ウィトラのつぶやき

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秘密保護法案の決定プロセスに不満

2013-11-27 09:02:45 | 社会

秘密保護法案が衆議院を通過した。マスコミはこぞって不満を言い立てているが、私は内容よりも決定プロセスやマスコミの報道姿勢に問題を感じている。

私は国会での審議を見聞きしていた訳ではないので正確かどうかは分からないが、国会での審議は殆ど形式的だという印象を持っている。それは国会での審議で出た提案なり意見は殆ど報道されず、「自民党とみんなの党の国会対策委員長がこういう対談をした」、「自民党と維新の会がこういう話しをした」ということで内容が動いているように感じられるからである。実際私が出席していた国際会議でも、実質的には有力企業間の話し合いで決まっており、それが公式の場に出てきた時には大体落とし所が決まっている場合が多いのでそれほど特別では無い。しかし、普通の人はその内容は本会議まで知らず、本会議で始めて知るものである。今回の場合裏の話し合いが殆ど全てリークしているので、本会議での議論に新鮮味がないということもあるだろう。

そうなるのはマスコミが必死で裏の動きを探るからだし、政治家が内容をリークするからだということができる。それで国会本番で決まる話しはないという印象を国民が持つのだが、秘密保護法案では無いが、マスコミがここまで探る必要があるのか、という感じがする。それと、野党側の対案が貧弱だという印象があり、国会の本会議は単なるセレモニーという印象を持ってしまう。

野党側は、みんなの党と維新の会はそれなりに党としての意見をまとめて良ろうにぶつけたようだが、民主党は党内をまとめ切れなかった印象である。みんなの党が自民党と交渉に入ったという報道を聴いてあわてて党としての意見をまとめ始めたが間に合わなかったという感じがする。

今でも秘密の指定はあり、30万件ほどが秘密とされているそうである。これを漏えいすれば、公務員として降格になったり、解雇になったりする。それでは不十分なので刑事罰にしようというのが今回の法案の趣旨だが、本当にそこまでやる必要があるのかを問いかける報道も見当たらない。今の状態では情報漏えいしている公務員が出ているので刑事罰ということにしたのだろうか、そのあたりもはっきりしない。私はCIAの情報を漏らしたスノーデン氏のような人物が日本から出ないようにという予防線だと思っているが、そうではなく現状は情報が漏れているということならその点をマスコミは報道すべきだろう。日本版スノーデン氏を防ぐことは結構だが、この法律が悪用されて日本が戦争に突入することに使われたりしたら大変である。今の安倍政権ではそういう意図は全くないと思っているが、本来は総理大臣に全くふさわしくない人が総理になってしまう実例はあるのだから、その点に対する予防線は十分に張っておくべきで、透明な議論が不可欠だと思う。

それよりも問題なのはマスコミの態度である。この法案はマスコミの活動に大きな影響があるので否定的な報道をしているが、どこも完全否定するわけではなく、恣意的な運用を防ぐべきだという姿勢になっている。しかしながらどこまで対応すれば恣意的な運用はないと判断できるのかということは明言せず、基本的に反対ではないと言いながら実質的にはつぶそうとしているという態度が伺える。

各社が社説で「こういう条件を付けるべきだ」という意見を発表すべきだと思うのだが、あまり厳しすぎる条件を書くと非現実的だと思われるし、ゆるく書くとその意見を採用されてしまうと困る、というような意図があるのではないかと思う。そういう姿勢だからアイデアが何も出てこないのだろう。

今回は報道関係者も利害関係者である。報道関係者に対する批判の場をネット上で作る、というような動きがあっても良いように思う。私が知らないだけでそういう場はあるのかもしれないが・・


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