日本の6月の完全失業率が3.9%になったと報じられている。3%台は2008年10月以来で、久しぶりとのことである。アメリカは10%を切ったと言って喜んでいるし、ヨーロッパはEU全体では12.2%、最も景気の良いドイツでも5.3%である。アベノミクスで景気が回復しているとは言っても日本がドイツよりも景気が良いと言えるだろうか、あるいは株価の動向ではアメリカのほうがはるかにしっかりしているのに、アメリカよりもはるかに低い失業率は本当だろうか、という疑問を持つ。
ドイツの場合には、ユーロ圏内からドイツに職を求める人が急増しているので、ドイツ人の求職が圧迫されているということはありそうである。それにしても日本の失業率は随分低い。これは定義に違いがあるのではないかと思い調べてみた。基本的には各国はILOの定義に従って失業率を計算しているので大きな違いは無い。ただ細かい点(細かくないかもしれない)で違いがあり、日本は過去1週間以内に求職活動をしたが職を見つけていない人を失業者と定めており、しかも就職先をあっせんしてもらって回答待ちの人は失業者にカウントされない。殆どの国はこの期間が過去4週間以内となっている。この違いは大きいと思う。日本は国際比較でかなり失業率が低いように見せているのではないか、と思う。
国際比較は別として、日本国内での失業率の定義は変わっていないので国内で失業率が減っているということは就職者が増えているということであり、実際求人は増えているらしい。私はアベノミクスの第2の矢による公共工事で工事労働者需要が高まっているのかと思ったが、むしろ飲食系のアルバイトなどの需要が高まり、女性の失業者が減っているらしい。これは民間の活力が上がっている証拠で良い傾向だと思う。但し、就業者数は1万人減っているらしい。
国の活力を見るにはむしろ就業率が重要なのだと思う。就業者には国籍は別の国の出稼ぎ労働者も入る。ドイツのように外国人労働者が多い国では、就業者数が国の労働人口を上回ることがあるかもしれない。サウジアラビアなどではそういうことが起こっていそうである。失業率だけを取り上げるのではなく、就業率も併せて発表してもらうと、国の中で何が起こっているのかが分かりやすくなると思う。