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下描きをした壷に 竹べらで線紋を彫っていく |
シンシンと雪降る日は心静かにロクロに向かえる。
ロクロ場のスピーカーからは美しいメロディーが流れている
そのメロディーに合わせて先日つくった壷、きれいに削り、線紋入れを行った。
澄んだ水色の青磁釉薬をかける為、竹べらでしっかりと彫りこんでいく。
粘土から壷を作る時はデザイン通りに、確実にロクロを回して作る必要がある。
そうしないと、最初に浮かんだ 「この形!」 が崩れていってしまう。
私の制作方法はもしかしたらガンコなのかもしれない。
しかし、ロクロを回している途中で形を変えると妙な不具合が生じてくる。
出来上がった作品は当初のイメージが消え、なんとなく自分の中で不協和音が発生する。
だからロクロの前にデザイン画を置き、大きさなど忠実に作り上げていく方法を取っている。
作っている最中に、もっとこうしたら良いのでは、と思ってもそれを実行することは無い。
良い形のデザインはロクロの前に貼り付けてあり、作業をしている手は自分の思いとは関係なく、
確実にデザイン通りの作品を立体化している。
手の動きとは別の回路で頭の中は次のデザインをどうするかと、高速で回転している。
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線紋が終わった壷と 作業途中の壷 |
そうして出来上がった壷にまずは下描き。
少し大きめの小紋、と言ったら変だが、優雅な流れを連想する文様を壷全体に描き、
その一つひとつの升目の中に愛らしい小花を散らしてみた。
鉛筆で下描きが出来たら、次は竹べらで線をなぞっての彫りこみ作業。
ここまできたらロクロの時と同じく、ひたすら彫り込むことを続けるだけ。
その間もうつくしいメロディーがロクロ場の中を流れている。
そして思考は次の事へと飛んでいる。
湯のみも作りたいし、どんな形が良いだろうか、無地がいいか線紋がいいかと。
かなりの力で線を彫っていくと竹べらの先がすぐに丸くなってしまう。
その都度ヤスリで竹べらを調整しなくてはならない。
そしていつものこと、良いデザインと思って作る事はいいが実際の作業となると大変。
細かい線の連続で、指先にかなりの負担がかかってしまうのだ。
竹べらが指に食い込んで痛い。 作業半ばで軍手をはめて線刻を続けた。
何時間もかかって、ようやく線紋彫りが完成。
昨日からの延長で、朝から始めて何とか一個仕上がり。
もう一つは途中だが、指がかなり痛くなったので明日に行うことにしよう。
乾燥しないようにしっかりとナイロンでおおって・・・。
乾燥させてのち素焼き。 鉄分など混ざっていないかをチェックして青磁釉薬をかけ、
そして高温で焼成。 これらの壷、うつくしいメロディーの流れと共に仕上げた。
透明感のある青磁釉の中から線紋が浮かび上がってくることを期待しつつ、
次の作業を行おう。