ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

引っ越し

2020-03-12 17:45:13 | 生活

最近、GooからGoogle Bloggerへの引っ越しを考えています。

試しに2度ほどBloggerのほうで出してみました。

なぜかこのブログでURLを書けません。

witla.private

でGoolge検索してください。


コロナウィルス対応に感じる世界の分断

2020-02-15 17:27:25 | 社会

コロナウィルスは具体的に日本国内でも感染拡大の段階になった。もはや、水際作戦は継続したほうが良いのだろうが、それで感染拡大を防げると考える人はもはや居ないだろう。医療関係者も必死の努力をしていることだろうが、日本国内の感染拡大はもはや避けられないだろう。

私が日本の体制で最も気にしているのは検査能力の低さである。クルーズ船内ではどんどん感染が拡大しているにも関わらず、検査はまだ1000人にも達していない。これは検査能力が不足しているからに違いない、と思う。検査しなければコロナウィルス感染者かどうかは分からないので、実際に感染者がいても認定はされず、その人は普通の生活をしてウィルスを広めてしまう。これを防ぐためにインフルエンザ患者全員を隔離するような方法を取れば社会全体がマヒするだろう。中国では既にそういう状態になっていると思う。

対応として問題だと私が感じているのは、各国政府が独自の対応をして、「自国民への感染を防ぐ」という自国至上主義になっており、世界全体の感染防止というスタンスになっていない点である。私はこれはトランプ政権がいち早くこの方向に動き、安倍総理がそれに追随したために、世界全体がこのような流れになった、と思っている。本来は「世界が協力してパンデミックを防ぐ」という方向に動くべきである。私はWHOにそのような動きを期待したが期待外れだった。

現在、中国では毎日数千人の感染者が発見されている。おそらく一日に数万人の検査をして数千人が感染している、という状況だろう。日本と比べれば100倍程度の検査能力があると考えられる。これをどうやっているのか、情報交換しているのだろうか? このような問題は世界全体が緊密に情報交換して一体として感染の広がりを防ぐべきであるのに、各国政府は「自国民を護る」というパフォーマンスをしているのではないか、と疑いたくなる。

日本のテレビでは毎日のように高名な医師を呼んで対応方法を聞いているが、「発熱して咳が出たらどうしたらよいのですか?」という質問に対する医師の歯切れは皆良くない。インフルエンザ患者が皆、「自分はコロナウィルスではないか」と言われても対応できないことは分かり切っている。その一方で「風邪の症状くらいなら自宅待機しなさい」とも医師の立場としては言えない。歯切れが悪いのは仕方がないかと私は思っている。

国民の立場で考えると、特別に中国と深い接触がない限り、まだしばらくは検査をしてもらえないのだから、風邪の症状が出たら「病院に行くかどうかの判断は普段と同じようにする」しかないだろう。普段でも熱が出たらすぐに病院に行くわけではない(子供は別として)。様子を見て「重そうだと思ったら病院へ行く」というのが普通の判断だろう。病院へ行って帰って移されるリスクもあるので、病院へ行けば良いというものでもない。その上で「今年の風邪は重症化しやすい」と考えて、普段以上に風邪をひかないように注意するしかないだろうと思う。

現在の状況だと、日本も中国のようになる可能性は否定できないと思う。まず、検査能力の大花拡大を望みたい。


尿意の不思議

2020-02-11 10:30:15 | 生活

まだ風は冷たいが、空は春の色になり、梅も開花した。春は確実に近づいていると感じられる。今朝も2時間半ほど歩いてきたのだが、歩き始めは冷たいが、日が当たると暖かく、坂を上ると汗ばんでくる。その汗が風で冷えると急激に尿意が高まり、30分はとても我慢できない。

私は毎日朝食時にコーヒーを2杯飲むので、寒い時期はほぼ毎回、散歩の途中でトイレに入る。大きな店舗にはたいていトイレがあるが朝はまだ空いていない。それで、歩きながら公衆トイレの場所を確認するようになった。殆どは駅か公園にある。

公園の公衆トイレを探していると、団地の公園には殆ど無く、団地に接するかなり大きな公園に行かないとトイレは無い。一方、一戸建ての住宅地の地域では比較的小さな公園にも公衆トイレがある。理由を考えたのだが、団地の公園は団地の敷地の一部になっており「、団地の管理組合が管理しているのに対して、一戸建て地域の公園は市が管理しているからではないかと思い当たった。公衆トイレは維持費用が掛かるので管理組合では作れないのだろうと想像している。

ある程度は意識していても、尿意を催してなかなかトイレのある場所にはたどり着けないこともある。それで、我慢してやっと家にたどり着き玄関のかぎを開けてトイレに飛び込む、ということを何度か繰り返すと、比較的簡単に条件反射に陥るようになることに気が付いた。条件反射になると、それまで何も感じていなくても鍵を開けようとすると急激に尿意が高まってくる。慌ててトイレに飛び込むのだがそれほど溜まっているわけではない。この条件反射は簡単に身に付くようで、4-5回同じようにトイレに飛び込む経験をすると条件反射になる。高齢者ですぐトイレに行きたがる人がいるが、この条件反射なのではないかと思う。

私も1年前の冬はこの条件反射が身について困っていた。夏の間は汗をかくので、むしろ水分不足になり、条件反射も消える。そこでこの冬はできるだけ尿意を我慢せずに、少し尿意を感じたら早めにトイレに入るようにしていたら、条件反射にはなっていない。尿意は条件反射で感じやすい、ということを知っていれば、介護の場でも少しは役に立つのではないかと感じている。

話は違うが私は昨日から、朝歩くときにマスクをしている。コロナウィルス対策ではなく、花粉症対策である。私の花粉症はそれほど重くはなく、例年はもっと遅くからマスクをするのだが、今年はコロナウィルスが広がりそうなので、できるだけ風邪に似た症状を避けたいと思っているからである。マスク不足が言われているが、我が家には結構買い置きがあったので大丈夫そうである。花粉症対策のマスクは一回で使い捨てにする必要は無い。


中国初の新型コロナウィルスへの対応に感じる違和感

2020-02-01 16:18:27 | 社会

私のような医療関係者でもないものが、このテーマについて書くことにためらいを感じているのだがどうも気になるので私の感じていることを書いておきたい。

中国初の新型コロナウィルスはまだ対応方法などは見つかってはいないものの、性質はかなり分かってきたと思う。それはSARSやMARSよりも致死率はかなり低いものの、感染力はかなり強そうだということである。従来のコロナウィルスとインフルエンザの中間くらいの性質だと言えるだろう。

私が気になっているのは政府が水際対策で日本への患者の侵入を抑えようと躍起になっていると感じる点である。私の感覚では水際対策は既に失敗している、と思われる。それは観光客のバス運転手やガイドの女性から陽性反応が見つかったことから言えるだろう。洪水を防ごうとして土嚢を積んでいるが、既に堤防の一部に穴が開いている。堤防の補修を続けることも重要だが、避難を呼びかけると言った次の段階の対策を考えるべき時期に来ていると感じる。具体的には武漢との関係が分からない人でも新幡ウィルスの関係があるかもしれないと検査をする体制を作るべきだと思う。

もう一つの気がかりな点は、国家エゴが前面に出ていると感じる点である。安倍総理は国会で「湖南省からの中国人の入国を拒否する」、というような発言をしてしている。しかし、本来の姿はWHOが対応ししようとしているように、国籍には関係なくウィルスの広がりを抑えるように動くことだろう。アメリカが露骨に自国人だけを保護する態度を示しており、それが他の国に影響を与えているように感じている。

仮に中国人で検査で陽性の人が見つかれば、追い返すのではなく、その人を入院させて治療するのが筋だろう。中国政府も湖北省の中国人の国外への移動は抑えようとしている。それでも来る人はそれなりの理由があるのだろう。検査をして問題ないと分かれば受け入れる、このあたりの基準は両政府間で話し合うというのが筋だと思う。

湖北省の日本人帰国のために特別機を飛ばすことが悪いとは言わない。しかし、「世界全体で協力して感染の広がりを抑えよう」という姿勢が感じられないのは寂しい感じがする。


旧小机領三十三所観音霊場の子年御開帳

2020-01-19 14:56:35 | 生活

今年、私の住んでいる鶴見川流域で「旧小机領三十三所観音霊場の子年御開帳」が行われる。12年に1度、4月1日から5月6日まで、普段は見せていない資料の御開帳となる。私が会社を辞めて個人事業主となったのが2007年だったが、その翌年の2008年が子年(ねどし)でその時も御開帳をやっていたのだがその時には特に見て回るようなことはしなかった。今年は見て回ろうと思っており、この「旧小机領三十三所観音霊場の子年御開帳」について調べてみた。

まず、「小机領」であるがこれは戦国時代(室町末期)に北条氏が小机城を築いてこのあたりを統治し始めたのが始まりである。その後、色々と変遷はあったが江戸時代まで「小机領」は続いており、実際に三十三所観音霊場が開設されたのは徳川吉宗の時代だそうである。その頃の小机領は

  • 小机領 - 黒須田村、万福寺村、古沢村、黒川村、栗木村、伍力田(ごりきだ)村、片平村、上麻生村、下麻生村、王禅寺村、上谷本村、下谷本村、上菅田村、寺山村、鴨居村、川和村、荏田村、勝田(かちだ)村、大棚村、上鉄(かみくろがね)村、下鉄村、石川村、早野村、新井新田

と記されている。現在でも使われている地名が多いので、だいたいどのあたりか想像がつくと思う。当時、西国三十三観音霊場は既に設定されていたが、当時の住民が西国巡りをすることは容易ではなかったために、当時の住職が集まって幕府に霊場開設の嘆願書を出し、享保17年(1732年)に小机領三十三所観音霊場が開創された。その24年後に各寺院が12年ごとの子年に一斉に御開帳をすることを決定し、大きな賑わいとなっている。

三十三寺は宗派は様々であるが、いずれも観音像をご本尊としている。一番遠いところで相鉄線の西谷あたりなので全てを回ることは十分に可能だろうと思っている。


大相撲、照ノ富士の復活に期待

2020-01-16 17:24:25 | 生活

大相撲の初場所が始まった。今場所は横綱の調子が悪く、二人とも休場してしまった。これまでも横綱の休場は多かったのだが、休場明けで出てきたときにはさすがの相撲を見せており、大関とは違いが明らかである。

しかし、今場所の白鵬―遠藤戦などは白鵬の調子が悪かったというより遠藤が強かった、という印象が強い。誰が勝つか分からない状況が続いており、楽しみでもある。私は白鵬ファンなのだが、さすがの白鵬も力が落ちてきており、今年中に引退ではないかと感じている。

色々な若手が出てくる中で、私が最も注目しているのは十両の一番下にいる照ノ富士である。かつては大関で、それも横綱の風格が出てきたと私は思っていたのだが、ひざを痛めて、内臓も悪かったらしく、どんどん番付を落としていった。十両より下に行くと、一場所7番しか戦わないのでがそれでも休場が続く。報道も全くされない下のほうに落ちて行ったのだが、私はネットで時々成績を調べていた。昨年の春あたりから勝ち始め、毎回6勝1敗くらいの成績で上がってきて、先場所は7戦全勝で幕下優勝して十両に上がってきた。今場所もここまで十両で5連勝している。テレビで見るとまだ膝に厚いサポータをまいているが、相撲自体は戻ってきているようである。今後を楽しみにしている。

幕内では、遠藤の強さが目立っているが、私が注目しているのは幕内で下のほうにいる照強に注目している。この人はまだ優勝するほどの強さは無いが、見かけよりはかなり強いと思っている。名前から分かるように照ノ富士と同じ部屋である。二人の属する伊勢ケ浜部屋が良いのかと思っている。


民主主義の危機

2020-01-15 11:00:38 | 社会

2020年の最大のイベントは何と言ってもアメリカの大統領選挙だろう。私はここに民主主義の危機を感じている。民主主義を「民を主と考える政治信条」と捉えるならばこれは普遍性、持続性のある考え方だと思っているが、殆どの人は民主主義を「普通選挙によって国のリーダを選ぶ国の仕組み」と捉えていると私は理解しており、以下本文ではこの意味で「民主主義」を使用する。

私はここで「民主主義の危機」とは「選挙によって適切な人物が選択されない」ことを言っている。どんな体制でも常に適切な人物が選択されるように保証することは難しい。しかし、民主主義は他の政治制度よりも不適切な人物が選択される可能性は高いと思っている。特に近年は、いわゆる「ポピュリズム」が台頭してきており、そのような例が増えている。

民主主義は最初から不適切な人物が選択される可能性も考慮に入れて、三権分立などの権力者の力を抑える仕組みを導入している。しかし、不適切な人物が権力を握った場合、強い人物はそのような安全装置を壊そうとする。

米国の大統領の弾劾などは安全装置の一つであり、現在その弾劾審査が下院で可決され、上院で行われようとしているが、少なくとも日本のメディアなどは「大統領の行動は弾劾に値するか」は殆ど報道せずに「上院は共和党が強いので弾劾は成立しない。民主党は失敗した」というような報道ばかりである。これは米国大統領が一つの安全装置を壊したことを日本のメディアも追認していると私は感じている。

トランプ大統領が再選された場合、2期目では個人の経済的利益目的に動く可能性がかなり高いと私は感じている。これは何らかの形で暴露される可能性が高く、トランプ氏は「権力の座を降りた習慣に逮捕される」という立場に立たされる可能性も高い。そのような場合、殆どの権力者は自己防衛のために国の制度を変えようとする。これは自己目的で国の仕組みを壊すことで、例えば「大統領が3期以上務められる」ことを制度化しようとすることである。国民の怒りを外部に向けるために、意図的に他国との摩擦を起こすこともあるだろう。

米国では権力者のこのような行動に対して様々な安全装置を用意していたのだがトランプ氏はこれまでの様々なタブーを破っており、国民はそれに驚かなくなってきている。この「慣れ」は重大な結果につながる可能性が高いと私は思っている。今年の大統領選挙はその意味で極めて重要だと思うが、どうもトランプ氏が勝ちそうなので、私の懸念は実現する可能性が高まると心配している。


ゴーン氏の逃亡で感じたこと

2020-01-12 15:49:22 | 社会

年明け早々、元日産社長のゴーン氏がレバノンに逃亡したというニュースが流れ、本人の説明会やインタビューなども報道されているが、私の感じ方は他の人と少し違うと思うので書いてみる。

メディアの報道は「ゴーンは悪い」一色だが、私は日本の検察や報道にも違和感を感じている部分がある。ゴーン氏が悪くないというつもりは無く、彼が脱税その他をしていたのはおそらく間違いのないところだろう。私が問題に感じているのは日産の不正がほとんど語られず、全ての責任をゴーン氏に押し付けていると感じられる点である。

ゴーン氏のどれだけの報酬を払うかは日産という企業が決めることで、その決めた金額と政府への報告の間にが齟齬があった。金額的にはこの点に関わる部分が大きいと認識している。そしてこれは日産の犯罪である。日産内部での決め方に関して、問題があったことは事実だろうが日産として承認しているものなら、本来的には日産が責められるべきだと私は感じている。ゴーン氏への不成な報酬には会社をだました、背任行為の部分と、会社に承認させた部分とがあるはずである。承認したものに関しては取締役全員に責任があるし、監査の不適切さもあるだろう。

日産の不適切さに関しては「司法取引」という側面もあるだろう。しかし、それならその点を明らかにするべきだと思う。

報道はゴーン氏一人がこの事件を引き起こしたように言われている。ゴーン氏の発言もこの点には触れておらず、「クーデター」だとか「有罪率99&以上」とかいう説得力のないものになっている。ゴーン氏からすると「自分は一切悪くない」というためにあのような言い方をしたのかもしれないが、それには無理があり、「自分も悪かった」と認めないと、説得力のない逃げ口上にしか受け取られないと私は感じている。

日本で司法取引の歴史は浅く、問題を含んでいることもあるだろう。私は司法取引によって日本の司法が恣意的に動かされるリスクを感じている。


新年に考えたこと

2020-01-10 17:27:28 | 生活

新年を迎えて、本来ならば「おめでとうございます」なのだが、私にとってはそうでもない事情がある。

実は1月6日に妻の母が他界した。昨日、ごく内輪で葬儀を終えたところである。90歳なので天寿を全うしたと言えるだろう。

これで私も妻も両親を亡くしたことになり、自分のことを考えるようになった。私自身はまだ健康で10年くらいは元気でいられると思っているが、そろそろ自分の終活を考え始めても良いか、という気分になっている。まだ時間はたっぷりあるので、急いで何かをすることは考えていないが、「自分もさんな年齢になったのだな」という感慨は感じている。

ここしばらくブログを更新していなかったのは、ちょっと仕事が忙しかったからで、イラク問題をはじめとして世間の問題にはまだまだ思うところがあり、メディアで言われているのとは異なった視点でモノを見ている点も少なくないので折に触れて発信していきたいと考えている。

今年もよろしくお願いします。


若者が高い能力を存分に発揮するには 第5回 個人の取れる行動

2019-10-28 10:32:35 | 社会

今回は、若者が経済の中心になる時代に個人の取るべき行動について考えてみる。トップ人材の若返りの話題は今回で打ち止めにするつもりである。

企業の幹部は前回書いたような企業を若返らせて競争力を高める行動が必要だが、一般会社員は自分の将来を考えてどういう行動をとるかを考えることになる。世の中はそんなに急には変わらないだろうから、現在、50歳以上の人は今から新しい人生設計をするよりも、今見えているモデルをどう微調整するかを考えることになるだろう。40歳くらいの人は、終身雇用制が崩れることを意識するべきだと思う。

政府は定年を延長する方向だが、個人で見ると収入がピークとなる年齢が下がってくる。現在、55歳くらいが収入のピークなのが50歳になり、45歳になり、と若返る。つまり早い段階から年収が減り始める、ということが起こると私は思っている。日本企業は能力や業績を評価して給与を下げる、というようなことが苦手なので、一定年齢になると自動的に給与を下げる、というような逆年功序列制を取る企業が増えるものと思われる。HuaweiやSamsungはそのような体制になっているようである。

そこで「どこまで現在勤務している企業に付いて行くか」は40歳くらいの人は考えておく必要があるだろう。20歳くらいの人は自分のキャリア設計をどうするかについて親の世代とはかなり異なる考え方をする必要が出てくると思う。

今年の夏、囲碁プロ棋士の坂井秀至八段(46歳)が、9月から無期限休業すると宣言した。坂井氏は京都大学の医学部を出て医師免許取得後に、囲碁のプロ棋士になった人で、今後、囲碁棋士としての活躍の場は減る一方だと考え、医師としてのキャリアを目指すという。大学を卒業してからプロ棋士になった人はかなりの人数いるが、坂井氏はその中では最も囲碁棋士として強い棋士になった。プロの囲碁棋士で坂井氏ほどの実績を上げた人が囲碁棋士を止めて別の道を目指すというのははじめてだと思う。他の棋士は勝てなくなっても囲碁の指導や普及と言った囲碁に関わることで生計を立て続けている。

棋士としてのピークの年齢が若くなると今後は坂井氏のようなキャリアを歩む人が増えてくるのではないかと思う。9月15日の記事で、現在の日本の棋士のベスト3は井山、一力、芝野の3氏だと書いたが、私は一力氏は坂井氏のようなキャリアを歩む可能性があると思っている。井山氏と芝野氏は囲碁一筋、という感じだが、一力氏はプロ棋士になった後で早稲田大学に進学しており、現在もまだ大学生である。中国のトップ棋士も彼らの中から実業界で活躍するような人が出てくるのではないかと思っている。

今回の一連の記事はトップになる人材について書いたものである。どんな分野でもトップになれるのはごく一部の人なので、目指したけれども途中であきらめる人が普通である。20代歳である分野のトップを目指したとしても大部分の人は成功せずに別の道で生きる必要が出てくる。その意味で新しいことにチャレンジする気持ちをいくつになっても失わないことが非常に重要になるだろう。

個人の哲学で最初から企業のトップを目指さないで特定分野のエキスパートを目指す人も多いだろう。但し、どの分野がAIに負けずに長持ちするかは良く考えておく必要がある。巷で言われている「単純労働はAIに負けるが、複雑な仕事は負けない」は間違っていると私は考えている。

現在の社長の談話などで「経営者を目指してはいなかったのだが、頑張っているうちに気が付いたらトップになっていた」というような話が時々出るが、このような事例は今後激減するだろうと思う。