教育再生会議が第1次提言をまとめた。主眼はいじめ対策で早期発見や対応対策を求めている。これに関係して道徳教育の強化も求めている。これらに対して私は特に異論はないが、体罰に対して言及している点に関しては日本の教育をゆがめるものだと思っている。
以前、体罰に関して書いた時には私は知らなかったのだが、国は教師が生徒に対して「罰」を与えることの必要性は認めており、やってはいけない「体罰」と教育上必要と認める「懲戒」とを区別しており、この提言では「体罰」と「懲戒」の区別の明確化を求めている。
この方向性が誤っていると私は思う。私の考えでは同じ生徒に平手打ちを食わせたとしても教育の一環として認められる場合と、許されない場合がある。その区別は生徒の側の受け止め方であり、生徒が納得して受け入れるならあっても良いと思うのである。生徒が受け入れるかどうかは教師が本当に生徒のことを考えているか、それが生徒に伝わっているか、だと思う。
私の考えではやってはいけない体罰は一種のパワハラであり、実は肉体的苦痛とは関係ない。教師が生徒に対する優位な立場を利用して一種の「いじめ」を行うことが許されないのであり、肉体的苦痛を与えなくても言葉でいじめれば同様に処罰の対象とすべきである。これも体罰同様、表面的行為での判断は極めて困難である。
従って、受けている側が訴えることができ、その訴えをまともに受け止めて実態を調査し、誤解があるなら誤解を解くように、問題があるなその行為を止めさせるような行動をとるような仕組みを作ることが重要である。罰則規定を作るなら、その訴えをまともに取り上げなかった学校や教育委員会に対しての罰則規定にすべきである。
「北欧に学べ」のブログで紹介したようにフィンランドは教師の給与は抑えつつ世界トップレベルの教育を実現している。そのミソは現場に権限を下ろし、教育内容を個々の学校にゆだねることによって、教師を尊敬される職業にしている点にある。教育再生実行会議の提言はこのフィンランドと逆方向に日本の教育を向かわせ、現場の教師の手足をより縛るものであると思う。今のままだと教師は3K職場になっていくだろう。
安倍総理は何度か「現場が委縮しないように」という発言をしており、細かく体罰を規定することの問題点を分かっているように思う。安倍総理の側近に私のような意見をいう人はいないのだろうか。