ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ウィトラ御用納め

2008-12-29 10:08:08 | 生活
本日はウィトラの仕事の最終日のつもりで職場に来ている。

先週水曜日以来、胃腸の調子が悪く、日曜日までほとんど仕事にならなかった。やったことと言えば年賀状を書いたくらいである。今日はやっと全快した感じなので簡単な残務整理と掃除をしにやってきた。

本来やろうと思っていたことが先週できなかったのでできれば年末年始に少しやりたいと思っているが、大掃除など新年モードに入ると意外に仕事をする気になれないのが常なのでどうなるかはわからない。

今日は自転車で来たのだが久しぶりに外に出たこともあって風が冷たかった。しかし天気はよく日が出てくると気持ちが良い。体調が違うとこうもやる気が違うのかと改めて思った。

この1年、ウィトラとして活動してきてペースはつかめてきたように思う。会社勤めをしていたころよりも1年間における活動範囲、内容の変化が大きく、私としては面白く、充実感があった。来年の計画を思案中であるが、今年ほどではないにしろ来年も活動にかなり変化をもたらすできると思う。

生命を維持するのは新陳代謝、つまり変化である。常に新しさを求めて動いていきたいと思う。

今年の論点(2)

2008-12-28 08:24:49 | 社会
昨日に続いて今年の論点の整理である。これで一応整理は終わりのつもりである。

6.年金問題について
年金は現役世代が老人を支えるのではなく、各人の長期預金と保険が組み合わさったものという位置づけにすべきてある。既にかなり認識は進んでいるが明言して国民の理解を求めるべきだろう。政府はインフレなどによる預金価値の変動リスクを抑えるようにすべきである。それで暮らしていけないようなレベルの人は社会保障の対象として考えるべきである。

7.日本の教育について
日本の初等教育(義務教育)はレベルが低い。これは教師のレベルが低いからである。これは長年教師を人事評価しないという公務員体質になじませてきたことと日教組が強かったことによる。しかし、私には適切な解決策は見つからず、親が私学に通わせるなどして自衛するしか当面は解決策はないだろう

8.日本の情報通信産業の将来
日本の情報通信産業の将来は暗い。それは大規模ソフトウェア開発で戦えないから。一方で付加価値はどんどんソフトウェアに移行している。ソフトに弱い最大の理由は国民の英語力が低いから。外国人をきちんと使いこなすノウハウも身についておらず、身につけつつあるという感じもしない。今後戦っていくなら大規模ソフトが勝負の土俵にならない分野を目指すべきであろう。

9.識者の発言
マスコミに登場する識者の発言は自分に利益誘導している場合が多い。眉に唾をつけて聞くべし。自分ならどうする、と考えてみると偽物が見えてくる

今年の論点(1)

2008-12-27 07:36:50 | 社会
クリスマスを過ぎて世の中は正月の準備に入っている。昨日で仕事納めの会社も多かったことだろう。

 私も今年1月から始めたこのブログにいろいろなことを書いてきた。ここで改めて論点を振り返ってみようと思う。ブログなので深く考えずに思いついたことを書いてしまう傾向はあるが、「良く考えたら違っていた」というように考えを変えたのはあまりないように思う。

1.資本主義経済について
世界は今、資本主義を見直すべき時期に来ていると思う。競争原理を軸に置くことは変わらないにしても、物事の価値観を整理しておくべきだろう。私は「投資を奨励し、投機を抑制する」が新しい資本主義のあるべき価値観だと思う。発達した金融技術は殆ど投機目的に利用されている。

2.日本の目指すべき社会について
日本はこれからどういう方向を目指すのか、人口減少が始まった今、活力がありどんどん発展する社会よりはヨーロッパ、それも北欧のような成熟社会を目指すべきだと思う。その際カギになるのは手厚いセーフティネットの大きな政府と競争社会を生き抜くことをいかに両立させるか、だと思う。

3.日本の政治について
今の与党である自民党のレベルは低い。しかし民主党のレベルはさらに低い。民主党には政権奪取という権力にしがみつく以外のビジョンが見えない。民主党政権になって、良くなることはあまりないと思うが悪くなるほうはどこまで悪くなるか想像がつかない。民主党が2年も政権を取ると10年のつけを支払うことになりそうである。ただし政治家のレベルが低いのは国民のせいでもある。

4.日本のマスコミについて
日本のマスコミのレベルは非常に低い。商業主義が優先しすぎている。日本の政治家や国民の意識が低いのはマスコミのレベルの低さが少なからず影響していると思う。利益のための娯楽体質でジャーナリズムがほとんど感じられない

5.日本の経済力について
今の為替は、決して円高とは言えない。この為替レートで製造業が苦しくなるのは国際競争力が弱いからである。その国際競争力の弱さは内需型産業の非効率さとそれによるコスト高が大きな原因であると思っている

京大理学部について

2008-12-26 10:47:38 | 昔話
大学4回生の就職活動について書いたが、囲碁部のほうの依然としてかかわっていた。部長職は下の学年に譲っていたが個人戦などは関西代表として出ていたし、団体戦も選手として出ていた。

私よりも上の学年は1学年数人という状態が続いていたが、私の学年は最後まで10人を超える部員がいて層が厚かった。私より1年下もあまり強い人はいなかったが人数は多かった。私より2年下はまた強いのがいた。そういう意味では囲碁部は活発な時代だったと言えるだろう。

さてここで私から見た京都大学理学部というものを語ってみたい。落ちこぼれから見た京大理学部である。 京大理学部は入るのが難しく出るのが易しい大学の典型であると思う。卒業するだけなら実に簡単にできる。

私の感触では大学教授は大学院生からが本当の教育の対象で学部生は基本を身につけてくれればよい、と考えていたようである。科目の選択も物理が好きだから物理ばかり、というのではなく、出来るだけ幅広く勉強しなさいというような指導だった。 私から見ると、大学院に入って伸びる素材を求めていて、あまり伸びそうもない人は早く卒業させてしまおうというような考えだったように思う。

従って宿題のような課題が出ることはなく、まったくの放任主義である。当然勉強しない学生もたくさん出てくる。 しかし、京大理学部の良いところは勉強しない人でも何もせずに遊んでいるような人はほとんどおらず、何かテーマを求めてそれに打ち込む、といったタイプの人が殆どだったことである。音楽や美術に打ち込んでいた人もいたし、文学部に編入していったような人もいた。多分「大学に入ったら羽根をのばして遊ぼう」などと考えている人は元々ほとんどおらず、学者の道を目指しているのだが、途中から道がそれていったというタイプが多いのだろう。

もともと理学部に入る人は社会的功名にはあまり興味がなく自分のやりたいことをしたい、というタイプが多いのでそういうことになるのだろう。授業にほとんど出ないからと言って人間的価値が下がるとは感じられなかった。

京大理学部は放任主義であるので、その分自分の進む道は自分で決めなくてはならない。その意味では「個」が確立する人が多いと思う。京大全体が「個」を大切にしている感じがあって、学閥を作ったり、京大卒業生同士で何かするということはほとんどない。慶応や東大など関東の大学は組織化して閥を作る傾向が強いようだが、京大閥というのはほとんどない。一緒に飲みに行って昔話をするくらいである。

最近、指示待ち傾向の若者が多いと言われるが、私自身を振り返っても高校を卒業するまでは先生から言われることをこなしていればよかったというイメージがある。それが自分で考えて動かないといけないというように変わったのは大学の4年間であると思う。

京大理学部は専門知識を持つ人材を量産するマシーンとしては機能していないが味のある個人を生み出す上では貢献していると思う。やはり私の好きな大学である

体調悪し

2008-12-25 15:34:22 | 生活
昨日の午後から体調が悪い。

昨日、 昼ごろになって寒気がしてきたので風邪をひいたかと思ったが、その後胃がむかむかしてきて吐いた。吐くと寒気は収まってきたが依然調子が悪い。月曜日の東海道で体が無理をしていて弱くなっていたのかな、などと考えた。

家内に迎えに来てもらって車で帰った。朝は家で食べて75分歩いて通勤したのに不思議である。家に帰ると体がだるく、布団に入ってうつらうつらしていた。そのうちに下痢もするようになった。くしゃみ、咳などの風邪の症状はなく、典型的食当たりの症状だが、朝食はキウイとバナナとヨーグルト、パンにコーヒーなので当たるようなものは考えられない。 前夜はカレーで家族皆食べたのでこれも原因とは考えにくい。どうも原因不明である。

一夜明けて今朝は、まだ食欲がなく牛乳を飲んだくらいである。何となくむかむかした感じ脱力感があるが、午前中に打ち合わせがあったので行ってきた。正露丸を飲んでいるので吐き気などは起こらなかった。 午後になって大分回復してきた。

このようなことは今月に入って2回目である。前回は12月の初めだったがやはり悪いものを食べたという思い当たることはないのに突然激しい下痢に襲われた。2-3日で回復したがその間はどうしても仕事にならない。

体のホルモンとか、酵素とかの関係でこういうことが起こるのかと思う。少し気になるところである

高校の英語の授業は英語で

2008-12-24 08:35:50 | 社会
文部省の学習指導要領の改定で高校の英語の授業は英語で行うのを原則とする。語彙数も増やす、というのが決まった。

 10年ぶりの改定で私の望んでいた方向である。一足早いクリスマスプレゼントの感じがする。しかし、2013年からの実施でまだ大分間がある。

以前、英語力の低さが日本の国際競争力の大きな妨げになっているとして、英語を使えるようにする教育をすべきだ、と書いた。韓国では始めているのだから日本でもやればよい。高校ではなく中学でもよいと思っている。

これで教職員組合がどう動くか、マスコミがどう報道するか、注目してみていきたい。以前書いたが私の予想では教職員組合は反対行動を起こし、マスコミは教職員に同情的な報道をする、結局実現しないのではないかというのだが少し流れが違うような気もする。役人は一度決めると変えようとしないので少々反対キャンペーンがあっても大丈夫な気がする。

私の予想が外れて、積極的に取り組む教員の声が前面に出てくることを願っている。そうすれば20年後には日本の競争力は上がってくるだろう

東海道を歩く(1)

2008-12-23 08:26:19 | 生活

昨日は休暇を取って以前ブログにも書いた東海道を歩いて京都まで行く計画の第1回目を行った。

第1回目は日帰りで東京から横浜までである。いずれ写真を載せたいと思うが、とりあえず今日は歩いたところを報告しておく。

朝6時半に家を出て半蔵門線の三越前へ
7時45分 日本橋の旧東海道を出発
京橋ー銀座ー築地市場
 築地市場で9時まで見学
 浜離宮の恩賜庭園に入る(300円)
  高層ビルに囲まれた広大な日本庭園
 よかった
芝の増上寺
三田ー高輪ー泉岳寺ー品川
品川ー青物横丁ー大井町
 この区間は旧東海道が保存されている
大森ー平和島
 平和島駅前で昼食
 大分疲れていたがここで回復
梅屋敷ー蒲田ー六郷
 蒲田の京急羽田線は大渋滞の原因
多摩川を渡る
川崎ー鶴見ー生麦
 このあたりで喫茶店にでも入るつもりだったが
 曇って暗くなってきて気温も下がってきたので止める
子安ー神奈川新町ー東神奈川
 東神奈川駅前で国道15号線から1号線に移る
16時過ぎに横浜駅前地下鉄であざみ野へ
 雨が降ってきた
後半は休憩なしで歩いたので疲れた。湯けむりの里へいってジャグジーで体をほぐす。平日なので空いている。
全体で30Km強(浜離宮見学等寄り道があるから)で速度としては時速4-4.5Kmと見込めば良いことがわかった。マラソンはこれより長い。マラソンランナーの偉大さを改めて感じた。

一夜明けて今朝は、昨夜のケアが効いたのかどこも痛くない。歩いて出勤してきたが快調である。この分だと泊りがけで連続して歩くのも問題なさそうである。

実は25日にメタボ検診を受けることになっており、それが今回歩いた一つの理由になっている。体重は1Kg減ったが腹囲85cmは依然として超えている


日本の産業のコスト高体質

2008-12-21 07:39:45 | 経済
昨日に続き、為替レートと日本の産業の国際競争力について考えてみたいと思う。

昨日も書いたように、私は現在の為替水準が円高過ぎるとは思っていない。対ドルに対してはアメリカへの信用不安から若干円高過ぎる状況だが、対ユーロではまだ本来の水準よりも円安で、それを金利差で食い止めている、という状況だと思っている。

全体としてはこの程度の水準が続くということだろう。 この状態が続くとすると、あのトヨタでさえ赤字転落すると言われている現在、日本の産業は崩壊してしまうのだろうか?

私は実はトヨタにはこのくらいの為替レートではびくともしないくらいの実力があると思っている。ではなぜ赤字になるのか?
トヨタはあまりにも受かるので拡大を目指し世界各国に工場を作るなどの投資をしている。この種の投資は5年間で1兆円、といった長期の投資が多い。5年計画の4年目、3年目など様々な状況のものがあり、市場が急速に冷え込んだからと言って、8割完成しているものを白紙に戻すよりは完成させてしまったほうが良いようなものもあるだろう。こういう理由で、投資に急ブレーキがかけられないのが今のトヨタの問題であり、一時的に市場が冷え込んだことは主な理由ではないと思っている。

つまり、トヨタの問題は通常の運営におけるコストの問題というよりも長期的な市場規模を見誤った投資戦略の問題だと思っている。いま、トヨタは必死になってその見直しを検討しているはずだが、来年度は再び優良企業に戻ると思っている。

しかし、大部分の日本企業、電機、化学、機械などの輸出産業はそうではないだろう。おそらくコスト競争力の問題で苦しんでおり、欧米の企業にシェアを奪われていくことになるだろう。特にドイツの企業は歴史的ユーロ高だった1年前でも「ユーロ高だからつぶれそうだ」などとは言わずに大幅な輸出超過を続けている。 この差はどこから来るのだろうか?

必ずしも日本人の労働効率がドイツ人よりも低いということではないと思っている。

一つの大きな理由は国際化の遅れだろう。日本企業は工場の製造ラインなどの単純作業では海外に進出して成功しているが、設計などの毎回違うことを行うような作業で外国人を使うことに成功している会社はほとんどない。欧米の企業は世界に人材を求めて動いており、成果を上げているのとは大きな違いだろう。

二つ目は、これは私の仮説でしかないのだが、日本の内需型の産業が欧米と比べて非効率なのではないかという点である。農業は非効率なことが知られているので農業を例にとって話すと、日本では食料品が高いので、それが製品のコスト高につながっている、という考え方である。食料品と製品のコストはかけ離れているようだが、土地、建設、運輸、各種サービス、税金、規制などすべてが高コスト体質なら全体に少なからぬ影響を与えると思う。

日本政府はこれまで、この内需型の非効率さを改善しようとせず、温存したままで、金利差をつけて為替を円安に誘導することにより輸出産業を保護してきた。それが今回崩壊した、ということではないだろうか?

公務員を含めてすべての産業に対して、欧米先進国との効率性のベンチマークを行って、見直す必要があるように思う

米国のゼロ金利政策と為替相場

2008-12-20 10:19:37 | 経済
米国がゼロ金利政策を発表し、為替相場が1ドル80円台に突入したと言ってマスコミは騒いでいる。

日銀は、これに対応する措置として金利を0.2%下げることとCPの買い取りを発表した。金利はもともと低かったのでそれほどインパクトはなく、CPに買い取りが今回の目玉だろうし、日銀関係者もそう言っている。

私もあまり詳しくないのだがCP買い取りとはリスクの高い民間の債権を日銀が買い取ることによって資金繰りを助ける仕組みだそうである。趣旨は結構なことだが、新東京銀行のようなことにならないのかと心配がある。

新東京銀行も資金繰りの苦しい中小企業に対する融資を助けることを目的として設立されたのだが、審査の甘さに付け込んで最初から返す気のない反社会的な会社が融資を申し込み、まんまと資金をだまし取るような事態が続いたために、経営悪化に陥り、増資を余儀なくされている。都民の税金がやくざに流れたようなものである。 日銀も従来行っていなかった業務に手を出すわけだから同じリスクがあると思う。新東京銀行の二の舞にならないことを祈りたい。

ところで、現在の円高だが、まずこれは円高ではなくドル安であることを強調しておきたい。ユーロは現在124-5円であり、12月初めは1ユーロは110円台だったので、その時から見ればむしろ円安に振れている。これをドルとの比較だけで見て「歴史的円高」などと騒ぎたてるマスコミのレベルの低さをまず指摘しておきたい。

対ドルでは現在、1ドルは80円台後半(ほとんど90円)であるが、私は以前書いたように、1ドル95-100円の間が相場だと思っているので円高ではあるが誤差の範囲だと思っている。対ユーロが安値に振れたことを思えばそれほど騒ぎたてることではないだろうと思う。

しかし、輸出企業はまるで潰れるかのような騒ぎだし、あの優良企業のトヨタも通年で赤字になりそうだと言っている。 金利でいえば、これでやっとアメリカと日本が対等になり、ヨーロッパはまだ金利が高いので為替の観点では、ユーロ高の圧力がかかっていることになる。ヨーロッパも同レベルの金利にすれば対ユーロでももっと円高が進むことが予想される。

そこで、円高で何が実際に問題なのかをこの際深く考えることが大切だと思う。今の問題は、
1)短期的課題:急激に円高になったので、対予算比で利益が減少し、減収減益の業績が避けられない。
2)長期的課題:円高になったので日本での活動が相対的にコスト高になり、日本企業の製品の国際競争力が下がる

の二つの側面がある。1)の短期的課題に対しては日銀の融資などで対応する必要があるだろうが、2)の国際競争力に関しては、産業構造全体の問題なので、融資などでは解決できず、国の産業の抜本的見直しが必要になるだろう。 あの、世界で最も効率の良い自動車会社であると言われていたトヨタが、世界と対等となる程度の為替水準で減収を通り越して赤字になるということは、日本企業は非常な高コスト体質であるということだろう。

なぜ、日本企業はこんなに高コストなのだろうか? 長くなってきたので今日はここで留めて、明日この問題を考えてみたいと思う

渡辺竜王、3連敗のあと4連勝で竜王位防衛

2008-12-19 09:08:44 | 生活
将棋の竜王戦で渡辺竜王に羽生名人が挑戦していたが、渡辺竜王が3連敗のあと4連勝で竜王位を防衛し、これで連続5期、永世竜王の称号を獲得した。

永世竜王が誕生したのも初めてであるし、将棋のタイトル戦で3連敗してから逆転したのも初めてである。 前回の竜王戦に関する記事で、第4局は双方残り1分の秒読みになり、形勢不明の終盤のねじりあいで渡辺竜王が体力勝ちしたような感じだったと書いたが、第7局も同じような感じだった。

双方が8時間の持ち時間を使いきり、1分以内に刺さないといけない状況になる。局面は詰みがありそうで詰まない。自分の玉も詰まないのだが駒を渡すと詰んでしまう、といったぎりぎりの局面が続き、渡辺竜王が体力勝ちした印象がある。

渡辺竜王24歳、羽生名人38歳で名人もまだまだ体力が衰えるような年齢ではないのだが、8時間の持ち時間を双方が脳をフル回転させて使いきり、1分以内に指さないといけないような状況に陥ると大変体力を消耗する。私の経験でも(もちろん持ち時間8時間などはなく45分であるが)対局終了時には顔が上気して頭から湯気が出そうに感じたものである。

このような体力勝負で名人に2回連続で勝ったというのは渡辺竜王にとっては大変な自信になるだろう。渡辺氏が竜王位を持っているとは言っても、羽生名人が将棋界の第1人者であることは皆が認めるところである。しかし、その第1人者に本当に難しい状況になれば勝てる、という感覚を持てたことで、渡辺竜王の戦い方の幅が広がってくると思われる。

もともと、渡辺竜王は昭和の大名人である大山名人に似たところがあると言われていたが、今後の渡辺竜王の戦い方には注目したい