シャープの株に昨日注文が殺到し、ストップ高になった。何が理由かというと台湾の製造請け負いメーカであるホンハイ精密工業の出資を受け入れてホンハイが筆頭株主になる、という発表を受けてである。しかしホンハイの子会社になるわけではなく、ホンハイは10%の株式を所有するだけである。
なぜこれでこんなに株が上がるのだろうか?
ホンハイは一般人には知名度は低いが業界では極めて通名名会社でAppleのiPhoneやiPADをはじめとしてソニーやモトローラ、ノキアといった先進国の有名ブランドの製品をパソコンから携帯電話まで受託生産している受託生産の分野では群を抜くトップ企業である。台湾には半導体のTSMCというこれは半導体チップを受託生産する半導体の受託生産では断トツの企業があるが、自社ブランドではないけれど世界の中枢を握っているような企業がある。
今回のシャープとの提携は、シャープ本体に10%出資するということよりは、シャープの子会社で堺市の強大な液晶工場を持つ、シャープディスプレイプロダクトに46%出資するという合意が大きいのだろう。それを認めるために条件として資金繰りの苦しいシャープが本体にも出資を求めたというところではないだろうか。
シャープの堺市の液晶工場は大画面液晶の大量生産のために巨大な投資をして作ったもののテレビ市況が冷え込んでシャープの業績悪化の大きな要因になっていたのだが、ホンハイが入ってくればうまく行くものなのだろうか。今後はホンハイが大きな出荷先になるだろうと予測して、Apple TVを狙っているのではないかという観測記事が今日は出ている。
それにしても、子会社に出資を受けたことでストップ高になるという話は初めてである。この契約の成否はまだ分からないが、投資家は堺工場がうまく回り始めればまだまだシャープに力はある、と見ている証拠だろう。
これまで虎の子と言っていた液晶の工場に出資を受けることで資金を調達して挽回をはかる、経営者の大胆な発想は業績が悪化している他の電機系企業も参考にすべきだろう。