒に観ていた娘その2は、野田さんの創る舞台がえらく気に入ったようで、「うわ~!!再演すんの!?絶対、どうしても観たいっ!!お願いだから、チケット取って!!」と手を合わせて切望。
・・・というわけで、娘その2と観てきました。
NODA/MAP 第19回公演 『エッグ』 2015.2.21(土) 14:00開演 東京芸術劇場プレイハウス
阿倍比羅夫 妻夫木聡
苺イチエ 深津絵里
粒来幸吉 仲村トオル
オーナー 秋山菜津子
平川 大倉孝二
お床山 藤井隆
芸術監督 野田秀樹
消田監督 橋爪功
この舞台、なんといってもすごいのは、初演メンバーがそのままそっくり出演してるのです。しかも☆この面々ですよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
お話は、劇場で寺山修司の未完の脚本『エッグ』の原稿を案内人(野田秀樹)が発見し・・・
そこから広がる世界は、オリンピック出場を目指して「エッグ」と呼ばれるスポーツ(?)に熱中する人々、エースの粒来(仲村トオル)と、オーナーの娘で歌手の苺イチエ(深津絵里)。そしてそこへ田舎から出てきた阿倍(妻夫木聡)が加わり・・・
謎(?)のスポーツ「エッグ」は試合の場面がグランドから歓声だけが聞こえてくるので、本当のところはわかりません。
でも、人々のその熱狂ぶりはすさまじく、最初から中盤まではその謎の競技のことが大真面目に語られます。
ストイックなエース・粒来に恋するアイドル歌手の苺イチエは、ストーカーまがいの愛をぶちまけるけれど、粒来には届かず、東北の田舎から出てきた貧しい農家の三男坊・阿倍と、オーナー(実は、実の母親)の策略で結婚する羽目に。
阿倍はルーキーながら、独自の技法で玉子を割らずに中身を取り出すことに長けていて、一躍「エッグの聖人」と呼ばれるようになる。粒来は阿倍にセンターエッグの背番号「7」を譲り、自殺の道を選ぶ。(でも、結局は死んでない?)
粒来(ツブライ)と阿倍(アベベ)・・・あの1964年の東京オリンピックを想像させるネーミング。
けれど、実はここで言われているオリンピックは1940年の幻の東京オリンピック。
前半はちょっとガチャガチャしていて、なにを言いたいんだろう?とわからないことも多々あって・・・???な箇所もあったのですが・・・それがいつの間にやら、恐ろしい歴史の事実を導き出すことにつながって行く。
実はエッグは、満州で日本軍が研究・実験していたワクチン製造工場の中庭で行われていた。
・・・ここからがなにげに怖かった。背中をこちらに向けた3人の背番号が「7,3,1」と並んだ時は、一瞬身体がこわばってしまいました。俗にいう731細菌部隊のカモフラージュだったのね・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0252.gif)
カッコこそ、看護婦のような姿をしていて変なのに、彼らはエッグに見立てて実験を行い、廊下と競技場の間で囁かれる噂は、世の中の情報として流れだし、その部隊のことを書き記したものは容赦なく追われ、「○田」(マルタ)と呼ばれ「スレスレの死体」として扱われる。
・・・「スレスレの死体」とは人体実験の材料。カーテンの向こう側で顔を押し付けながらもがき苦しみ息絶えるマルタたち(ナチスのガス室みたいだった
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/dog_lose.gif)
そして、最後はその史実の結末を阿倍に背負わせて、要領よく別の国へ去って行くオーナーたち。
・・・なんとも切ない。
阿倍/妻夫木くん
舞台で観るのは初めてです。
目がキラキラ、ひたすら素直で明るくて爽やかくん。
最終的にはなにもかもを背負わされて車イスに横たわる姿が悲しかった。
苺イチエ
これまた、舞台では初めてでしたが、アイドルにしてロッカーで(?)とにかくかわいいし、お歌も上手い。
意に染まぬ結婚だったけれど、陥れられた阿倍のそばで、最後に見せる優しさは愛だったと思いたい。
お床山/藤井隆
身のこなしが軽くてお歌が上手い!!(・・・って、歌手デビューもしてたっけ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
おカマキャラだけど、なかなか男っぽい一面も。
オーナー/秋山菜津子
相変わらずのアクの強さ!
「お父様は、世界中の9割くらいのもののオーナー」という言葉にどんだけ~?とおののき、最後は鮮やかに時代と手を組み生き残っていく強さに脱帽です。
平川/大倉さん
TVドラマでずっと見てきて、一度生で観てみたかった人。想像していたよりすごく背が高くてびっくり。
最初からケガばかりしていて、お笑い担当っぽいけど、その最後は・・・可哀想すぎる
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
消田監督/橋爪さん
やっぱりTVの中の印象が強くて、こんな舞台で観るとは。
飄々としていていいキャラでした。お歌もそこそこ上手くてびっくり。
粒来/仲村トオル
その引き締まった肉体美にドキドキ。
すごく真面目でストイックで「戦争とスポーツだけが男が男であるための最後の砦だ」という考え方には、男のプライドを見た気が。
阿倍にセンターポジションを奪われ、彼は本当に自殺したのか?いや、死んだことにして自由になった、というのが正しいような?
とにかくラストに向かうほどいろいろなことを想像してしまい、背筋がぞぞ~っとしてきました。
舞台の上は、番号のついた細長いロッカーが並び、時折現れる展望台のようなもの、そして半透明色のビニールっぽいカーテン。舞台の奥は開いていての先こはエッグの競技場があるという設定らしい。
このロッカーから人が出入りし、くるくると動き、棺桶になったり?果ては汽車になったり。
舞台を横切るカーテンは人の移動を手助けしながら、衣装がパッと変わったり、その向こう側でいろいろなことが起こっているのを想像させるマジックのような存在でした。
舞台の楽しみのひとつには、こういったセットの早変わりや、より効果的な使い方が無精にうれしいのですが、それにプラスして照明の効果が素晴らしく、バックの白っぽいレンガ壁に映る様々な色合いがすごくよかったです。
野田さんの創る舞台は本当に難解で・・・何かを伝えようとするより、さあ、よく考えて想像してごらん、というのが多い気がする。
エッグという競技に見立てての、日本の過去の黒歴史。
この舞台、次はパリで?
この難しい題材を外国の人はどう受けとめるのか?うーーん。興味深い・・・
ちなみに、この舞台を直に観た娘その2は、満州における日本の731石井部隊のことを初めて知り、怖いと思いつつものめりこむように検索して調べまくったようです。
そして・・・「野田さんの舞台・・・ってやっぱりすごい。」ですって。