脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小布施便り―認知症予防活動の成果

2015年02月26日 | 各地の認知症予防活動

恒例の小布施行き。
今回は町議会議員さんと民生委員さんたちへの講演会が計画されていましたので
「認知症予防活動の成果を数字的に説明できないかしら」とデータを要求してみました。

小布施町といえばこのちょっと古いグラフをまず出しましょう。そろそろ4年前の資料ですけれど。教室参加者は「維持」以上を維持しているようですよ。
 

伊豆高原のサクラ(2月24日)

活動が開始されたのは平成12年だったと思いますが、当初のデータがなかなかそろわないということで、平成24年度以降の新しいデータです。

介護給付費/1件あたりの経年変化のグラフです。
小布施町の、1件当たりの給付金額は国や県平均と比較して少額で済んでいます。スタート時点での比較をしたくなりますね。
ただ、平成26年度に急に増加した理由ははっきりしません。
きちんと分析するには、高齢化率の推移などチェックしてみないといけないでしょうけど。

要介護認定率の経年変化にも同様の傾向がはっきりしています。

介護保険料の推移

介護保険料が高額化していくのは、上の二つのグラフから納得できます。介護保険を受ける高齢数そのものが増加していることは間違いないことでしょうが、もう少し多方面からの分析が待たれるところです。
国は、介護認定を厳しくし、施設利用よりも家庭介護を進めて1件当たりの給付額を抑えようとしています。介護保険制度そのものを維持するためには必要な方向でしょう。

こういう考え方をしてみませんか?
エイジングライフ研究所は、高齢者のアルツハイマー型認知症と言われる認知症の大部分は生活習慣病だと考えています。何かのきっかけからそれまでのその人らしい生活習慣をなくして、「生きがいもなく、趣味交友を楽しむこともなく、運動もしない」いわゆるナイナイ尽くしの生活(脳を使わない生活)に入っていくと、脳の老化が加速されて、だんだんに認知症が進んでいくと考えます。

それならば、他の生活習慣病の予防と同様に、予防は正常レベルや軽度のレベルの方が、簡単だし有効です。もちろん重度に向っていても、より重度化しないための予防は必要ですが、重度になるほど困難なうえに効果も期待できにくくなります。

問題は、重度化するほど、つまり症状がはっきりしてきますから、発見が簡単なことです。逆に言えば、正常や軽度のレベルの人に生活習慣病予防を行う場合には、症状がはっきりしませんから、目安となる客観的指標が必要になるということです。


例えば、糖尿病ならば「血糖値」を駆使して、正常者にはこの生活習慣を維持するように指導するでしょう。正常下限から異常値に入り始めた人には、栄養指導や運動を取り入れるように指導するはずです。
認知症も同じです!
脳機能検査が必須なのです、症状ではなくて。
特に、困った症状に焦点を当てるアプローチでは重度化するまで待っていることと同じですから。

脳機能検査によって得られた脳機能のレベルに応じた生活指導をする。そうすることで、初めて認知症の早期発見、改善が可能になります。

小布施町の宣伝をしましょう。
上にあげたグラフも誇れるものだと思いますが、実は認知症の相談や生活改善指導のレベルが「正常」や「小ボケレベル(家庭生活はできるが社会生活にトラブル)」中心、つまり効率がよい生活習慣病予防が実践されているということです。

そして、適切な脳リハビリのためのグループ紹介までできていることです。
正常や小ボケレベルの方たちには「脳のリフレッシュ教室」
中ボケの方たちには、もう少し密な教室を、さらに重度の場合だと介護認定を受けるように勧めています。
だから上のグラフにつながったと思いますけれど…


南相馬市便り

2012年09月10日 | 各地の認知症予防活動

南相馬市へ行きました。今、静岡県牧之原市のU田保健師さんが災害派遣ということで、南相馬市にいるのです。メールのやり取りののち
「それでは保健師さんたちの勉強会をやりましよう」ということになって伺いました。

福島駅前
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「現在も県外、市外に避難している方、市内外の仮設住宅・借り上げ住宅など、自宅で生活できないで1年以上が経過している方が約3万人(人口7万人中)もいる現状です。

私は幸いにも仮設住宅や借り上げ住宅に訪問して健康調査などを実施していますが、先生も依然、ブログで書いていらしたように、やはり今後の高齢者増加がとても心配されます。

避難所を転々とし、つらい思いをされ、急激に認知症状が悪化してしまったというお話も聞きます。

もちろん、仮設だけではありません。そこここに気になるお年寄りがいます。でも、何もしてあげられません・・・

今なんですよね、認知症の予防って。

もちろん周りの保健師さんたちが、忙しいということは十分にわかるんですけど。自殺予防は避けて通れないし。検診、相談、ほんとに忙しいのです」

U田さんが言ってきたことを反芻しながら、2時間の道を南相馬市へ行きました。
バスは一見平穏な山道を進みます。

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残暑厳しい日でしたが、山を越えると急に天気が変わりました。

雨がさぁーと窓ガラスをたたきます。

山には霧が立ち込めて、この柔らかい湿り気が木々を癒すだろうと、酷暑のことをひと時忘れてしまいました。

木々や家畜や人々にやさしいこの地形が、あの原発から吹き上げられた空気を呼び込んでしまうことになったとは。

全村避難の飯舘村でした。
山を下ってしまうと明るい日射しが輝いていましたが、その中で家々は雨戸を閉め郵便局もしまっていました・・・
家畜たちを置いて避難した住民の方々の思いはいかがだったでしょうか・・・

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さて勉強会ですが、「(症状からではなく)脳機能から認知症を知る」という方法があって、その考え方だけが「認知症の早期対応や予防が可能になる」ことをどのくらい伝えられたのかと思います。
それでもたくさんの保健師さんが、興味深く聞いてくださったことで、伺った甲斐はあったと思いました。

南相馬市役所 

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認知症の一番早い段階では、前頭葉機能の低下が起きるのですが、その状態の方々をイメージされた保健師さんが何人もいましたね。

ただ、一般的な普通の「小ボケ」というよりは、元来の性格の影響もあって、ちょっと困った症状を出す人たちのほうが話題に上りました。

どうしても認知症=困った症状を示すという図式があるのです。
勉強会でも繰り返したように本当の「小ボケ」は、「困った症状」というよりは「なんだかちょっと変」ということを起こします。つまり年のせいなのかどうかが明言しにくいところがあります。だから脳機能検査の数値がないと指導につなげることができないのです。

ロビー(1)

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血糖値を使えば、正常者にも健康教育ができます。糖尿病の症状が出ていなくても血糖値が高いというだけで強い生活改善指導をしますね。

同じような考え方を取り入れて、認知症の一次予防、二次予防に取り掛からないと、2~3年先が気がかりです。

本当に大変な毎日を過ごされていると思いますが、認知症の予防は保健師さんの独壇場なのです。生活ぶりと認知症が見事に一致するということについては、皆さん納得されましたよね。

生活改善指導だけが(早期の)認知症を改善させられる方法です。

ロビー(2)

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続 57歳の息子を突然亡くした86歳の女性

2012年07月25日 | 各地の認知症予防活動

ランタナいろいろ
2012_0718_093800p1000089エイジングライフ研究所は、
「認知症予防活動は、もうけを生むことができない(お金が入ってこない)。そのために、予防することによって介護負担が増大しない(お金が出ていかない)ということそのものがメリットとなる自治体に、二段階方式のノウハウを渡して認知症予防活動をやってもらう」ということを、設立の理念として始めました。

それに先だって、各地で「住民のため」という思いを持って活動している保健師さんたちとの多くの出会いがありました。
それまでにはほとんど保健師さんについて知ることはありませんでしたから、新鮮な驚きでした。

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前回のブログに書いた保健師さんから今朝もう返信メールをいただきました。

2012_0718_100100p1000097高槻先生

早急にお返事をいただきありがとうございました。

認知症の予防活動がまさにこういうところから始まるのですね。

お気の毒と思っていないで、しっかり介入できるのが保健師活動なのですね。

先生のコメントは。何時でも元気をいただくようで・・・気持ちが前向きになります。

ありがとうございました。以下略・・・」

2012_0718_093600p1000085保健師さんの存在を知った時に
1.赤ちゃんから高齢者まで、すべての年齢層に対しての活動ができる。

2.家庭にまで入り込んで活動することができる。

3.健康な人も病気の人も守備範囲。

なかなかない職業だと感嘆したことをまた思い出しました。
言葉足らずの文章でも、私の思いを酌み取ってくださったN山保健師さん。そして後輩の皆さんたち。

がんばってください!


平野保健師さんー大船渡市

2012年07月11日 | 各地の認知症予防活動

人生ってこんなことがあるのですね。

先月メールが飛び込んできました。
「ー略ー 実は7/6に東京に行く機会があり、もし先生も東京にお出でになることがあるのであれば、お会いしたいと思いまして連絡いたしました。
平日ですし、ご迷惑かと思いましたが、なかなか東京以南に行くことがないので、連絡をした次第です。ー略ー」

私はその7/6に東京経由で十日町に行く予定になっていました!
もちろん会いましたとも。

2012_0706_175900p1000032あまりにも話が弾んで、写真をとることを忘れていました。
別れる時にあわてて撮りました。

10年以上も前に研修会に参加したそうですから、その頃はどんなに若い、可愛い保健師さんだったのでしょうか?!
その後、母子担当を経て今は成人担当ということでした。

担当を外れたこともあり、もちろんあの東日本大震災もありで、「認知症予防はなかなか・・・」と残念そうに話してくれました。
「どうですか?認知症は増えてきてるでしょ?」と問うと
「担当者に聞くとそのようです・・・」
2012_0705_174100p1000093「エイジングライフ研究所の考えだと、あれほどのことが起きてしまうと、半年たつと認知症が始まるということになります。
そろそろ被災地に小ボケが・・・を書いたのは2011.9.19でした。

それから3か月後「予想的中・・・仮設生活に小ボケが・・・」では生活不活発病は体だけでなく脳機能にもあてはまることを言いました。

イキイキと自分らしく生きられない方が納得がいくともいえるほどの大震災だったんですよね。認知症は生活のありようで起きてくるものですから、当然脳の元気を失っていく人たちが増えてくることは、まさに想定内」2012_0705_174100p1000094

平野さんが話し始めました。
「私が最初にボケ予防教室を立ちあげたところ、一か所ですが、その後も自主活動が続いていたのです。
もみじ会と名前もついて、お揃いのジャケットも作ったりして、グランドゴルフを楽しんだりして。
そのもみじ会が、この前からみんなが集まって活動を再開したんです。
確かに皆さん元気な印象が強いです!」

今もこんなに若いのですから、ボケ予防教室を立ち上げた時にはほとんどフレッシュウーマンだったのではないでしょうか。
その時蒔いた一粒の種が、震災で大変な思いをした方々の生きる力になろうとしています。
2012_0705_174200p1000095「なぜ、もみじ会は自主活動につながったのかしら?」と問いました。

「最初に保健推進委員にお話ししました。『地域の問題なので』と町内会長さんにはなしを持っていってくれてました。
会長さんがとてもよく理解してくださって、公民館長さんともども協力的で、地域の皆さんを引っ張っていってくれました。会長をやめられた後も一住民として参加してくださって。
そうですね。認知症予防をよく理解してくれている強力なリーダーの存在が一つの条件になりますね。
そういう方がいるところは、婦人会の方も尽力してくれますしね!」2012_0705_174200p1000096_3

東北の各地でこのような脳の健康のためということを旗印にした集まりができてくれるといいのです。

実は今夜大船渡市のうさぎのしっぽ代表の熊谷さんから電話をいただきました。
「一度教えてあげると、また挑戦する方が多くて。布と針を持って、チクチクすると楽しいようです。
私もちょっとでも皆さんのためになれたら嬉しいです」

私はこのような言葉を聞くと嬉しいです!
復興はまだまだかもしれませんが、どうぞお元気でと祈る気持ちでいます。


講演会in開田高原

2011年11月19日 | 各地の認知症予防活動

この講演会に関して、一番に報告しなくてはいけないことは、講演に先立って予防教室の方々による発表が行われたことです。
10月に入って、木曽町のY保健師さんとの打ち合わせの中で、私がふと思いついて「教室の方々に発表していただいたらいいんじゃないの?」と言ったことが始まりでした。電話の向こうで一周固まった感じがしましたが(笑)

Y保健師さんにとっても予想外のことだったわけですから、それを持ち掛けられて教室の皆さんもびっくりされたと思います。
最初の話をかけた時に「意外や意外。案外、乗ってくれるものなのよ。認知症の予防教室というのは積極的な楽しい生活の大切さをを教えるものだから」と説明しておきましたが、「地域性もあるし…」とどうなるか楽しみにしていました。

会場入りすると、おしゃれなむらさきグループが!胸にはブローチまで付いています。後で聞いたのですが、皆さんで図って風呂敷で衣装を作り、ブローチをつけることも全員一致で決められたそうです。2011_1101_132800p1000203 2011_1101_132900p1000204                                              

保健補導員会長挨拶(素晴らしかった!)2011_1101_133100p1000205        このリーダーさんの挨拶も!2011_1101_134000p1000207

合唱「青い山脈」 重唱「もみじ」 輪唱「かっこう」2011_1101_133800p1000206

最後の輪唱は会場を巻き込んでの大合唱になりました。
先日の塩竈市でも書きましたが、本当の認知症予防のためには、皆さんの生き方や人生観が変わっていくことが必要だと思うのです。
演じられるものの優劣よりも、どのくらい楽しみ、またその楽しんでいる力がどのくらい観客の方にも浸透するかというようなことを、私はいつも感じながら拝見しています。
左の男性群は、自立した生活をしながら、楽しみごとにもあれこれと意欲的、積極的に参加していらっしゃるとのこと。さすがですね。

寒くなったことでしょう。皆さま風邪にご注意ください。そして滑ったりしないでくださいね。

言い忘れていました。役場の方でしたが、どなたかが「この会場にこれだけ人が入ったのは、見たことがない」とおっしゃったのが聞こえました。今年2月の木曽町日義地区での講演会でも同じ言葉が聞かれたのです。本当に「認知症予防」は興味を持たれているテーマなのです。
保健師さんたち。住民の希望にこたえてあげましょう。

開田高原からも記念写真が、すぐに届きました。ありがとうございました。


12年目の「脳げんき教室』との再会ー元気な塩竈人

2011年11月05日 | 各地の認知症予防活動

塩竈市のK田保健師さんからお知らせが来ました。「ダンベルサークル・元気教室交流会で元気になろう !」という催しがあるのです。

「脳げんき教室!、懐かしい」
丁度、一関市や気仙沼市に伺う時でしたから、お邪魔することにしました。
当時一緒に勉強した保健師さんたちが、なんとまあ定年を迎えられていたり、結婚されていたり・・・

12年の歳月を感じさせられました。2011_1026_081000p1000103

朝早く家を出て、東北新幹線「はやぶさ」に、乗ってみたかったから乗って行きました。私はこうやってちょっとでも旅を楽しみます。

塩竈市へは、講演や勉強会など何度も行ったものです。
仙台からの電車の車窓から、震災の爪痕はいかがかと、一生懸命街の様子を伺いましたが、見える範囲はごく普通の日常的な町並みが続いているだけでした。
会場に向かうタクシーの運転手さんにお見舞いを言ったら、震災時の体験を話し始めてくださって、会場についても話が止まりません。7か月の時が過ぎたので、話せるようになったのでしょうし、話すことで少しはショックを越える御手伝いができれば幸いなことと耳を傾けました。一見平穏な街の様子と「あの時」のギャップの大きさに改めて気づかされました。

さて会場は大盛況。
お隣、多賀城市民サークル「多賀モリ会」の皆さんの「多賀城元気モリモリ体操」の挨拶が始まっていました。2011_1026_113600p1000114

写真右の星さんが「運動機能低下に運動を積極的にすることで立ち向かうのと同じように、介護予防にも取り組みます」という趣旨のご挨拶で正しいアプローチだなと感心していたら、このサークルは、二段階方式をお教えしたT野保健師さんがたちあげたとか。
平成19年より95名で開始して、現在15班で自主活動になっていると聞きました。

ステージ上で「多賀モリ会」の面々が、活動的な「365歩のマーチ」に乗った体操と、「川の流れのように」が流れる穏やかな体操を繰り広げます。
「会場の皆さんもご一緒に」の呼び掛けにこたえている様子です。2011_1026_110900p1000113 2011_1026_110900p1000112         

500人くらいはいらっしゃったと思います。皆さんが一斉に体操を始められるのを見て、12年前から始まった「脳げんき教室」の一つの成果だと思いました。

脳機能検査を取り入れた教室の運営が、さまざまな要因で困難になっていると聞いていました。当初の形でそのままに続いている教室は、あまりないのかもわかりませんが、精神が息づいていると思いました。
私の目の前のグループは皆さん黒で統一された服装で胸元には手作りのひまわりブローチというおしゃれさ。カメラを向けた方は89歳 2011_1026_114500p1000117

「『梅の宮高砂クラブ』は、最初に手掛けた教室!いまだに続いているのです!」とK田保健師さんが教えてくださいました。

「まあまあ」とひとしきり盛り上がり、記念写真も撮っていただきました。帰宅したら、私よりも早くその写真が届いていました。リーダーの宮本さん(前列右)が封筒までご用意くださったそうです。Img_0001

ひと月3回の午前中だけの教室ですが、目的が「心身の健康づくり」と明確なところがいいですね。「脳の健康のため」ともっとはっきり打ち出した方がいいかもわかりません。
楽しげな雰囲気が伝わってきました。

脳機能検査があると、この12年間で、脳機能は改善していることがもっとはっきり分かるのに・・・ちょっと残念でした。
長期間追跡した脳機能テスト(小布施町と豊科町)

最後は「創作リズムダンベル」会場をAとBの2グループに分けてダイナミックなダンスを見せていただきました。右半分と左半分が違うダンスをしていることに注目!
誰でも感動すると思います。それほど見事でした。

でも私はもう一つ感慨深いものがありました。
これだけ広い会場で、とにかく集まった高齢者全員が誰もためらいもなくダンスに参加するということ、そのものにです。
そういう生き方が身に付いている、ということではないでしょうか?
これが、12年も前から塩竈市が取り組んできた「認知症予防活動」の一つの成果ではないかと思うのです。事業の名前はいろいろに変っても、「体と脳の健康づくり」を念頭に置いて、市民の皆さんに接してこられたということでしょう。これからもがんばってくださいね。2011_1026_120100p1000121

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指導の金澤先生。びっくりするくらいの若々しさに理由をお尋ねしたら
「この体操と出会ったからだと思います」
そこで私
「もしも、1人で毎日体操をしている場合、とこのように多くの方に教えてあげる場合と同じですか?」
金澤先生、笑いながら
「そうですね。一人でないところが一番効果的だったのかもわかりません」

繰り返しますが、これだけ多くの高齢者が、一斉に体操ができるということそのものに、そのような生き方ができるということそのものに、私は感動しました。
保健師さんたちの保健指導あってのたまものだと思いました。


宮城県はがんばっています

2011年08月18日 | 各地の認知症予防活動

私が今回の東日本大震災で被災された宮城県の多くの町を、ボケ予防の講演会や保健師さんたちの勉強会で訪れたことがあることは前の「岩手県田野畑村」にも書きましたね。
エイジングライフ研究所二段階方式の認知症予防活動のツールを導入し継続している市町村は、合併後でも17市町村あります。
月下美人(一夜花です)2011_0812_205100p1000219

もう15年くらい前の話です。当時宮城県知事をなさっていた浅野さんと面識がありました。浅野さんが「ボケ予防」に理解を示してくださって塩釜保健所、気仙沼保健所などが、市町村のボケ予防活動のバックアップをしてくれたのです。

もう一つは、国保中央会主催の「保健婦等老人性痴呆予防活動指導者養成事業」の委託を受けて平成10年から3年間実施しましたが、そこからスタートの町もあります。

一緒に活動したのはずいぶん前のことですし、それ以前に今回の震災の被害状況もはっきりしない中での電話でしたから、ほんとにドキドキしながら掛けたのです。

嬉しいことに電話の向こうの保健師さんの声は
「懐かしい。電話をありがとうございます」といった気持ちが伝わってくるものでした。
朝の月下美人2011_0813_063700p1000221

私の電話の目的は、遅ればせですが何よりお見舞い、そしてもう一つが
「3.11の時、正常だった高齢者をボケさせないで」ということでした。

生活が大きく変わって、ナイナイ尽くしの状態が半年続くと、脳機能検査の結果にもはっきりとその低下が見えるようになってきます。
その時になっても、まだ大丈夫。
本人が納得できる能力はまだ十分に残っていますから、よくよく認知症になるメカニズムを説明して生活改善指導をしてあげれば回復は可能ですから。

保健師さんたちが忙しいのは承知の上ですが、一日でも早く高齢者の方々に手を打っていただきたいと思ったのです。震災後もう5カ月ですから、どうしても電話をしなくてはという思いで受話器をとることができました。
つぼみは上向き2011_0813_063700p1000222

役場が流されたところもありました。

海に面してないために、大きな被害をこうむることがなかった町もありました。そのようなところも、被災された方々を受け入れて訪問をしていると異口同音に言われました。

「仮設住宅に集会所があるけど、人の顔もわからなければ、近所の地理もわからない状態で、コミュニティができあがるかどうか…と悩んでいます」という声もありました。

ところが、沿岸部を抱えている七ヶ浜や塩釜や名取の保健師さんたちから、うれしい話を聞きました。
「ボケ予防教室をやっていてほんとによかったと思いました」

何と、ボケ予防教室をもう10年以上も続けてくれていたというのです。
ボケ予防教室が、一般的な介護予防教室や転倒予防をテーマに据えたものになっているところもありました。このようにそれぞれの町で違いもあるでしょうし、一つの町でも2011_0813_070500p1000224
「一応全地域に教室ができました」
「教室によって温度差はありますが、自主活動が原則で、保健師は手伝いや脳機能検査にいくだけのところもあるのです」
「活動が活発なところは、必ず活動を引っ張るリーダーがいます」

こういう町の震災後の動きは、そうです田野畑村と同じなのです。

大体3カ月目ごろになると、高齢者の方から
「こうして引っこんでるとボケてしまう」
「集まるだけでもいい」
「みんなの顔を見て話すだけでもいいから」と活動が始まったのだそうです。

「会長さんが熱心なところほど早く動き始めました」
「仮設住宅だったのですが、ボランティアさんたちの協力体制も早くに整いました」
「元々、活動が活発なところほど動き始めが早かったです」2011_0813_070900p1000228

10年以上も前にまいた種が、あの宮城県で実をつけています。

予防活動は、どうしてもあとまわしにされる活動です。多忙な保健師さんたちが、「ボケ予防活動」を続けてきてくださったことに、深い感銘を覚えました。

もし先行するこの活動がなかったら、保健師さんも驚くような住民パワーが発現されたでしょうか?

ほんとうにありがとうございました。身体に気をつけて、大変な中にも幸せや楽しさを見つけて頂きたいと思います。


岩手県田野畑村ーよみがえった認知症予防教室

2011年08月16日 | 各地の認知症予防活動

わたしは今回の東日本大震災の被害をこうむった多くの市町村に伺ったことがあります(岩手県と宮城県)。
震災の直後は、ご連絡するのもはばかられると思っていましたが、そのうちに「怖くて様子が聞けない・・・」という気持ちになっていきました。
朝の散歩の途中で

でも、もう5カ月。お盆も来るし。
そして何よりそれまでの生活が一変してナイナイ尽くしの生活に陥り、半年経つと、前頭葉機能の低下がはっきりと検査でもキャッチできるタイミングになるのです。
ナイナイ尽くしの生活は、生きがいもなく、趣味を楽しむこともなく、交友もなければ運動もしない何もやらない生活です。よく世間では「硬くて、まじめな仕事一筋の人が退職して3年たつとボケる」というでしょう。あの立派な方が、退職後家から出ずにどこへも顔を見せない、家では新聞読みながら居眠りしている、そのような生活ぶりを想像してくださればいいと思います。
今回は、「やらない」というよりは「やれない」状況が起きてしまったのですが。
そこはよくよくわかります。
家や仕事や家族を失った高齢者の方々の心中を思うとその過酷さは想像を絶するものがあると思います。「何も考えられない。何もできない」これであたりまえでしょう。
避難所、そして仮設住宅と環境が整うとかえって直後にもまして日ごとに暗澹たる思いが迫ってきたかもわかりません。

私は「でも・・・」というしかありません。この上にさらに「ボケてしまう」ということはさせたくありませんから。もう保健師さんたちの出番だと思って、重い腰を上げました。
一番最初に電話をかけたのが、岩手県田野畑村。K保保健師さんにつながるまでドキドキ。
耳に飛び込んできたのは、明るく元気な笑顔までが想像できるような声でした。そこから続いたうれしい話を報告します。

「実は教室がもう動いているんです!
介護予防教室の『はつらつ教室』があったんです。田野畑では介護予防は二本柱。寝たきり予防と認知症予防。寝たきり予防には体操で、認知症予防にはみんなで集まって、ゲームや歌や右脳を使ってということが皆さんに浸透していたみたいです」
「あの後しばらくしたら、浜(当然大きな被害が出たところです)の皆さんの方から『やりたい。やらねば』という声が出てきたんですよ。びっくりもしましたがうれしかったです。」                  
「さっそく再開のめどをつけて、皆さん楽しまれています。『話して笑うことが大切だねえ』とこちらの言いたいことを言ってくれます。
先日は、『そろそろみんなで手仕事をしたいね。でもみんな流されて、針一本ないんだもんね』と話されていましたが、みんながいるせいでしょうか、暗くないんです。(私送りますから待っていてください!)

続けて被災地でないところも教室が再開されました」                「その他にも、仮設住宅の中の集会所を使って、遊ばせ上手な幼稚園の先生をやった方が、ゲームやレクや体操もやってくれています。
二週間に一回ですが、皆さんが楽しみにしてくださってるのと、やはり生活に変化が出てくるので、脳にはとてもいいと思います」
どうしてこんなにうまくいってるのかという質問に対するK保さんの答えです。

「エイジングライフ研究所の言うとおりにしたんですよね。
小さい村なので、教室はまとめてやりたかったのですが
①地区ごとに。隣近所で顔がわかるほうがいい。できれば歩ける範囲で。
②かくしゃく高齢者のいるところで、その方によく理解してもらって。
③ボランティアさんを意図的に引き込む。
④子ども会との交流も図る。
そのようにしました」ちょっと笑っているみたいでしたね。

「5回は保健センターがかかわって、パワーポイントや小冊子を使って、認知症予防の理解を深め、右脳を使う体験をしてもらい、その後自主活動、というパタンだったのですが、続いていたのです。
①②③④ともに必須条件だったことがよ~くわかりました。認知症予防って地域活動なんですね!」

身体を大事にがんばってくださいね。一番最初の電話がこんない素晴らしい電話で本当にうれしかったです。        


小布施町「脳リフレッシュ教室」テーマソング(続)

2011年07月29日 | 各地の認知症予防活動

ブログを見た小布施町在宅介護支援センターの皆さんからお返事がきました。
「皆さん」は変と思われるかもしれませんが、差出人が「在介一同」となってました。みんな一丸となって認知症予防活動をしているということなのでしょうね。ちょっとうらやましい感を持つ保健師さんもいらっしゃるのでは?

ところで、小布施町の在宅介護支援センターは、小布施町健康福祉組織が集約されている「千年樹の里」にあります。これもまたすてきな名前ですね。

「先日送らせていただきました歌詞をさっそく見ていただきうれしく思います。
ブログも!

K沢さんにもご報告させていただきました。
北部の皆さんは教室時、お話することも楽しんでいます。
みんなの普段話すことをそのまま歌詞に書いたというK沢さんのおっしゃった言葉もまた感動です!」

テーマソングをもう一度味わってみてください。
それからこれも。3/7にアップしました。H

一つの理想的な教室ができていると思います。このような考え方を教室に集まる皆さんが共有することが大切です。
「すごいなあ」と感動する保健師さんも多いでしょうから、なぜこのような考えや雰囲気ができあがったのかを検討してみてください。どんな条件が整ったのでしょうね?

中伊豆ワイナリー2011_0723_141900p1000156 7月に富士山が見えるのは珍しい。        のん兵衛さんには目の毒?2011_0723_143300p1000158_2


小布施町脳のリフレシュ教室交流会その2

2011年03月08日 | 各地の認知症予防活動

小布施「脳のリフレッシュ教室交流会」の続報です。

都住地区
自主活動がちょっと停滞していたそうですね。再開おめでとうございます。
交流会に参加されると「がんばろう!」という気持ちになるでしょ?続けて頑張ってくださいね。
コミュニティの職員の方の熱意が伝わります。合唱曲「信濃の国」に会場の皆さんが唱和しましたね。選曲の勝利です。赤いバンダナも映えていました。2011_0225_142100p1000033 2011_0225_142500p1000031

東部地区
手話の合唱曲「見上げてごらん夜の星を」と体操「いい湯だな」
東部地区はボランティアさんたちが中心になっている教室ですね。やってあげすぎないように、教室生の方々ができることは何でもやってもらってください。楽しそうでした!これはとても大切なことです。「手話をしながら歌う」のは難しいのによく揃っていて感心しました。赤襷に鈴が付いているのもよかったです。
手がよく伸びています。                 大浴場で気持ちよく入浴中?2011_0225_143100p1000029           2011_0225_143000p1000030
  

中町地区
今年のニューフェイス。老蓮青年部が主体になるという形での教室スタートは初めてのはずです。何をしたらいいのか?とちょとばかり不安だったかもしれませんが、遊び心いっぱいでしたよ。オケの前奏!何々と思ったら、素敵な男声のアカペラ。皆さんの衣装もその自由さがいい!!来年が楽しみです。2011_0225_143900p1000027 2011_0225_144400p1000026        

東町・上町地区
若かりし頃の保育園。何てかわいい、何てやさしい発表テーマでしょう。
東町・上町は立派な演目が多かったように思います。それはそれでとてもいいのです。演じている方も、見ている方もいい気分になりますからね。一方で今年のようにユーモア一杯、やってる人達から笑みがこぼれるようなのもすてき!手作り楽器、パート演奏も。練習をたくさんされたでしょう 。   
ウサギのダンス2011_0225_144900p1000023                     山田の案山子2011_0225_145100p1000021                      

山王島地区
老人会の長寿会が中心になって継続して、もう9年・・・
出席率がいいこと、皆さんが教室を楽しみにして集まっていらっしゃることも聞きました。「荒城の月」「黒田節」を男性あいさつ、女性あいさつで始めましたね。なんて民主的そして三味線伴奏は珍しいですね。ハモニカ伴奏の「ふるさと」は山王島教室のテーマソング。何時も胸が熱くなります。皆さんお元気で!2011_0225_145800p10000172011_0225_145700p1000018                                            
 

今回はいつくかの心に残るつぶやきを聞きました。
「自分の健康は自分で守る」
「ズクを出しましょう」(がんばるとか根性を出すとかの意味)
「自分の脳は自分で使う。そして笑いと感謝でね」
「ボケずに生きる術を学んだ」
「教室はただ楽しい」
「小さなほめ言葉は人を救う」

小布施の皆さん、どうぞお元気で!心から脳と体のご健康を祈ります。


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