ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

「ファクトフルネス」を読んだ

2019-07-16 06:25:18 | 生活

Fact Fulnessという本を読んだ。この本はスウェーデンの医師で公衆衛生に長期間かかわってきたハンス・ロスリングが書いたものである。本人は本書が発行される直前の2017年に他界し、娘とその婿が完成させているのだが、ハンス・ロスリングの言葉として語られている。

最初に13個の世界の現状に関する質問があり(まじめな質問である)、3択で答えるようになっている。ネタばらしになるのでその内容は書かないが私は13問中3個しか正解できなかった。ランダムに選ぶより低い正解率である。私だけでなく、世界中で正解率は低いそうである。この質問と正解を示し、人々は世界の状況をどれほど誤解しているかを示して、原因を解き明かしている。そして誤解を防ぐにはどうするべきかについて本人の経験とともに語っている。

この本を買おうという気になったのはテレビ東京の朝の経済番組「モーニングサテライト」でビジネス書の売り上げでかなり長期間上位に入っていたからである。普通は、ノウハウ本が売り上げ上位に来ることが多く、私はあまり気に留めていないのだが、「この本はどうも違いそうだ」と思ってアマゾンで注文した。

読んでよかったと思っている。私自身が日ごろ問題だと感じていて共感する点も多く、納得できる部分が多かった。なにょり公衆衛生を中心として活動してきた医師がこれほど広い視野を持てた点に感心している。ベストセラーなのですでに読まれた方も多いと思うがお勧めの一冊である。

7月17日、「モーニングサテライト」でこの本の著者に対するインタビューが放映された。本当の著者は他界しているのだが、作成を手伝った娘が「著者」としてインタビューを受けていた。しかし、どこまで正しくこの本の内容を理解しているか分からないような受け答えだった。あのインタビューを見て「読みたい」と思う人は少ないだろう。本の中身はインタビューよりもかなり濃いものであることをここに添えておきたい。


NECが新卒に年収1000万円

2019-07-12 09:13:36 | 経済

最近、NECが新卒の研究者に年収1000万円の給与を与えると発表して話題となった。私の知るNECはこのような大胆な人事は行わない会社だった。特に人事は保守的だと思っていたのだが、体質が変わってきたのかと思う。

新卒の年収1000万円というのは大きな話題となるが、実際に企業にとってのコストはごくわずかだろう。人数は数人だし、業績が上がらなければ減収もあり得る、というような条件だろうから、1億円以下のコストで大きな宣伝効果があった。気になるのは「研究職」という点である。最近のNECの研究所がどのような運用をされているのかは知らないが、もっと実務に近い、実際に顧客向けのシステムを開発するような部署でないと優秀な人材が生きないのではないかと私は考えている。日本の大学の延長上のような仕事をさせるならたとえ優秀な人材でも事業に生かすのは難しいのではないかと思っている。むしろ、海外人材(海外の留学生、あるいは日本の留学生の帰国組)を狙ったほうが良いのではないかと思っている。

難しいのはこのような人材を採用した場合の社内での扱いである。上司よりも高給の新卒などが出てくる可能性があり、そういった人材を使いこなせる体制ができているのかどうか、私はこの点に関してはおそらく慎重に検討して「できる」という感触を持っているのだと想像している。研究所ならば問題は無いと思う。

最近、NECの株価は堅調で1年前は3000円弱だったのが現在は4300円を超えている。私は米国のHuaweiに対する締め付けで、日本の通信事業者がNECの通信設備を買わざるを得なくなる、というのが主な理由だと思っていたが、それだけではなく社内改革が進んできたのかもしれない。優秀なソフトウェア人材はこれからの企業の核となる。これまでの日本企業でソフトウェア開発者は、残業が多く、昇進は遅いということで、大学でも情報工学科などは人気がなく偏差値が下がってきていたが、これで偏差値が上がってくるtことを期待している。

本当の課題はソフトウェアの開発体制を見直して、優秀なプログラマーが早く昇進していける体制を作ることである。この点はNECにはまだできていないだろうと想像しているが、今回の発表で少なくとも経営層にはその意思があるだろうと推測できる。今後数年間で経営層の本気度が分かってくるだろうと思っている。