北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射した。今回の大きな特徴はミサイル発射の情報が日本政府が作成した通知システムJ-ALERTを通じて国民に通知された点であり、多くの課題が明らかになった。
私はテレビを見ながら朝食をとっていた。午前6時2分、画面が突然変わり、アナウンサーが「北朝鮮がミサイルを発射しました」と連呼し始めた。他のチャンネルを見てもどこでも同じニュースをやっている。「これは本物だ」と思った。幸い、首都圏は警報の範囲に入っていなかったので安心したのだが、北関東以北の広い範囲が警報の対象になっていた。
アナウンサーは同じ文言を繰り返すだけで、追加の情報は来ない。6時14分、「ミサイルは北海道沖に落ちた」との追加情報が入った。
これまで、北朝鮮のミサイル発射情報は殆どが韓国メディアの情報を日本のメディアが拾い上げて報道したもので、日本のJ-ALERTシステムが主体的に情報を発信したのは初めてである。関係者にとっては初の全国規模の実施で数多くの反省点が浮かび上がったことだろう。以下、私が感じた問題点を列挙する。
・警報の範囲が広すぎる
ミサイルを撃ち落とそうとしているくらいだから軌道は相当正確に把握されているはずである。それにもかかわらず東日本全体というのはあまりにも広すぎる。J-ALERTを出せば公共交通機関が止まったりして社会的に大きな影響があるのだから、警報の範囲はできるだけ絞ったものにするべきである。あれだけ広い範囲に警報を出すようでは撃ち落とすことなど到底できそうにない、と感じさせられた。
・警報が遅すぎるし情報が少なすぎる
政府の発表によると実際に発射されたのは5時58分だそうである。警報を出したのが6時2分、遅すぎると思う。次の情報は6時14分、北海道の先に落ちたという情報だった。これは初めての本番なので「警報を出す」という判断に時間がかかったものだと思っている。ミサイルの場合には刻々と飛行経路が明らかになってくる。一度の警報で終わらせるのではなく、1分毎くらいに次々と対象地域を絞った情報を出して警報解除を早くすることを心がけるべきである
・報道は貧弱
殆どのテレビ局が、J-ALERTの画面を出して同じ文言を繰り返すだけだった。一番悪いのがNHKで民放は途中から付加情報を入れようとしていた。これはNHKでは現場のキャスターに権限が与えられておらず、現場の判断では何もできないからだろうと思っている。民放のほうが縛りが緩いのだろうと思っている。
・ケータイは鳴らなかった
本来ならJ-ALERTは携帯電話にも通知されるはずである。しかし私のケータイ(AU)には警報は入らなかった。
北朝鮮は、グアム方面に打ち込むとアメリカが強く反応する可能性があるので北海道沖を狙ったものと思われる。次は岩手県上空、その次は福島県上空、と徐々に南下させていくものと思われる。どこまで南下すればアメリカが強く反発するか、またアメリカとの駆け引きがあるだろう。その対応も必要だが、同時にJ-ALERTの通知方法も急速に改善してほしいものだと思っている。