飽きもせず家と工房を何度も行き来し、
それでも足らずに庭を見て回り、野菜や春咲く花々の様子を眺めたり、
そのようにして構想が湧いてくるのをひたすら待ち続けていた日々。
そろそろ頭の中で形がハッキリし始めたころ、
ミサ曲の練習の時、いつも伴奏をしてくださる越川さゆりさんから
お嬢さん、越川和音さんとデュオコンサートを催しされるとお誘いいただいた。
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? 演奏曲目 ? 亜麻色の髪の乙女 月の光 美しき夕べ 白鳥 タイスの瞑想曲 エチュード 作品25の1 ノクターン 作品32の1 ノクターン 作品27の2 宮城道雄 春の海 チェロ・ソナタより 第3楽章 |
雪の季節なのに、空からは細かい雨が降り続いていた土曜午後、
金沢の中央、片町あたりは観光客であふれていた。
その一角にあるビルの3階がコンサート会場。
演奏される曲目のパンフレットをいただき、なじみのある曲目があることに何となくホッと。
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ピアノ ・ 越川さゆり チェロ ・ 越川和音 |
越川さゆりさんの御挨拶から始まり、演奏される曲目の説明を頂いた。
また、お嬢さんは夜行で土曜日の朝、金沢に帰られたとのこと。
学業とともに各地で演奏会も行っていて、充実した忙しい日々を送っている和音さん。
演奏技術の修練はもちろんの事、聴いてくださる方々の前で演奏することは至極大切で、
聴衆者の反応がじかに伝わり、これからの彼女にとって大変有意義なことと思っている。
聴いてくださるすべての人々に感動を与えることも大切な要素だが、
たった一人でもいいから、その人の心深くに和音さんの音色を届けることができれば、
最高の、素晴らしい演奏者といえる、ぜひそのようなチェリストになって欲しいと願いつつ、
和音さんの奏でる、心に響く演奏を聴かせていただいた。
私は、越川さん母娘の演奏会を聴くのは今回で3度目。
今回はサロン・コンサートということもあって、すぐ目の前でお二人の演奏を聴かせて頂いた。
さすがお母さんとお嬢さん、お互いを気遣いつつピタッと息も合い曲目は進んでいった。
お二人の世界にいざなって頂き、あっと言う間に1時間が経過してしまった。
いつもながらの、越川さゆりさんの大きな愛で聴衆を包み込むピアノ演奏。
和音さんの若々しく、エネルギッシュなチェロの響き。
更に研きをかけ、大きく世界に羽ばたいて欲しいと願い会場をあとにした。
家に帰り着き、サロン・コンサートの余韻にひたりつつ、
あなたの、あなたの心に届くようにと作品のデザインを描きだした。
● 越川和音 ・・・東京藝術大学音楽学部器楽科4年在学中。
今春より、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程に進学予定