オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

ベートーヴェンの第9、2連発

2011年08月05日 16時25分08秒 | 音楽
このところ出社するとロクでもないことが怒涛のように押し寄せて来て悲鳴を上げたくなる状態が続いている。こんな時はやはりベートーヴェンの交響曲が一番。それも、今日は第9を朝から2連発で聴いて憂さ晴らしをする。
最初、聴いたのはトスカニーニ指揮NBC交響楽団の録音。それも有名なRCAの録音ではなく、1939年の創立3シーズン目のNBC交響楽団による初のベートーヴェン・チクルスでのライブ録音である。1939年、トスカニーニ壮年期の録音である。



とにかく面白かった!物凄い早いテンポ。フルトヴェングラーの演奏の様な神秘性は皆無ですが、トカニーニの強い意志を強く感じ、何かベートーヴェンの書いた音符が目の前で飛び散っているような感じがしました。ただ、肝心の合唱部分ではコーラスのドイツ語がダメなのが残念。おそらく、コンサート後、トスカニーニは怒り狂ったことであろう。
私はレコード時代はトスカニーニの演奏は受けいれる事ができなかった。RCAでの残響の少ない固い録音についていけなかった。良さが分かってきたのはCDの時代になってきてからである。CDでワーグナーを聴いてからである。
私は最近、あるブログで自分が場違いの人間であることに気が付かないで、トスカニーニの指揮するブラームスの交響曲の録音を推薦して、たいへんひんしゅくを買って管理人さんを困らしてしまいました。トスカニーニの指揮するドイツ物に拒否反応を示す方が、まだまだ多いという事を肝に銘じていなければいけないのですが、変な偏見のため、せっかくのトスカニーニの演奏の面白さ、偉大さに気が付かないということは本当に残念で、もったいない。
トスカニーニをバイロイト音楽祭に招いたジークフリート・ワーグナーは本当に偉かった!

トスカニーニの録音を聴いたあと、ステレオ録音で第9を聴きたくなり、手にしたのは朝比奈隆が1988年に新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮したライブ録音である。合唱は普友会合唱団。
朝比奈隆は6度ベートーヴェンの交響曲全集を録音しましたが、手兵の大阪フィル以外で交響曲全集を録音したのは1988~1989年の
この新日本フィルの録音だけである。



演奏は朝比奈隆らしい小細工のない真正面から作品にぶつかっている演奏である。ただオケが聴きなれている大阪フィルではなく新日本フィルなので響きにシャープさがあるのが面白い。朝比奈隆の第9にはNHK交響楽団とのライブ録音もあるので、後日、聴き比べてみたい。
音楽雑誌「レコード芸術」の6月号に音楽評論家の吉田秀和氏のコメントで「みんなに伝わる客観性を持たせる努力はすべきですが、自分の”根”から離れてはいけない」という記述がありました。
私のクラシック音楽に対する「根」の部分は何であろうか?
私の根底に流れているもの、忘れられないもの。30余年前、大学生時代を送った東京で聴いたベーム指揮ウィーンフィル、そして朝比奈隆指揮の大阪フィルの演奏会での感動、そしてあの響き、あの音色。この2つの演奏会での経験が私の「根」の部分に違いない。
ウィーンフィルに方や大阪フィル。本場ヨーロッパの名門オケと日本の地方オケ。一緒にするなと言われるであろう。しかし私にとって私に与えてくれた音楽的影響は対等なのである。
トスカニーニのベートーヴェンを聴いたり、ノリントンのベートーヴェンを聴いたりする。自分の知らない未知の世界が開かれるようで、聴いていて本当に楽しく、面白い。ただ、この楽しさ、面白さが分かるのも「根」の部分がしっかりとしているからだと私は信じている。

今日は2つの第9の録音を聴きましたが、いずれもヨーロッパ以外での録音である。正統派の聴き手から見ると本当に私はバカな聴き手に違いありません。
笑えば笑えである。