財政難に陥っていたギリシャ政府がEUに財政改革案を提出し4ヶ月間の財政支援が決まった。当初は「我々はドイツの子分では無い」等と言って破綻した引き締めを行っていた財政の引き締めを止めると公約して「ギリシャを破たんさせたらそちらにも損ですよ」などといって交渉していたのだが、受け入れられる見込みが無く、
・富裕層の税率をあげる
・脱税を厳しく取り締まる
・貧困層へのサポートは継続
という改革案を提示して受け入れられたものである。社会主義的性格を大幅に強めるという政策と言える。EUとしては緊縮財政でなくとも財政立て直しの努力をする方向性が見えたとのことでサポート継続に舵を切ったのだろう。この方策は、今話題のピケティの富の再分配の方向性であり、ヨーロッパにとっても実験台になるだろう。
この辺りまではギリシャのチプラス首相も想定していたと思うが、本気で財政を建てなおす気があるかどうかは怪しいものだと私は思っている。増税の対象となる富裕層は殆どの資産を既にギリシャ国外に移しているだろうし、脱税がどの程度見つかる化は不透明だと思う。ギリシャには観光以外には殆ど産業が無いので収入が増える道は見込みが薄く、おそらく効果は出ないと予想している。
4カ月後には支出は増えているが収入は増えておらず状況は悪化して再び危機が訪れるだろう。チプラス首相は「努力はしているのだが、そんなに急に収入が増える訳がない」と言って再び延長を依頼し、成功するだろう。その次あたりが本当の危機で欧州各国はその間のギリシャ政府のやり方を見ていて、本当に援助を打ち切るかもしれない、と私は思っている。
うまく行く訳がない経済政策にずるずる援助を続けると、その様子をEU各国は見ており、「ごね得」とわかればスペイン、ポルトガル、イタリア当たりの選挙でシリザと似たような政党が躍進し、EUは崩壊に向かうだろう。チプラス首相が本気で財政改革に取り組んで、格差対策の成果を見ることができればよいのだが・・