ウィトラのつぶやき

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情けないアルジェリアの人質事件の報道

2013-01-21 08:57:46 | 社会

アルジェリアの天然ガス施設でイスラム過激派による大規模な人質事件が起こり、アルジェリア政府が拠点を攻撃して殲滅しかなりの人質が解放されたものの、同時にかなりの死傷者も出た模様である。この事件はフランス軍がアルジェリアの隣国マリに空爆を加えたことと関連があるようだが犯人グループは直接的にはマリ関係者ではなくアルカイダの下部組織のようである。

この事件の報道で感じるのは日本の政府や報道陣の情報収集能力の低さである。特にマスコミは情報を収集して報道するのが自分たちの責務であるにもかかわらず、さっぱり情報を入手できず、他の国で報道された内容を翻訳したり、被害者の勤めている日揮に群がって情報を得ようとしてる。仕事をする上でのプロ意識の感じられない姿勢だと思う。

19日にはアルジェリア軍の作戦が終了したということなのでこれから解放された人たちからの情報などが入ってくるのだろう。日本だったら「人質を犠牲にするようなアルジェリア政府の強硬姿勢は許せない」というような論陣を張るのだろうが、今回は国際社会が容認している様子なのでそれも言えない。情報もなく、価値観も持っていない、芯の通っていないマスコミの体質が露呈されたと感じている。

政府はマスコミよりは情報を持っている感じだが、アルジェリア政府からの公式情報という形で入ってこないので論評を控えるという姿勢に私には見える。そんな中で外務省の動きも如何にも鈍い。事件が起きたのは16日なのにアルジェリア周辺の危険情報や渡航情報、在留邦人に対する手当などの動きが殆ど感じられなかった。危険情報が流されたのは昨日、アルジェリア軍の掃討作戦が終了した後である。この辺りは外務省に日頃の緊張感が不足している感じである。

一般論的に言って日本人は突発的事故、事件に対する対応力が低い感じがする。本質的にそうなのではないと思うのだが、日本社会が事故・事件を起こさないように様々な工夫を加えた結果、事故の少ない社会が出来上がった。そこで人は事故を起こさないようにするノウハウは持っているが、一旦事故が起こってしまうとどうしたら分からない人が大部分の感じがする。人の考え方が硬直して柔軟性に欠ける感じがする。ロンドンの空港などは日本よりもはるかに頻度が高く問題が起きる。その分、空港関係者の問題解決能力は日本より高い感じがする。日本が国際競争力を下げてきているのはこういった点も関係しているのかもしれないと思っている。


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