脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

続 敬老の日に発表された高齢者人口統計を読む―男女比

2022年10月30日 | エイジングライフ研究所から
表やグラフを眺めるのが好きな人もいるとは思うのですが、私には苦手な分野です。
敬老の日に総務省統計局から発表された高齢者人口統計。珍しく丁寧に読んでみて、敬老の日に発表された高齢者人口統計を読むとしてまとめてみました。
高齢化率が29.1%であること。わけても80歳以上の高齢者が増加していること。
2040年には総人口は11092万人。80歳以上人口は1578万人、つまり総人口の14.2%!言い換えれば国民の7人に1人が80歳以上ということになるという予測には、驚いた方が多かったようです。

今日の投稿はフロクです。
同じ年齢層で男女比を調べると、女性優位なんですよ。件の総務省のデータを張り付けてみますが、どのくらいの方が読んでくださるかわかりませんので、特にわかっていただきたいところを抜き出してみました。後のグラフは見てくださいね


ヒトのデフォルトは♀(女)。
どうも♂(男)は、か弱いということで出生時には女:男=100:105.0で生まれてきます。
64歳以下で見ると女:男=102.6。ところが65歳以上で調べると女:男=76.9。その後は直線的に降下して95歳以上では女:男=100:23.6。100歳以上だと女:男=100:14.8。
100歳以上の人口で見ると、女:7万人、男1万人。だいたい15%、百歳以上だと女7人対して1人が男ということになります。

1991年に、まだ世の中では全く目が向いていなかった「100歳」をターゲットに脳機能が元気な方の脳機能と生活実態の調査をしました。翌年ようやくダスキンのコマーシャル(100番100番)で100歳の双子のおばあちゃんが登場したのです。きんさんとぎんさん。
タイトル通り、1991年敬老の日の発表によると東京・神奈川・静岡・愛知での100歳以上の高齢者は819人でした。ちなみに全国ではたった3,625人!見にくいでしょうが、一応張り付けておきます。今年は約8万人です。
1991年の調査では、女;男=約4:1。それからしばらくは敬老の日の発表のたびに「あ~やっぱり女性は男性の4倍。男性はか弱く生まれて、やっぱり早く亡くなるんだ」と思っていましたが、100歳以上の人口が増加するにつれて、男女比はどんどん女性上位の傾向が顕著になっていきました。
つまり長生きになったことは間違いないのですが、その大部分は女性が占めている…

この記事を読んでいる男性の方はちょっとがっかりされましたか?それとも予想通りと思われたでしょうか?
この調査の時に興味深い傾向が明らかになりました。

調査対象819人の男女比は女:男=4:1
この調査は、前もってお配りしたアンケートから「脳機能が元気な方」を抽出して、「家庭訪問させていただいて脳機能測定を実施し、生活実態をおたずねする」ということを明記してあるものでした。アンケートをチェックした結果家庭訪問して個別検査する必要性がある方は71人よりも少し多かったのですが、マンパワー不足で伺わないうちに体調を崩したり亡くなられたりして、結局戸別訪問して脳機能検査を実施した方が71人だったのです。
戸別訪問した方たちの男女比を見ると女:男=4:3.
つまり百歳以上の方たちの中で、脳機能がイキイキしていらっしゃりそうな方々は男性の方が多い、ということですね。
さらに、脳機能検査の結果、前頭葉機能を含め脳機能がイキイキしてはっきりと合格圏にいる方は、全部で13人。その男女比は女:男=5:8.
つまり女性は長生きできますが、100歳超えてかくしゃくといられるのは難しい。男性は百歳を超えてかくしゃくと生きている人は、体の健康に恵まれているということでしょう。

結論。
私たちエイジングライフ研究所では「体の健康・脳の健康」といいます。どちらも大切に守っていくのはほかならぬ自分ですよね。
とても雑に言ってしまえば、女性は体の健康を維持して長生きできる特徴を持って生まれてきているからこそ、「脳の健康」にいっそう心を配るべきでしょう。
男性はか弱く生まれてきていますから、「体の健康」に注意して体を持たせるということにちょっと余分の配慮をしてほしいものです。

この調査からは、百歳ともなれば、多くの人たちは脳機能は全般的に低下していること。(819人中前頭葉機能まで合格した人は13人に過ぎない)
生き方の違いが脳のイキイキ度を生み、合格した13人には共通した生き方の特徴がみられること。
その特徴は、自分の人生は自分で生きるという覚悟があるのです。意欲・興味・感動を失わない。楽天的。自立心があるなど。つまり日々の暮らしの中で、自分らしく前頭葉を駆使する場面を持ち続けているということが最も際立った特徴だと思いました。





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