Fact Fulnessという本を読んだ。この本はスウェーデンの医師で公衆衛生に長期間かかわってきたハンス・ロスリングが書いたものである。本人は本書が発行される直前の2017年に他界し、娘とその婿が完成させているのだが、ハンス・ロスリングの言葉として語られている。
最初に13個の世界の現状に関する質問があり(まじめな質問である)、3択で答えるようになっている。ネタばらしになるのでその内容は書かないが私は13問中3個しか正解できなかった。ランダムに選ぶより低い正解率である。私だけでなく、世界中で正解率は低いそうである。この質問と正解を示し、人々は世界の状況をどれほど誤解しているかを示して、原因を解き明かしている。そして誤解を防ぐにはどうするべきかについて本人の経験とともに語っている。
この本を買おうという気になったのはテレビ東京の朝の経済番組「モーニングサテライト」でビジネス書の売り上げでかなり長期間上位に入っていたからである。普通は、ノウハウ本が売り上げ上位に来ることが多く、私はあまり気に留めていないのだが、「この本はどうも違いそうだ」と思ってアマゾンで注文した。
読んでよかったと思っている。私自身が日ごろ問題だと感じていて共感する点も多く、納得できる部分が多かった。なにょり公衆衛生を中心として活動してきた医師がこれほど広い視野を持てた点に感心している。ベストセラーなのですでに読まれた方も多いと思うがお勧めの一冊である。
7月17日、「モーニングサテライト」でこの本の著者に対するインタビューが放映された。本当の著者は他界しているのだが、作成を手伝った娘が「著者」としてインタビューを受けていた。しかし、どこまで正しくこの本の内容を理解しているか分からないような受け答えだった。あのインタビューを見て「読みたい」と思う人は少ないだろう。本の中身はインタビューよりもかなり濃いものであることをここに添えておきたい。
最初は図書館の予約で待っていたのですが、順番待ちが長すぎたので、しびれを切らして、購入しました。
私の知識も「チンパンジー並」でした。
この本が有益なのは、答えを解説するのではなく、なぜ、そのような思い込みや誤解が生じるのかを 説明してくれることです。
そして、ややもすれば、そんな誤解を創り出している情報発信者や社会の仕組みを糾弾しがちです。
この本は、そんな犯人探しにエネルギーを使うのではなく、その原因分析に続いて、それを回避するために「自分としてどのようなことをすべきか」を提示していることです。
是非周囲にも薦めたい一冊でした。