ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

拉致問題を強調することは北朝鮮を利するだけだ

2014-10-29 07:34:49 | 社会

今日は秋晴れで空気の冷たさが心地よい。私は一日の最低気温10度、最高気温20度くらいの季節が一番好きで、夏用の背広を羽織って家を出ている。問題は花粉症であるが、先日書いたようにマスクを着用するようにして今年の症状は大きく和らいでいる。され、本日の主題、拉致問題についてである。

今、日本の代表団が拉致問題を協議するために北朝鮮を訪問している。私はこの拉致問題の報道を聞くたびに「交渉が下手だな」と感じてしまう。

拉致問題自身は大した大きな問題ではない。波及効果はあまり大きくない。しかし、人道的見地から大騒ぎをしている。北朝鮮にとっては重要な日本との交渉カードである。北朝鮮側にとってみれば損がなくて実利を得られそうな交渉カードである。今年に入ってなぜ北朝鮮が拉致問題で歩み寄りの姿勢を見せてきたのか、それは中国のと関係が背後にあると思っている。中国が北朝鮮を抑えにかかった。それに反発する意味で北朝鮮は日本との接近を図った。「中国が助けてくれないなら日本と接近するよ」という姿勢を見せたのである。その際に核開発とか経済問題とかではなく拉致問題が一番影響が少ない。実際、「調査する」といって日本がごく一部だけれど制裁を解除したときにアメリカが懸念を示した。これだけで北朝鮮にとっては効果があったことになる。

最近になって拉致問題が進展しなくなったのは中国が北朝鮮の日本への接近に懸念を示し始めたので、既に効果は出ており、「カードをまだ残しておこう」と北朝鮮が思い始めたということだろう。その意味では日本でマスコミが「拉致問題は解決するか」と大騒ぎをし、政府が「拉致問題が最重要事項」と言えば言うほど北朝鮮は拉致問題のカードの重さを感じて解決は遠のくのだと私は思っている。小泉元総理が拉致問題で大きな進展を見せたときに「事前に拉致問題を解決する」と大見得を切ったりしていない。極秘裏に交渉を進めて突如訪朝して結果を出した。これがこの問題に対する対処の仕方だと思う。

「ニュースになれば何でもよい」という安っぽいマスコミは仕方ないにしても、政府は当然こういうことは分かったうえで駆け引きをしているのだと私は思っていた。しかし、最近の政府関係者の発言を聞いていると「分かっていないのではないか」と感じ始めた。

拉致問題を解決するには北朝鮮に「今がこのカードの価値が一番高い時期で、ここを過ぎると価値が下がってしまう」と思わせることで、「拉致問題は重要だ」と強調することではないはずである。騒げば騒ぐほどうまく利用されて結果は出ない問題であることを政府関係者は改めて認識すべきだと思う。



欧米における日本人街とチャイナタウン

2014-10-28 16:55:43 | 生活

欧米の大きな都市に行くとたいていチャイナタウンがある。欧米だけではなく世界の大きな都市殆どにあるかもしれない。一方世界での日本人街は極めて限定的である。どうしてだろう?

ブラジルには日本からの移民がたくさん行っていて、ブラジルの日系人は160万人だという。しかし、明確な日本人街は小さく、最近は中国や韓国系のオーナーに日本品の店などもどんどん買収されているという記事を日経で読んだ。これは私が以前から感じていたことだが、日本人は移民として入っても現地に同化してしまい、日本コミュニティを保つことが少ないように思う。中国系の人たちがどこの国でもチャイナタウンを作るのとは対照的である。そして50年も経つと現地に同化する。

現地に同化しないで固有の文化を保つのはユダヤ人と中国人である。この二つは他の人種に比べて際立っていると思う。ユダヤ人の場合には宗教が強い影響を持っているのではないかと思っているが、中国ではこれと言って強い宗教は無い。中国では何が国民同士を結び付けているのだろうかと以前から不思議に思っていた。

最近私が思っているのは、中国人は商売が得意だというのが理由ではないか、と考えている。中国人が商人だとすると日本人は職人である。職人はどこかの会社の技術者として雇われるか、芸術家的に個人で仕事をする人が多いのに対して商人は個人商店を開いてモノを売り始めることが多い。中国人は中国人向けの商売をするのが始めやすい、というのが理由なのではないか、と思っている。そして中華街を作って多くの中国人向けの商品を売っていると遠くからでも買いに来る人が多いというのが中国人がチャイナタウンを作る理由ではないかと思っている。それだけ中国的商品、食品に愛着を持っているということではないだろうか。

考えてみるとユダヤ人も商人的性格が強い人種である。これが集まって文化を保っている理由ではないかと思っている。これに対してドイツ人は職人気質である。それが世界でドイツタウンが少ない理由ではないだろうか。

ふと思いついただけでデータを持っているわけではないのだが調べてみると面白い仮説ではないかと思っている。



気になるNHKのオリンピックあおり過ぎ

2014-10-26 08:05:32 | 生活

最近、NHKでのオリンピックに対する期待をあおる番組が多くて気になっている。東京オリンピックの時に新幹線を開通させて大成功した、というような話を繰り返し出して「オリンピックは単なるイベントではなく私たちの生活を変えるもの」という言い方をしている。

元々、日本国内のオリンピックに対する期待はそれほどなく、「ブラジルでも良いじゃないの」と思う人が多くて2016年のオリンピックはブラジルに決まった。その後、NHKをはじめとするマスコミのキャンペーンが功を奏して「日本でオリンピックをやるのも良いな」と思う人が増えて2020年の東京オリンピックが決まった。この時も私は「騒ぎすぎではないか」と感じていたが、東京でオリンピックを開催することが悪いとも思わないので傍観者的に眺めていた。私は政府からマスコミへの要請があったのではないかと思っている。

しかし、最近のNHKのオリンピックへの期待感をあおる報道にははっきりと懸念を感じる。まるで東京オリンピックの時の「箱モノ行政」の再来を期待しているかのように感じられるからである。オリンピックを目指してリニア新幹線を完成させる。オリンピックを目指して第5世代移動通信を開始する、などは箱モノ行政の典型に感じる。これも政府の意向が裏で働いている感じがする。

1998年の長野オリンピックは長野県に大きな発展をもたらしたか、むしろさまざまな設備は負担になったのではないか。最近のオリンピックでいえば北京オリンピックはそれを機会に高速道路や地下鉄を整備し北京市の大発展をもたらしたが、その反面、大気汚染をもたらしている。しかし、日本は北京オリンピック当時の中国のように発展途上国ではない。

2020年の日本は人口減少の真っただ中である。ましてや東京への一極集中が問題となっており、地方拠点への分散を目指しているはずの時期に、オリンピックを目指して箱モノ行政を行うのは明らかに時代の流れにそぐわないと思う。オリンピックのために建てた箱モノがオリンピック終了後には財政負担となって残る可能性が高いと思う。その時NHKは自分たちのあおり過ぎを反省する覚悟があるのだろうか。失敗すれば「行政の無謀な暴走をとがめる」だけの無責任な存在としてオリンピックをあおっているとしか私には思えない。


iPhoneが熱くなる

2014-10-22 09:39:59 | 生活

最近、ある特定の時間にiPhoneが熱くなるのを感じる。胸ポケットに入れていて熱くなってきたことを感じるので、相当なものである。電池はみるみる減っていき1時間ほどで満タンが半分くらいに減ってしまう。熱くなる時刻は一定しておらず、バラバラである。理由はよくわからないのだが、考えられることは、iCloudのバックアップをOnにしたことと、iOSのアップデートを行ったことである。

バックアップは最初の一月ほどはOffにしていたのだが、「充電中で無線LANにつながっているときにバックアップを行います」と画面上に出ていたのでOnにしてみた。症状から見て疑わしいのはバックアップなので設定をいろいろいじって、写真のバックアップをOffにしてみた。「Offにするとすべてのバックアップされた写真が消えます」という脅し文句が画面に出るが、構わずOffにした。それから36時間ほど経過したがiPhoneが熱くなる現象は出ていない。このまま様子を見てまた問題が出るようならバックアップ全体をOffにしてみようと思っている。

仮に写真のバックアップが原因だったとすると2つのバグがあると思う。一つは「充電中で無線LANにつながっているときにバックアップを行います」というのが嘘で持ち歩いているときにLTEネットワークを介してバックアップが行われているということである。もう一つは写真を撮っていない日にも熱くなるので、変更の有ったデータだけでなく全データをバックアップしているのではないかという点である。もしこれが事実ならもっと大騒ぎになっているはずだと思うのだがあまり騒がれていないのはどうしてだろう、と思っている。

これまでiPhoneの問題点ばかりをブログに書いているが、使っていて完成度は高いと感じている。私はAppleファンではなく、どちらかというとAppleにやり方は好きではないので極力Appleのアプリは使わないようにしている。主に使っているのはGmail、Googleのカレンダー、Facebook、Google検索などである。Google検索はAndroid(Galaxy S3)のほうがやりやすかったと感じているが(おそらくSafariを使えばやりやすいのだろう)、FacebookやGmail、カレンダーはむしろAndroidより使いやすいと感じている。多分iPhoneのほうがAndroidよりも圧倒的に機種数が少ないのでチューニングがやりやすいのだろうと思う。iPhoneからAndroidに買い替えた人はかなりストレスを感じるだろうと思う。

第3次産業革命の行方

2014-10-21 08:55:07 | 社会

英国Economist誌の10月4日号のスペシャルレポート「The World Economy」は読みごたえのある記事だった。記事では現在を第3次産業革命の最中であるとしている。第1次産業革命がワットの蒸気機関の発明に始まった動力の革命、第2次産業革命がエジソンの電球の発明に始まった電力の利用、そして第3次産業革命が半導体技術を元にした情報通信の発展による情報伝達発明である。この見方には私も賛成である。

問題はこの第3次産業革命が所得格差を拡大すると言う点である。このブログにも何度か書いたが、情報通信技術の進展で経理などは大幅に処理が簡略され、企業は効率化を行った。Amazon、Google、Microsoft、Appleといった企業は大きくなって新たな雇用を生み出しているが、その新規雇用は失われた雇用よりはるかに少ない。私の意見はEconomist誌に影響されている面が少なからずあるが、実データとしても雇用の縮小が生じている。下の図はその様子を示すものである。左端は日本を含む先進国のいくつかでは実給与が減少していると言うことを示すものである。中央はトップ10%の収入が全体の収入に占める割合ある。アメリカは極端だが全体的に貧富の差が拡大している。右側のグラフが重要なのだが1992年と2010年で比較して、中間層の多くが減少し、一部は高級労働者になるものの、大部分は単純労働者側に移行している。

先進国ではこのような傾向が顕著なのだが、新興国は工業化によって中間層が増大している。しかし、これも「世界の工場」といわれて経済が躍進した中国が最後で、今後は新興国での中国型の発展は難しいとEconomist誌は指摘している。それは最近の製造業のアメリカ回帰に見られるように、自動化により製造コストが下がり、輸送コストの比率が高まってきたからである。

これまでの情報通信は情報を加工、運搬するだけだったが、最近は機械との連携が強まりロボットの発展が著しい。介護や運搬の現場も機械化されて、ロボットに仕事をさせるのと人間に仕事をさせるのでどちらがコストが安いか、という判断基準で造られる仕事は、給与の低減が避けられないだろう。

過去の産業革命も最初は失業者を生んだ。新しい技術を導入する時の最も分かりやすい説明は「今までの仕事を効率化する」なので、こういう現象が起こるのだが、技術が定着してくると、装置を生み出すために仕事が必要になり、結果として新しい仕事がどんどん増えて、平均収入が上がることに寄与してきた。しかし、少なくとも現時点では、情報通信の発展により大きな雇用を生み出しそうな新しい産業は見つかっていない。Facebookは新しい産業で世界中に広まっているが雇用はわずかである。

新しいサービスを生み出すための仕事は成功すれば大きな価値を生み出すが、そのための雇用はごくわずかである。必然的に所得格差は広がる。税制を工夫して格差拡大を防ぐことはできるが、個人のレベルで言えば自分の付加価値は高いのに実収入が増えないのでは不満が残る。競争社会では付加価値と収入が比例するのが最も効率的で、これを人工的にゆがめた国あるいは組織からは優秀な人が逃げ出してしまうだろう。

ここからは私の考えなのだが、今後の社会で重要なのは優秀な人の満足感を収入金額と切り離すことだと思う。実際、ある程度の収入があればそれ以上は報酬による満足感よりも充実感とか、周りからの評価とか言った側面が重要になってくる。Googleは既にそのことに気がついていて、優秀な人材を集めるために、様々なサポートや、仕事の自由と言ったものを与えているように思う。昔の日本にもこういった感覚はあったと思うが、社会全体でそれを共有することが重要だと思う。Google以外にもイケア、京セラ、出光石油など、会社独特の哲学を持っていて、社員にも共感を求めている企業はこのようなことを実践しているように思う。

国単位での成功を求めるなら国民の哲学として価値観が必要だろう。課題先進国の日本はそれが必要な時期に来ていると思う。それは世界全体に通用する必要は必ずしもないが、少なくともグローバルでかなりの割合のトップ人材の共感を得られるような価値観でないといけないだろう。儒教的価値観では難しいと思う。



秋の花粉症

2014-10-20 10:40:55 | 東工大

私にとって、秋の花粉症の季節が始まった。病院に行って花粉症と診断された訳では無く、勝手に思っているだけなのだが、ここ数年、この時期になると症状が出る。スギ花粉のように、目がチカチカ、鼻水が出るという症状では無いのだが時々くしゃみが出るのと、喘息のように気管支が晴れている感じがして呼吸が通りにくくなる感じがする。

私は、皮膚科に通ってアレルギーのくするを定期的にもらっている。「じんましん」と言う診断だが食べ物で症状が出る訳では無く、家ダニ等のアレルギーで体にかゆみが出る。このための薬(アレロック)は花粉症にも効くのでスギ花粉の時期には飲む頻度を増やす。同じように秋のこの時期にも飲む頻度を増やすと症状が改善するので自分で「花粉症」だと判断している。

秋の花粉症については昼間はあまり問題を感じることは無いのだが、夜寝ていると呼吸不全の感じがして寝苦しくなる。なかなか寝付けないので起きてパソコンをいじったりしていると苦しさは感じなくなるが、寝不足になってしまう。昼間は体が活動的で呼吸も無意識のうちにそれだけ大きくしているので問題が無いのだが、寝ている間は呼吸機能も下がってきて空気の通りにくさを感じてしまうのではないかと感じている。

今日、始めてマスクをして家を出てきた。気のせいか呼吸が楽な感じがするが、昼間は元々問題を感じていないので今夜どうなるかで効果が分かると思う。中国北京のマラソン大会でマスクを捨て走っている人の映像がニュースで流れていたが、PM2.5はマスクを通り抜けるので殆ど効果は無いだろう。これに対して花粉は粒子が大きくマスクでかなり防げるので花粉が原因ならば症状が改善するはずだと思っている。



朝の散歩を運動にするには

2014-10-15 11:12:27 | 生活

台風が過ぎ去って秋らしくなってきた。今回の台風の進路予想では、気象予想の進歩を感じた。大風19号は九州南部を横断し、更に四国山地を横断、紀伊山地を横断して南アルプス、八ヶ岳を通って北関東に出て阿武隈山地を横断して宮城県に出た。これほど多くの山地を横断した台風は史上初ではないかと思う。私は大阪あたりから琵琶湖から北陸に抜けると思っていたのだが、気象庁の予想は台風がまだ九州の西側にいたころから、このコース予想だった。

涼しくなったので朝の散歩の時間を長くして1時間強歩いている。運動も兼ねているので早めに歩こうと思っているのだが、気が付くと普通のペースになっている。自分で観察していると、一番調子が出るのは緩い上り坂で、息を切らすことなく手応えのある歩きができている。坂が急になると息が切れるのだが私の家の近くには急な上り坂が長く続く場所は無いのでこれも良い運動だと感じている。問題は平坦地かやや下りのところで、ここで気が付くと楽な歩き方をしている。自分で意識して早く歩くようにしないと運動量としては下がる感じがしている。一定のペースで歩くというのが本能的な要求としてあり、上り坂では頑張る感じになるが、下り坂では楽をするというのが人間の本性ではないかと思ったりする。

ふと、「これは仕事も同じかな」と思った。うまくいかない、困難が見えているときには頑張る気持ちになるが、楽になると、そのまま楽をしてしまう。仕事が順調な時に、更にペースアップをできるかどうかが人の成長に大きく影響するのではないだろうか。特に今の私のように個人で仕事をしていると安易に流れやすい。トヨタや京セラは下り坂でペースを上げる企業文化を作り上げてきたから強いのかな、と思った。


日本の5大企業変革とは

2014-10-14 13:31:47 | 経済

日経ビジネスが創刊45周年で、最近日本企業の勢いが失われてきていることに対する警鐘を鳴らし、「断」の経営、という特集を組んでいる。この中で、「記憶に残る5大企業変革」として事例を上げている。それらは

・川本信彦氏のホンダの変革
・山下俊彦氏のパナソニックの変革

・カルロス・ゴーン氏の日産の変革
・藤原秀次郎氏のしまむらの変革
・藤田田氏の日本マクドナルドの変革

である。私に言わせれば「これが5大企業変革とは見る目が無いな」と言う印象である。経営者などにアンケートを取って上位に入るのはゴーン氏の日産改革くらいではないだろうか。ゴーン氏の日産改革は本当に見事で、彼を呼ばなかったら日産は今頃無くなっていたかもしれないと思う。但し、私は日産がハイブリッド車では無く電気自動車に賭けたのが失敗で、建て直した後の成長戦略に乗れなかったと思うので、ゴーン氏は長期的展望は良くないのではないかと思っている。

それ以外は歴史をたどればどこの会社にでもある程度の改革ではないかと思っている。これらを5大変革と呼ぶあたりが日経ビジネスの今一つのところではないかと思う。

ここで、私が気になっているのは経営手法ばかりを言っていて技術トレンドを語っていない点である。私は日本企業が全体的に勢いを失っているのは情報通信の活用が不十分だからだと言う気がしている。この50年、特に後半の20年ほどは情報通信、特にインターネットが社会インフラになってきており、これをうまく活用することで業務効率が大きく変わってくる。日本企業はブルーカラーの業務効率は高いがホワイトカラーの業務効率が低い点が問題で、その問題点はグローバルセンスの不足とICTの使いこなしの遅れが本質であると思っている。

このブログに何度か書いたが、日本企業はソフトウェアプラットフォームのセンスが無い。一度企業内に業務システムを導入しても、業務はどんどん複雑化していくので、改版を続けなくてはならない。改版を続けるうちにいわゆる「スパゲティソフト」になって手に負えなくなる。そうすると全面見直しをして作り直さなくてはならない。それで経営者から見ると「情報システムは投資効率が悪い」と言うことになり、情報通信投資をしなくなっている、というのが大きな原因ではないかと思っている。

日本全体でこの状態を改善するために、メーカーはどこの国でも良いから世界最先端のソフトを使うことが必要だと思っている。世界最先端のソフト開発会社は主にアメリカに居る。日本市場は市場の将来性も不透明で、言語の違いもあるのでどうしても後回しの開発になる。そこを市場を開放して、日本市場向けに最先端のソフト開発をしてもらうように持っていくのがアベノミクス成長戦略の目指すべき方向性だと私は思っている。



ヘイト・スピーチはやらせ?

2014-10-13 09:57:20 | 社会

ヘイト・スピーチという言葉を最近よく聞くようになった。私自身は直接聞いたことはないのだが、大体の想像はつく。右翼が街宣カーで朝鮮人の悪口を国会周辺でがなっている事のようである。

先日も国会で取り上げられていて「規制しないのか」と野党が言っていたが、政府の答弁は歯切れが悪かった。「朝鮮人、死ね」などと言っているようで誰もが問題だと思うし、国際的にも問題視され始めている。しかし、法務大臣は「特定のに団体または個人に対していったものでないと取り締まれない」という答弁である。それならば別に取り締まる法案を出すとか、何らかの方策を考えるべきだと思う。サッカーで「Japanese Only」と書いた横断幕をファンが掲げて浦和レッズが無観客試合という制裁を受けた民間と比べてずいぶん感覚が違うと思う。国家公安委員長はヘイトスピーチを行っている団体の幹部と何度か私的にあっているという指摘もされていたが「誰と会ったか覚えていない」と逃げていた。女性閣僚が責められている。「懇ろ」というヤジを責めるよりもこの件に関しては中身が重要だと思う。

どの閣僚も「ヘイト・スピーチは許せない行為」と答弁しながら対応しない政府の動きに違和感を感じた。そう思っていたところ最近の英エコノミスト誌に日本のヘイトスピーチの記事が出ており、上に書いたようなことを紹介した後で結びの一文が「Some of the hate, it seems, may be inspired from the top」となっている。Topとは安倍総理のことだろう。英エコノミスト誌は世界中の知識人が読んでいる、信頼度の高い雑誌である。実際がどうなのかはわからないが、これにより日本に対する悪いイメージが世界中に広がる。韓国メディアが何か言うのとは影響力が全く違う。Economistの記者がこういうことを書くほどの印象を与えてしまった時点で安倍改造内閣の大きな失点であると思う。

話は違うが、こういったことを議論していた国会中継を聞いて、国会では議長が機能していないと感じた。政府の答弁が質問に対する答えになっておらず、はぐらかしているような場合には、議長が回答を促すべきである。質問者は「議長、今の答弁が回答になっていると思いますか?」といって議長からの指示を求めるべきだろう。実際は「回答になっていない。私の質問は・・・です」と言って同じ質問を繰り返し、同じ答弁を繰り返すという場面を何度か聞いた。議長は発言者を指名するだけではないはずだ、と思っている。ヤジがなくならないのもこういった議長の弱さに起因していると思う。



日本共産党は変わった

2014-10-11 06:34:11 | 社会

また国会中継の話しである。先日、国会中継で辺野古問題の共産党と政府のやり取りを紹介した。その時は「共産党の議論の仕方が少し変わってきたな」と言う印象を持ったのだが、8日の大門議員の質疑でははっきり「共産党は変わった」と言う印象を持った。いくつかのポイントに付いて質問をしていたのだが、法人減税についての議論が印象的だった。

従来の共産党なら「大企業の利益になる法人税減税はけしからん」という言い方をするところだが、大門議員のポイントは「表面税率が問題では無く、雇用保険等を含めた全体のコストが問題である。国際的に減税競争をすることはお互いの首を絞めることになり、好ましくない。企業が投資するのは市場のあるところに投資するので、法人税率の投資促進効果はごくわずかである」という指摘をしている。麻生財務相はこの意見にある程度賛成し、「国際的に税率の安いところに大企業は動くようなことには歯止めをかけよう、と呼びかけている」と言うような答弁をしている。財務大臣が共産党に賛成するのを見聞きしたのは初めてである。安倍総理は減税必要と抵抗していたが分が悪い印象だった。

他にも大門議員は「アメリカは最低賃金を大胆に上げて成功している。現在さらに上げようとしている」と指摘し、政府側から「共産党がアメリカをほめるとは意外」と言うようなやり取りがあった。

大門議員の言っている内容は「最低賃金を上げろ」、「法人税減税はするな」と言う意見で従来の共産党と変わらないのであるが、理論武装が「貧しい人を助けるため」ではなく、「国全体の経済を底上げするにはこのほうが良い」という論理展開なので説得力がある。以前私はこのブログに「法人税減税には反対だ」と書いた。その時の視点は法人税減税で得られるメリットは小さく、失った税源を補うために色々手を打つことの副作用のほうが大きい、という視点で、大門議員の意見にも共感できた。自民党内部にも同様な意見の人が結構いる。

今、日本共産党がどういう方向に向かおうとしているのかを調べるために検索してみたが日本共産党のホームページは出てこなかった。党としての公式ホームページは持っていないようである。ウィキペディアで調べてみると、民主主義革命を経て社会主義に向かうとしている。民主主義革命とは資本主義の枠内で現行憲法の全条項を守り、国民主権の政治をすることであり、最終的社会主義のイメージは明確ではない。しかし、今回の国会の議論を聞いて、できるだけイデオロギーから離れて現実の生活を豊かにするにはどうするかを考え始めたのは間違いないように思う。日本共産党の発言というと、私は頭から「雑音」と決めつけていたが、もう少し聞いてみてもよさそうだと思った。但し、最終的方向性を打ち出さない限り指示はできないと思っている。最終的形態として「北欧型資本主義」を打ち出すなら、真剣に意見を聞いてみようと思っている。

ちなみに前回「弱い」と書いた女性閣僚は5人とも弱く、5人のうちで一番問題なのが松島法務大臣、一番ましなのが高市総務大臣というのが今の私の感想である。