最近、私は全ての広域無線通信方式をLTEに統一すべきだと考え、色々なところで発言している。通信だけでなく、テレビ、ラジオのような放送もLTEにすべきだと考えている。
LTEにしないのはレーダーや電波天文のような特殊用途とスイカや無線LAN、Bluetooth、ワイヤレスマイクといった短距離通信だと考えている。LTEにすべきなのは、放送、各種業務用無線、警察無線、軍用無線、消防無線、防災無線、固定無線通信、衛星通信などである。アマチュア無線もLTEにしたほうが良いと思う。
LTEは無線市場で圧倒的な規模を持つ携帯電話の世界統一方式であり、現在複数ある世界の携帯電話の通信方式は将来的には全てLTEに集約されていく。そうなると、生産規模も圧倒的で回路の低消費電力化も進み、価格的に他の方式に対する優位性がどんとん高まっていく。上に挙げた各種無線通信にはそれぞれ特別の要求条件があり、歴史的経緯もあって別の通信方式になっているのだが、今のLTEは極めて自由度が高く殆ど全ての要求条件を満足することができる。軍や警察は盗聴防止が重要であるがそれは暗号化で実現できる。業務無線ではグループ通信などが重要であるがそれもLTEで実現できる。テレビのような放送機能もLTEで実現できる。
LTE方式には周波数利用効率を高めるために様々な工夫が盛り込まれている。方式をLTEに統一すればあらゆる用途でこの工夫を利用でき、周波数不足を補うことができるし、高速サービスを提供することもできる。更に携帯電話に組み込むことが容易になり端末のコストダウンにつながる。警察官などは警察無線と携帯電話の両方を持っているが一台で共用できるようになる。
アメリカでは既にこの動きが始まっている。アメリカの警察や消防と言った公共無線はLTEに統一することを決め、現在のLTEで不足している機能を補うように標準化団体に働き掛けている。この動きには経済合理性があるので、次はヨーロッパに広がり、いずれは世界に広がっていくだろう。一般的に電波行政は変更するのに長い時間がかかる。欧米で広がってから日本に導入するのでは大きく遅れてしまう。巻き返すには、まだアメリカでも議論されていないようなことを含めて大胆に動く必要があると思っている。