昨日の日経平均株価のチャートを見ていると不思議な動き方をしている。朝から小動きで来ていたのが取引終了の直前になって大きく下げた。100円近い下げ幅である。同時に円は円高に振れた。この動きは日銀が11兆円の金融緩和を発表した直後である。どうしてこんなことが起こるのだろうか?
一般的には、金融緩和が発表されると株価は上がり、円は安くなるはずである。日銀は政府と共同歩調を取って1%のインフレターゲット実現を目指すと言っている。それが昨日は全く逆の方向に動いている。投資家が11兆円の金融緩和では不足と考えたのだろうか? しかし、金融緩和をしても借り手がいなければお金がだぶつくだけである。そして資金需要はそれほど強くないとも言っている。それなのに無理をして金融緩和を行った。しかし、市場は逆の反応を示した。どうも理由が理解できない。
私の解釈はこうである。ここしばらく円安と株高が続いた。それ自体が投機筋の動きで、特に根拠のあるものでは無かった。そろそろ日本株も上がるという気分を演出して、彼らは日本株で言えば売りに出るチャンスをうかがっていた。そこへ日銀の発表があった。市場に大きなインパクトを与えるものではないと考えた一部の投機筋が売りに出た。大部分はその売りに反応したろうばい売りで、本来こんなに大きく動くはずではなかったのが大きく動いた。台風でニューヨーク市場が動いていなかったことも関係しているかもしれない。
「マーケットの意思は政府に賛成していない」等という言い方が良くされるが、長期的な動きはそうなのだろうが、短期的にはこういう思惑で動く面が大きいのではないかと思っている。政府もこういった動きに惑わされること無く長期的トレンドを見てほしいものだと思っている。