創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

白山

2008年02月10日 | 日記

降っては消えしていた雪、
今年の雪の降り方は雪国に住む私達にとっては誠に理想的。
いまのところ、多く積もっても15センチあまり。
雪除けの必要もなく、せいぜい車に積もった雪を払いのけるだけですんでいる。

生活するには楽だが、こうなると又別の心配が出てくる。
1メートルを越える積雪、そして冷え込み。 それが当たり前の北陸にその雪が無い。
田や畑の害虫たちはこの暖冬を喜んでいるのかも知れない。
春、それ等が一斉に湧き出てきて野菜を食べてしまう、そんな光景が浮かんでしまう。
埋もれるほどの雪はいやだけれど、北陸にはある程度の積雪がある方が良いのかも知れない。

Photo

   午前7時

    白山


何かに迫られて、自分を追い詰めて、そうして制作に当たっている昨今、
なぜか危機的な状態にならないと 「根を詰めて」 の仕事が出来なくなってきた。
まずい! そう思ってはいるが、それが現実なのだからどうしようもない。

タップリと時間があれば、あれもこれもしようと思っているが、
いざ自由な時間が出来ると何となくダラダラと過ごしてしまう。
特に私の場合に限っていえるのかも知れないが、切り替えが下手、つくづく思ってしまう。

そんなことを思いつつの昨今、何だか急に、そして突然に形が浮かんできている。
忘れない内にそこいらにある紙にそれ等を描きとめ、後でキチッと大きさなども書き加えていく。
そうして出来上がったデザイン画を前に貼り付け、ロクロを回している。

気が付けば2時間ぐらいアッというまに過ぎている。 小休止を取り外に出てみた。
朝方、弱い光のなかにひっそりと佇んでいた白山はもう雲の中。
スカッとした青空に浮かび上がる白山を見たのはいつの頃だったろう。
初冬から今日まで、毎日のようにスッキリとしない天候が続いている。
しばし外の空気を吸い、再びロクロに向かう。

Photo_2

          二日前の雪

      ドウダンツツジに積もった雪。


ロクロ作業は一気にしなければならない仕事である。
ロクロを回している最中に何か用事が出来たり、来客があると最悪。
特に壷などを作っている時はなおさら。  手を止めると粘土が乾いてしまい、どうしようもなくなる。

修業時代、窯元の社長に紹介してもらった、ロクロ師
教えを乞うために出かけていったが、必ずロクロを止められるか、ただ回していられた。
私が行くと仕事を途中にして、1時間あまり世間話をされた。

いま思うと、私が訪ねていったことはきっと迷惑だったに違いないと思っている。
ロクロ師の仕事は外注で、一個作っていくらの仕事であった。
私がそこに居る1時間あまり、彼は仕事が出来なかったことになり、
加えてロクロにのっている作りかけの壷は、私が帰ったあと、かなりの時間をかけて泥などを塗り、
粘土を馴染ませなくてはならなかったはず。

社長の紹介、頼みで私を受け入れてくれたが、彼にとっては仕事の邪魔をしに来た若者。
それでも私と話をしてくださったりと心優しいロクロ師だった。
ロクロが静かに回り、その上には作りかけの壷、指跡がっくっきりと・・・。今もその情景が浮かんでくる。

Photo_3

   茜色に染まる白山


ロクロに向かっていると時間が早く経過してしまう。
日中は小雪が舞ったりしていたが、夕暮れ近くなるとほんの一瞬雲間から夕日が空を染める。
そろそろ仕事を切り上げ、明日こそはスッキリと晴れた白山を拝みたいと、
ロクロ場のスイッチをきった。


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