脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

右脳と左脳は得意分野が違う-その2

2016年06月13日 | 右脳の働き

もう6月も半ばになりますが、5月のアートフェスティバルでもう一つ心に残る言葉に出会いました。
コロナパークの半左さん。(写真掲載の許可は得ています) 

片隅にドラムセットがあって、普段は音楽家たちが集って音楽の練習もするということがうなずける室内には、明るい色彩の楽しくなるような抽象的なパステル画の作品が展示されていました。半左さんは「写真をやってます」と自己紹介されましたが、写真家であり、画家&音楽家。う~ん、右脳の塊のような方なのでしょうね。

「ほんとうは題は書きたくないんです。みてどう感じてもらうかだけですから。見るのも感じるのも自由」

「谷川先生(アートフェスティバル創立メンバーのおひとり。画家)がおっしゃったのですが、思ったように、感じたように描けばいいのです。上手も下手もありません。
描けるけど話せない。話せるけど描けない。人って色々です」
半左さんが続けます。
「八幡野に岡野元勝さんという人がいて、毎日毎日、八幡野港の絵を描き続けたんだけど、知ってますか?」
そこまでお話しを聞いて、私は数年前のアートフェスティバルで特別展があったこと、八幡野港だけを描いたその画家を谷川先生が絶賛されていたことを思い出しました。
「はい。おもしろ博物館の展覧会に伺いました。今も少し常設されてますよね」
帰宅してチェックしたら、2012年に「5月の右脳訓練-アートフェスティバル」としてまとめてありました。後半に書いてありますが、「『描きたいもの(色?心象風景?)がまだある!』という思いが痛切に伝わってくる不思議な展覧会でした。これは感動的でしたよ。」

だれに見せるのでもなく、もちろん評価してもらう気持ちもなかったのです。ただ描きたいからなのか、描かなくてはいけないという思いに駆られるのか、とにかく毎日描き続けたそうです。
内からほとばしるもの(意欲)を感じました。それは岡野さんの右脳と前頭葉の連携プレイのなせる業ですね。


半月ほど前の新聞記事に興味深いことが書いてありました。
アートディレクターはたよしこさんの記事です。はたさんは「アール・ブリュット(精神障害や知的障害を持つ人たちが作りだす作品。フランス語で生の芸術の意味)」を広く認知してもらい、またその価値を理解してもらいたいと活動をしている方です。滋賀県に、アール・ブリュットの作品を収集する美術館の建設にも尽力されています。

記事中の言葉です。
「障碍者は自分の思いを言葉を使って人に伝えることが健常者に比べて上手でない分、自分の感情を創作物を通じてよりストレートに描き出しています。」
丁寧に解説された文章よりも、思いのままに表現された絵画の方に、その人の心情を感じることができることは十分に理解できます。
もともと、コミニュケーション能力を支えるものは、ことばによる部分よりは表情や身振り、声の高低、大小などのアナログ情報の部分の方が受け取られやすいものなのです。
右脳の持つ実力をもっと正しく伝えたいものと思っています。


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