創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

土練機修理、その2

2012年03月20日 | 日記

土練機を修理に出してから二ヶ月経過。
機械の細かい仕組みや、修理方法等に疎い(うとい)私に代わり、
友人 N さんがその都度鉄工所に出かけては指示を出してくれていた。
そして昨日、最終の点検をするとの事で、一緒に出かけていった。

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   ねじの取り付け部分


修理に出せば悪いところも正確に直し、元通りの形にしてくれると思っていた。
けれど友人が何度も「 待った 」をかけた。 どのような修理をしているか確認が必要と。

九谷窯元や個人で土練機を使っているところの習慣として、
専門の鉄工所を完全に信頼して修理を任せていた。
でも友人が何か疑問がある、と鉄工所に出向くことになった。

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                         すべての羽根

当初、意見を言っていた友人に対し、鉄工所から煙たがられた友人。
それもそのはず、友人が点検に行った時点で、いくつもの問題点が発覚。
友人は根気強く鉄工所と対応してくれ、また彼自身対処方法を模索してくれた。
その都度、私に報告を寄せてくれた友人、私さえも「 まさか!」と思ったくらいだった。

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   痛んだ主軸


以前修理に出した時、新品に作り変えられた主軸(のはず)、
この心棒に、羽根が順々に取り付けられ粘土が押し出される仕組み。

友人は修理に出した後、分解したらそのままの状態にしてくれ、と注文を出した。
寒い日、友人と鉄工所に出かけ、分解されている部品を診て唖然!加えて愕然!
新品だと・・・? 何処が・・・? 何故に変な箇所に穴が開いている・・・? 等々。

その理由を聞いても正確な返答は返ってこなかった。
それ以来、友人は土練機の仕組み、又彼の知り合いの鉄工所などへも出かけ、
あらゆる資料など集め、その都度鉄工所に指示を出してくれた。

本来なら、今までなら、ものの一週間ほどで修理が終わって戻ってきている土練機。
友人のお陰で余りにも稚拙な修理、修理といえる代物ではないことが判明。
友人は粘り強く対応してくれ、鉄工所よりもはるかに詳しく土練機の仕組みを指示。

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   新しい主軸


今まで使っていた主軸を掃除して組みなおす、と言っていた鉄工所。
友人の指摘で、とうとう以前の不手際を認め新しく作り直すことになり、
出来上がった主軸の、その確認に昨日友人と鉄工所に出かけていった。

主軸の隅々まで指で確認し、友人が一言、「 何でこんな雑に仕上げたのか?」と。
私も指でさわってみて分かったことだが、旋盤で仕上げたはずの主軸、
でも指先に触れる主軸が滑らか(なめらか)でない。 でこぼこしていた。

「 外注に出す前にピカピカに磨いてくれと指示しただろう?」と友人。
社長はなにやら言い訳を始めたが、友人は聴く耳持たず。
「 雑な仕事をするなあ、」と憤懣(ふんまん)やりきれない様子。

仕上がってきたものはどうすることも出来ず、今更やり直せというのも気が引けるし。
とりあえず次の修理には友人自ら鉄工所で行うことになった。 それが明日午後。

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   修繕前のメザラ


そして土練機の心臓部分、「 メザラ 」。
この蓮根の穴のようなところを粘土が通過し、ここで真空状態になり空気が抜ける。
私の土練機はすべてがステンレス製という土練機で、かなり高額な機械。
でも今回、分解したすぐ後に点検に行って言葉を失った。
この状態は何だ!

友人は鉄工所に対し、「 前回の修理の時に部品を変えたのでは?」
「 それとも肝心なメザラを割らしてしまったか?」と問い詰めた。
実際何かのカバーを落として割らしたとも言っていた。 でも返答が返ってこなかった。

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   錆を落としたメザラ


土練機の心臓部分、絶対に錆びてはいけない部分に鋳物鉄が使われていた。
「 これをステンレスに作り変えるといくら位になる?」と友人が聞けば、
「 軽自動車が買えるほど、」と鉄工所。

修理にかける予算は潤沢ではないし、ならばどのようにしたら錆びないようにするか、
鉄工所側でもキチンと考えて答えを出してくれと友人。
もちろん友人も徹底的に調べあげ、様々な方策を考え出してくれた。
その資料を鉄工所に提示し、指示を出して改良を加えたメザラが下の写真。

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   改良したメザラ


友人が調べ上げた資料、その厚さのページは何と4~5センチあまり。
私の為に尽力してくれた友人には頭が下がる思いだ。

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   友人の資料


その資料に基づいて今日まで土練機が修理されてきた。
が、昨日友人と最終点検に出かけていって誠にガックリした。
なんで友人の指示に従わなかったのか? 忠告を守らなかったのか?

いずれにしても最終段階で再びのつまずき。
これ以上どうすることも出来ず、とりあえず友人が仕上げに行くことになった。

年明けから今日まで、何とか早く元通りになって戻ってくることを願っていた土練機、
あまり体に負担をかけられない私にとって、土練機が正常に作動することは必須条件。

このあと、どれくらいの日数が掛かるか分からないが、
ここまで来た以上は完全な姿になって我が工房に戻ってくることを願うしかない。
雪の季節前に修理に出した土練機、せめて桜咲く頃には戻ってきて欲しい。


コメント (4)
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