今日は秋晴れで空気の冷たさが心地よい。私は一日の最低気温10度、最高気温20度くらいの季節が一番好きで、夏用の背広を羽織って家を出ている。問題は花粉症であるが、先日書いたようにマスクを着用するようにして今年の症状は大きく和らいでいる。され、本日の主題、拉致問題についてである。
今、日本の代表団が拉致問題を協議するために北朝鮮を訪問している。私はこの拉致問題の報道を聞くたびに「交渉が下手だな」と感じてしまう。
拉致問題自身は大した大きな問題ではない。波及効果はあまり大きくない。しかし、人道的見地から大騒ぎをしている。北朝鮮にとっては重要な日本との交渉カードである。北朝鮮側にとってみれば損がなくて実利を得られそうな交渉カードである。今年に入ってなぜ北朝鮮が拉致問題で歩み寄りの姿勢を見せてきたのか、それは中国のと関係が背後にあると思っている。中国が北朝鮮を抑えにかかった。それに反発する意味で北朝鮮は日本との接近を図った。「中国が助けてくれないなら日本と接近するよ」という姿勢を見せたのである。その際に核開発とか経済問題とかではなく拉致問題が一番影響が少ない。実際、「調査する」といって日本がごく一部だけれど制裁を解除したときにアメリカが懸念を示した。これだけで北朝鮮にとっては効果があったことになる。
最近になって拉致問題が進展しなくなったのは中国が北朝鮮の日本への接近に懸念を示し始めたので、既に効果は出ており、「カードをまだ残しておこう」と北朝鮮が思い始めたということだろう。その意味では日本でマスコミが「拉致問題は解決するか」と大騒ぎをし、政府が「拉致問題が最重要事項」と言えば言うほど北朝鮮は拉致問題のカードの重さを感じて解決は遠のくのだと私は思っている。小泉元総理が拉致問題で大きな進展を見せたときに「事前に拉致問題を解決する」と大見得を切ったりしていない。極秘裏に交渉を進めて突如訪朝して結果を出した。これがこの問題に対する対処の仕方だと思う。
「ニュースになれば何でもよい」という安っぽいマスコミは仕方ないにしても、政府は当然こういうことは分かったうえで駆け引きをしているのだと私は思っていた。しかし、最近の政府関係者の発言を聞いていると「分かっていないのではないか」と感じ始めた。
拉致問題を解決するには北朝鮮に「今がこのカードの価値が一番高い時期で、ここを過ぎると価値が下がってしまう」と思わせることで、「拉致問題は重要だ」と強調することではないはずである。騒げば騒ぐほどうまく利用されて結果は出ない問題であることを政府関係者は改めて認識すべきだと思う。