ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本の情報通信産業のゆくえ(7) コンテンツ配信事業

2008-04-30 09:43:08 | 経済
コンテンツ配信事業には、いわゆるマスメディアと書籍レコードなどのメディア販売がある。

マスメディアは新聞から始まってラジオ・テレビの電波メディア、インターネットの双方向メディアへと進化してきている。新聞は売れなくなって新聞社はつぶれるかと思ったがいまだに続いており、メディアの移行には時間がかかるものだと感心している。

マスメディアは時の権力(政治)と強く結び付いている。権力者が国民を洗脳するのにつかわれるツールであることは中国、ロシア、北朝鮮などを見ても明らかである。その意味では規制産業である。

欧米ではそれはまずいと公平な立場で国民に真実を伝えるジャーナリズムが立ち上がり、政府から距離を置くようになってきた。これが最もうまく機能しているのは米国であると思う。特にCNNが立ち上がってABC、CBS、NBCの3大ネットワークが崩れてきた。良い意味で競争が入り、活性化していると思う。

私のブログをこれまで読んでこられた方は感じていると思うが私は日本のジャーナリズムには強い不満を持っている。規制に守られた中で利益のみを追求する弱体化した保護産業になっており、国際競争力はかなり低いと思っている。

本来は、記事を作成するコンテンツ事業と配信する配信事業に分かれるはずだと思うが、配信事業が規制産業である(放送電波免許)ため、コンテンツ作成にも強い影響力を持ち、競争が促進されていない。

一時、ライブドアが日本放送(フジテレビ)を買収しようとして話題になったが、あの経緯を見ても放送局側の規制に頼る態度がにじみ出ている。もし、CNNのような海外資本が日本のテレビ局を買収しようとすれば、やはり政府に泣きつくであろうと思われる。政府もこれに応じると思われ、当面は鎖国状態が続くであろう。

インターネットの世界ではこうした規制が届かないため、どんどん新しいメディアが台頭している。現在はソフトバンクが頑張っているが、娯楽性のものは別として、ニュースを伝えるという機能に関しては海外メディアに徐々にシェアを食われていくと思っている。

書籍の販売などパッケージメディアの販売は一般小売りの世界と変わらなくなっている。この分野では日本は高い能力を持っていると思う。インターネット販売はアマゾンなどが先行しているが、使いやすさやトラブル対応では日本の方が優れているだろう。

ただしこれから問題が一層クローズアップされてくるセキュリティ対応に関しては、構想力、技術力、標準化などを総合的に考える必要があり、この分野では将来的にはヨーロッパが強くなってくると思っている。

日本の情報通信産業のゆくえ(6) コンテンツ作成事業

2008-04-29 09:45:28 | 経済
今回から、それぞれの事業の特性について、「日本の国際競争力」という観点で考えてみる。

コンテンツ作成事業は世界的に見て日本が競争力を持ちえる分野だと思う。 コンテンツ作成事業は、本質的に文化や習慣と深く関連している。コンテンツの良しあしを決める感動や、笑いといった感性に訴える分野は生活習慣の影響を強く受けるので本質的にグローバル化が難しい分野である。

この分野においては日本はかなり世界的に見てもレベルは高いと思う。日本人の感性は「ベン・ハー」のような壮大な規模のコンテンツ作成では「落ち」をうまく作れなくて尻切れトンボになりがちであるが、「古池やかはず飛び込む水の音」的な日常のさりげない物事に関して、細かく観察して自然を感じたり美しさを感じたりする感性は非常に高いものがあり、いずれ世界にも認められえいくだろうと感じている。しかし、時間がかかるので当面は「この分野はグローバル化は難しい」と割り切って考えておいてよいように思う。

なお、日本の漫画はコンテンツとして大変優れており、世界に輸出されている。これは日本人が言葉で表現するよりも視覚的な絵で表現することを得意としており、社会的にも受け入れられやすい、という点があると思う。手塚治をはじめとする「ときわ荘」のメンバーが核となって現在の状況が作られてきたと思うが、積極的に世界に輸出することを考えても良い分野だと思う。

アニメータを志す若者たちは買いたたかれてワーキングプアのような状態だと聞くが、ビジネスセンスのある人が現れてスタジオジブリのような会社をいくつかつくれば大きな産業になる可能性があると思う。 コンテンツの中でもゲームに見られるようなユーザ側の積極的関与がある分野は「使いやすさ」という別の側面が大変重要になる。この分野も日本人は得意な分野だと思う。

この分野に日本人が特別高い能力を発揮するかどうかは不明であるが、漫画にしても、ゲームにしても欧米では「一生の仕事」とみなされておらず軽んじられている感があるので、今はチャンスといえるだろう。

一方「ソフトウェア」という日本人が苦手な分野も重要な要素として入っており、複雑さを差別化要因にしないように注意が必要である。その意味ではSP3が負けてWiiが勝ったのは当然の帰結といえる。

ニンテンドーはコンテンツからハードウェアまでの垂直統合ビジネスモデルを行っており、独特の世界を築いているが、プラットフォームを開放してコンテンツ業界も育成しており、このゲームコンテンツ業界も日本が世界と戦える分野であると思う。

ただし、ゲームの宿命である「飽きられる」という問題を、「複雑にしすぎない」という条件付きでどう乗り越えていくか、という難しい問題を常に抱えてはいるが・・・

もうひとつの重要なコンテンツとしてニュースに代表されるジャーナリズムがある。これは「コンテンツ配信」事業と強く結び付いているのでコンテンツ配信の方で述べたいと思う。

日本の情報通信産業のゆくえ(5) 情報通信産業の分類

2008-04-28 09:30:39 | 経済
日本の情報通信産業と一言でいっても極めた幅広く、必要とされる能力も広がっている。ソフトウェアがその中心的位置にいることは間違いないが、もう少し細かく見ていくと具体的処方箋が見えてくる可能性もある。

細かく見るために、情報通信に関わる産業を眺めてみると以下のような分野がある。
1. コンテンツ作成事業
映画や音楽、アニメ、書籍などを作成しそれを販売する事業である。広告代理店、出版社、その他クリエータがこの事業になる。ゲーム事業は、コンテンツからソフトウェア、ハードウェアまで幅広く関連しているが、以下ではコンテンツ事業の一環として考える。
2. コンテンツ配信事業
作成されたコンテンツを消費者に送り届ける事業である。放送局がこの代表であるが、インターネットを活用したYou Tubeなども台頭してきている。
3. ソルーション事業
企業などの社内システム(コンピュータと通信を組み合わせた情報通信システム)の構築を手助けする事業である。「こういうシステムが欲しい」というと打ち合わせを重ねて、それを実現するソフトウェアとハードウェアを買ってきて組み合わせ、実現する。コンピュータや通信システムが一般人には使いこなすのが難しいのでこれが大きな産業になっている。一般にはなじみが薄いが業界では大きな事業分野であり、注目されている。IBMや富士通、NECなどが大手である。
4. ソフトウェアサービス事業
ソフトウェアを作ってサービスを提供する事業である。ヤフーやグーグルがこの代表であるが、それ以外にも大小含めて様々な会社がある。ミクシーなどのソーシャルネットワーク提供者を含めて、いわゆるプロバイダーはこの範疇に入れる。
5. ソフトウェア作成事業
ソフトウェアを作成してそれを売る事業である。マイクロソフトがその代表であるが、それ以外にも多数の会社がある。なお、他の会社からの委託を受けてソフトウェアを開発し納入する、いわゆるソフトハウスもこの範疇に入れる
6. コンピュータ事業
パソコンやサーバーなどのコンピュータを作って販売する事業である。Dellなどのパソコンメーカーがその代表である。
7. 通信サービス事業
NTTやドコモに代表される通信サービスを提供する会社である。この種の会社には自分で通信設備を用意してその設備の利用料を徴収する、いわゆる第1種通信事業者と、自分では通信設備を持たず第1種通信事業者から回線を借りてサービスを提供する第2種通信事業者があるが、第2種通信事業者はソフトウェアサービス事業との重なりが大きくなってきており、ここでは第1種通信事業者のみを通信サービス事業者と考える。
8. 通信機器事業
携帯電話がその代表であるが、基地局などの通信インフラ事業もこの範疇で考える。
9. 部品事業プリンタ、ディスクなどの周辺機器から、半導体、アンプなど様々なレベルがあるがそれらをひっくるめて部品事業ととらえたい。ただし、おもな用途がコンピュータと通信機器となる部品を考え、テレビなどの家電品の部品が主な用途となるものは別と考える。

これらの事業は必ずしも独立しているわけではなく、一社で複数手掛けている会社があったり、インターネットの普及で境界があいまいになってきたりしている。それでも現時点では必要とされる能力がかなり異なっていると考えている。それぞれについての将来展望をこれから考えてみたい。

日本の情報通信産業のゆくえ(4) 戦えるソフトウェアは?

2008-04-26 21:26:04 | 経済
日本のソフトウェアは落ち目と書いているが、全てがダメだと思っているわけではない。

勝てないと思うのは大規模ソフトである。 コンピュータも初期の頃は戦えていたが、OSが大規模化してくると、OSの分野では手が出なくなった。携帯電話もソフト規模が大きくなりすぎて戦えなくなりつつある。自動車のソフトも規模が大きくなってきているので遠からず苦しくなってくると思っている。

ハードと連携の強い、所謂「組み込みソフト」の分野なら戦えるのではないか、という見方があるようだが、私はハードとの連携か強いかどうかではなく、大規模かどうかが、勝てるかどうかの分かれ目になってくると思っている。

前にも書いたように日本人の問題点はコミュニケーション能力にあると思っているので、多くの人が関わって作る複雑なソフトは海外勢に勝てないと思うのである。 逆に、規模の小さなマイコン用ソフトなどを使いやすくしていくアプローチは戦えると思っている。

特に日本人が強いとも思わないが、十分に世界と戦っていけるだけの力はあると思う。ただし、半導体技術の進歩により多少無駄な回路が付いていても汎用性のある回路(CPUなど)を作っていくほうがコストメリットが出るというのが世界の流れなので徐々に押されていくだろう。

映画や音楽などのコンテンツもソフトと言われる。こちら良いものを開発するの必要な能力がコンピュータのソフト開発とはおおきく異なっており、この分野は戦えると思う。

ゲームソフトなどは半分コンテンツ、半分ソフトウェアという性格であるが十分戦えている。Wiiの脳トレのような新しいコンセプトのソフトは今後も十分戦っていけると思う。しかし、ゲームでもRPG(Roll Playing Game)のように汎用性のあるプラットフォームで骨格を作り、その上にアイデアで味付けするようなものは、味付けの部分が日本に残ると思っている。

日本国内にも大きなソフトウェア市場はあり、市場は高い完成度を求めている。「どう作るか?」は海外との競走で苦しくなってくるので「何を作るか?」の感性を磨くのがこれからの日本のあり方ではないかと思っている。

この「何を作るか?」が作り手の押し付けではなく、使いやすさを十分に配慮したものを作る、というところが日本の特徴だと思う。

日本の情報通信産業のゆくえ(3) ソフトウェア事業

2008-04-25 08:46:42 | 経済
昨日、日本のソフトウェア事業は落ち目であると書いた。

実際にソフトウェア事業に携わっている人で同意する人は少ないのではないかと思う。「仕事はどんどん増えていて、むしろこなすのが大変な状況である。開発費を絞られているので利益を出すのは大変であるが市場が大きくなっているので、工夫次第でいくらでもやりようがある」というのが普通のソフトウェア事業に関わる人の感触ではないかと思う。

確かに、国内のソフトウェア開発需要は増えている。しかし、海外に流れる開発も増えている。需要の伸びが海外への流出量を上回っているので、仕事が増えているのである。逆に海外向けのソフトを国内で開発している例はほとんどないはずである。

私は、このソフト開発の海外流出は今後どんどん増えてきて、近い将来、国内の需要の伸びを上回ると思っている。2012年あたりで、国内ソフト開発市場の頭打ち感が出てきて、2020年ころにはソフト開発しかしてこなかった40代の人の仕事が減少し社会問題化するのではないかと思っている。

ソフトウェアを製品としてみると、かかるコストのほとんどは開発費と販売費で製造コストはほぼゼロである。つまり一度開発したソフトをたくさん売ることが利益を出すかなめであり、これを最もうまくやっているのがマイクロソフトである。

顧客の特別な要求に合わせるカスタマイズが仕事としてあり、これはソフト事業というよりサービス事業に近い。利益を出すためにはこのカスタマイズのコストをできるだけ下げて、ちょっと変えればカスタマイズできるような高機能のプラットフォームを作ることが重要である。

日本の企業はこのプラットフォームでは勝てずに、カスタマイズに逃げ込むしかない。そして徐々に追い込まれて逃げ場を失い、儲からない分野での過当競争になると思われるのである。

日本の情報通信産業のゆくえ(2) 将来への懸念

2008-04-24 13:31:15 | 経済
日本の情報通信産業の世界的地位は下り坂であると書いた。 私はこの傾向に歯止めがかからず、どんどん下っていくのではないかと心配している。

その理由はソフト開発力の弱さである。情報通信産業におけるソフトウェアの比重はどんどん高まってきており、ソフトウェアの力がないとうまく事業を回せない状況になってきている。この傾向は将来一層顕著になると思われ、それにつれてソフト開発力の弱い日本の情報通信産業の地位は下がっていくと感じるのである。

なぜ日本のソフトは強くなれないと感じるか?
それはソフトウェアが、英語に近い言語だからである。現在日本人の英語力は世界で相当下のほうである。インドはおろか、中国や韓国よりも下である。世界で日本人より英語力の低い国を探すのが大変なくらいである。この傾向は変わらないし、英語力が低い以上、ソフト力で上位に来れるとは思えない。

もちろん日本人にも英語の得意な人はいるし、ソフト開発の得意な人もたくさんいる。従って、少人数(50人いかくらい)で開発できるソフトなら勝ち目はあるだろう。しかし、1000人以上が関わる大規模ソフトになると、優秀な人材を集めきれない。

海外にアウトソースするにしてもコミュニケーション能力が劣っているとうまく使いきれない。国全体のソフト力という意味では落ちていくのは避けられないように思う。

2020年頃には日本のソフト産業は現在のイギリスの製造業のような地位になっていると思う。日本人向けのソフトのために要求条件を出すような仕事は残るだろうが、開発は大幅に縮小するのではないかと思っている。 ではどうするか?
①英語が下手でもソフトに強くなれる仕組みを考える
②大規模ソフトが勝負の中心にならない産業構造を考える
③日本人の英語力を底上げする方法を考える

などが考えられるが、私は①は無理だと思っており考える気にならない。 ②と③について考えてみたいと思っている。

日本の情報通信産業のゆくえ(1) 現状認識

2008-04-23 13:20:48 | 経済
私は無線通信という情報通信産業の片隅に足場を置いて活動しているのだが、日本の情報通信産業の将来に強い危惧を持っている。

その理由を分析していくとどうも日本の産業全体の本質にかかわる問題のように思えてくる。この問題について何回かに分けて書いてみようと思う。

1970年代1980年代は日本の情報通信産業は日の出の勢いであったがその後は失速し、現在では年々世界の中での順位を下げている。半導体は特にその傾向が顕著で、一時は世界の大手上位に日本の会社がずらりと並んだものだが、いまは見る影もなく、集約の話を聞くほうが多い。

コンピュータ、通信機器なども半導体ほど顕著ではないものの、地位を下げていると思っている。

これは、日本のバブルがはじけた影響がきっかけになったように思うが、その底流には日本の社会、文化に根ざした本質的なものがあると思っている。次回以降、私なりにその本質を考えてみたい。

大阪への引っ越し

2008-04-22 09:07:06 | 昔話

札幌に1年ほど住んで、小学6年生の秋には大阪へ引っ越した。
父が石炭会社に見切りをつけ、大阪の商社に転職したのである。

札幌は広々して近代的な街で好きだったが、大阪はどんなところだろうと思った。
私自身は子供のころから何度も引っ越していて、小学校も何度も変わっていたので特に感慨はなかったが、生まれてからずっと北海道で暮らしていた母にとっては大変なことだったらしい。青函連絡船の中で見た母の涙が強く印象に残っておる。

大阪では市内の旭区に住んだ。ダイエー発祥の地である千林商店街が普段買い物に行く場所だった。ここで太子橋小学校という私にとって4っつ目の小学校に通うことになった。
これから大学を卒業するまで関西で暮らした。

このように小さい頃に引っ越しを繰り返していたので「出身はどこですか」と聞かれるといつも答えに困る。子供のころに過ごした北海道か、青春時代を過ごした関西か、微妙なところである。自分では北海道人とも関西人とも違う、コスモポリタンのつもりでいるが、しいて言うなら北海道のほうが近い気がする。「三つ子の魂百まで」とは良くいったものだと思う。


星宿山王禅寺

2008-04-20 16:09:15 | 生活
今日は車に慣れることをかねて新百合ヶ丘まで車で行ってそこで降ろしてもらって散歩をしながら帰ってきた。なかなか快調である。

帰り道で王禅寺に立ち寄るとたくさん幟が立っていて、旧小机領地三十三寺の特別公開というのをやっていた。このあたりは昔(江戸時代)は小机の殿様の領地でこの領地内の三十三カ寺では12年に一回、子年にだけ普段は公開しない宝物を公開しているそうである。普段はしまっているお堂が開けられており、中の観音様を間近で見せてもらった。

檀家の人にはバスを仕立ててお寺めぐりをしているそうである。
お堂の中には渡辺崋山の書いた絵という天井画があった。

王禅寺は真言宗であるが他の宗派も含まれているのかどうかは聞き漏らした。

公演では鶯が鳴いており、藤も咲き始めた。

新車到着

2008-04-19 15:27:51 | 生活
以前書いた今回買い替えた新車ブレードが到着した。
これまで11年間乗り続けたエスティマ・ルシーダは引き取られていった。

この車はエスティマと同じ2400CCであるが長さは4.5mとかなり短い。
小さい車で以前と同じくらいの排気量があるので少し踏むと「ぐっと」加速する感じがある。乗りやすそうである。

そうはいっても、普段は私はほとんど運転せず、助手席で家内に送ってもらう立場ではあるのだが、旅行に出た時などはよさそうである。

カーナビをつけたり、バックのカメラをつけたり、無線のキーロックがついたりして使い慣れない機能がたくさんある。じっくり使い込んでいこうと思う。

ちょうど暫定税率の期限切れで車両税が下がり、その恩恵を受けた。