もう10年以上小布施町の認知症予防活動にかかわっています。毎年2回は伺って、そのうち1回は講演会なのです。
講演会にいらっしゃるのが初めての人がいる以上、どうしても同じような講演を繰り返すしかありません。
でも、今年はちょっと攻め方を変えてみました。
ところで、小布施町在宅介護支援センターに、左図のようなパンフレットがありました。須坂市と高山村と小布施町の地域医療福祉推進協議会作成のものです。
どのくらい捌けるものか、見通しがつかなくて一応40部受け取っていたのだそうです。
講演後、そのパンフレットが全部なくなってしまいました。
- 「聞いておいたほうがいいと思うのだけど、微妙な問題なのでなかなか口にしにくいテーマです」
これは在介のスタッフだけでなく、普通の人々の間でもよく耳にする言葉なのですが、体も脳も元気なうちにはっきりとした意思表示をしておくことは大切なことに、間違いありません。
内容は、終末期医療に対し以下の項目に対して希望の有無を尋ねる形式です
1.心臓マッサージなどの心肺蘇生
2.延命のための人工呼吸器
3.人工透析の開始
4.胃ろうによる栄養補給
5.鼻チューブによる栄養補給
6.点滴による水分の補給
「認知症予防講演会」との関連性に疑問がわく方もいるかもしれません。
エイジングライフ研究所は認知症は生活習慣病ととらえています。
脳は年齢とともに老化するものであり、年齢相応の老化である場合は認知症ではなく「歳のせい」。
いっぽう認知症は脳の老化が加速されたものととらえるのです。(認知症の90%を占めるアルツハイマー型認知症の場合)
脳の老化が加速されるのは、脳が使われないからで、それは体の働きや身体機能と全く同じです。(廃用性萎縮といいます)
その人らしい、イキイキとした生活を続けていれば(つまり脳をよく使っていれば)、正常範囲の老化はあってもボケにはなりません!
体の不調や、心配事、生活が大きく変わることなどをきっかけにして、それまでの生活ぶりと大きく変わってしまって、生きがいも趣味も交友もなく、運動もしない生活になると、それは脳を使っていないということなので、老化が進む(廃用性萎縮)という割合に簡単な図式です。
認知症は、正常からジワジワと進行していくものです。
まず小ボケ。社会生活だけに支障が出る状態。
ついで中ボケ。家庭生活上にも支障が出ます。
そして大ボケ。セルフケアもおぼつかない、世間でボケという状態。ここまで来ると治せません。
大ボケまでは治療可能。大ボケになるまで普通だと6年以上もかかります。
ここの理解ができたら「ボケたくない」という高齢者の希望が実現可能ということが納得できるのです。
「どういう生活が認知症につながるのか」「どういうきっかけで、脳の老化が加速されるか」を知らなくてはいけません。もちろんそれを避ける!
何らかのきっかけがあった時には、老化が加速していないかどうかをチェックする。
老化が加速していたら、脳のリハビリ。
小布施町には強みがあるのです!脳の機能に合わせて参加できる教室があるのです。
特に一番難しいごくごく初期の方には脳のリフレッシュ教室。からなず自分の行けるところにその教室があるというのは全国的に見ても他にはないでしょう。
高齢者はボケたくない!
町も国も、ボケられたら経済的に支えきれない!高齢者に年間13兆円もかかっています!
ならば、体がもつ間、脳も持たせること。
「体には、限りがありますね。人は必ず死にます。そこまで脳を持たせましょう」
毎回同じことを話していますが、今回は単刀直入にお話ししました。
その結果が、上のパンフレットを希望する人がたくさんになったということなのです。
そうですよ。ボケるかどうかは生き方の問題なのですから、自分らしくイキイキとした生活を探して生き続けてください。
左の方は、北部の脳リフ教室の北沢会長。
前日の10周年記念茶話会の時に
「どこかに外出した時には、ここに教室のみんなを連れてこれるかどうか一番に考える」といわれました。
私は言いました。「まちがいなく教室のために気を配っていらっしゃるのですが、それが会長さんのボケ予防。
いつもの素敵な替え歌もみんなのためでもあり、ご自分のためでもある」
右の方は、講演後質問をくださいました。
「歌や音楽の意味は?」もちろん「右脳の分野だ」ということを説明しましたが、なんと長野オリンピックの時にご活躍なさったほどの草笛の先生。
今度、音楽好きな北部の脳リフ教室に、教えに行ってくださるということでお二人が固い握手をなさってる図です。
ボケ予防を目指している町っていいでしょう!
参考までにこちらもお読みください。
小布施町「脳のリフレッシュ教室」テーマソング(続)
小布施町「脳のリフレッシュ教室」テーマソング(又)