ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

G7をみれば、世界の流れが大きく変わっていることがわかる

2018-06-11 09:27:10 | 社会

メディアは米朝首脳会談の話題で持ちきりだが、私はこの週末のG7の結末のほうがむしろ影響は大きいと考えている。既に報じられたようにアメリカの関税を巡ってG7はアメリカ対その他6か国という対立構図になった。しかもトランプ大統領は自分で署名した共同宣言を「撤回する」という無礼な行動に出ている。以前、安倍総理が言っていたようにG7は価値観を共有する主要国の集まりでかなりの部分本音で話ができる場だったのだが、アメリカがこれをぶち壊した。今後、G7は意味がなくなり、残りのG6がどうするかを話し合うことになるだろう。

並行して中国で青島SCO(上海協力機構)が開催されている。これはもともと中国とロシアが国境問題で安定的な管理を行うために始めたもので旧ソ連のカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、タジキスタンが加わっている。これに最近インドとパキスタンが加わり、今年はイランもオブザーバーとして加わっている。議題は国境管理の問題から拡大してG7に対する対抗勢力のように北朝鮮問題(これは元々の議題に入っていた内容)、貿易問題なども議論するようになってきている。更にASEANなども取り込もうとしているようである。現在のG7に混乱を見て、「保護主義に反対する」という青島宣言を出している。

私はこのSCOへのインド、パキスタンの加盟を重要視している。インドは中国と継続的に国境紛争を行っているが、この4月に習近平ーモディ会談で国境問題を棚上げにするという合意をしており、アジアというかユーラシア大陸でまとまっていこうという方向性が見えている。インドは近い将来GDP世界3位になることが確実視されており、インドと中国がうまく協力すれば(今でも活発に貿易は行っているが)、大きなインパクトを生みことになるだろう。私は遠からずヨーロッパはSCOに接近していくとみている。

中国、インド、パキスタン、ロシアは互いに紛争を抱えており、これまでのG7のように「価値観を共有して世界を動かしていこう」というよりは、「自国の権益を確保しつつ世界の中で共同することで存在感を高める」という緊張感の高い交渉をやっていくと思うが、G20の中での発言権はG7よりもSCOの結論の影響が大きくなっていくだろう。

問題は日本の立ち位置である。日本はG6の中では最もアメリカ寄りである。おそらくSCOへの接触もヨーロッパが動いてからということになるだろう。それは仕方がないとして、私は安倍総理の言う「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を気にしている。これは中国の南シナ海へに進出に対抗してアメリカ・日本・インドで中国包囲網を作ろうという考えで、安倍総理がアメリカに提案したものだと理解しているがアメリカにはそれほど腰が入っておらず、インドもアメリカの態度を見てそれほど本気ではない。インドは、現状は全方位外交だが、SCOの動きにみられるようにむしろ中国に接近しようとしている。日本は今年の骨太の方針にも「自由で開かれたインド・太平洋戦略」は出ているが、これを言いすぎるとアジアで孤立するのではないかと感じている。

中国、ロシアから見ても日本はトランプ政権に不満を持っていると見えており、当面は仲間に引き込もうと声をかけてくるだろうが、1年後はどうなっているか分からない。私は日本はアメリカではなくヨーロッパと歩調を合わせるべきだと考えているが、はたしてどうなるか、安倍外交に不安を感じている。

 


G7をみれば、世界の流れが大きく変わっていることがわかる

2018-06-11 08:32:53 | 社会

メディアは米朝首脳会談の話題で持ちきりだが、私はこの週末のG7の結末のほうがむしろ影響は大きいと考えている。既に報じられたようにアメリカの関税を巡ってG7はアメリカ対その他6か国という対立構図になった。しかもトランプ大統領は自分で署名した共同宣言を「撤回する」という無礼な行動に出ている。以前、安倍総理が言っていたようにG7は価値観を共有する主要国の集まりでかなりの部分本音で話ができる場だったのだが、アメリカがこれをぶち壊した。今後、G7は意味がなくなり、残りのG6がどうするかを話し合うことになるだろう。

並行して中国で青島SCO(上海協力機構)が開催されている。これはもともと中国とロシアが国境問題で安定的な管理を行うために始めたもので旧ソ連のカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、タジキスタンが加わっている。これに最近インドとパキスタンが加わり、今年はイランもオブザーバーとして加わっている。議題は国境管理の問題から拡大してG7に対する対抗勢力のように北朝鮮問題(これは元々の議題に入っていた内容)、貿易問題なども議論するようになってきている。更にASEANなども取り込もうとしているようである。現在のG7に混乱を見て、「保護主義に反対する」という青島宣言を出している。

私はこのSCOへのインド、パキスタンの加盟を重要視している。インドは中国と継続的に国境紛争を行っているが、この4月に習近平ーモディ会談で国境問題を棚上げにするという合意をしており、アジアというかユーラシア大陸でまとまっていこうという方向性が見えている。インドは近い将来GDP世界3位になることが確実視されており、インドと中国がうまく協力すれば(今でも活発に貿易は行っているが)、大きなインパクトを生みことになるだろう。私は遠からずヨーロッパはSCOに接近していくとみている。

中国、インド、パキスタン、ロシアは互いに紛争を抱えており、これまでのG7のように「価値観を共有して世界を動かしていこう」というよりは、「自国の権益を確保しつつ世界の中で共同することで存在感を高める」という緊張感の高い交渉をやっていくと思うが、G20の中での発言権はG7よりもSCOの結論の影響が大きくなっていくだろう。

問題は日本の立ち位置である。日本はG6の中では最もアメリカ寄りである。おそらくSCOへの接触もヨーロッパが動いてからということになるだろう。それは仕方がないとして、私は安倍総理の言う「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を気にしている。これは中国の南シナ海へに進出に対抗してアメリカ・日本・インドで中国包囲網を作ろうという考えで、安倍総理がアメリカに提案したものだと理解しているがアメリカにはそれほど腰が入っておらず、インドもアメリカの態度を見てそれほど本気ではない。インドは、現状は全方位外交だが、SCOの動きにみられるようにむしろ中国に接近しようとしている。日本は今年の骨太の方針にも「自由で開かれたインド・太平洋戦略」は出ているが、これを言いすぎるとアジアで孤立するのではないかと感じている。

中国、ロシアから見ても日本はトランプ政権に不満を持っていると見えており、当面は仲間に引き込もうと声をかけてくるだろうが、1年後はどうなっているか分からない。私は日本はアメリカではなくヨーロッパと歩調を合わせるべきだと考えているが、はたしてどうなるか、安倍外交に不安を感じている。

 


卓球荻村杯ジャパンオープン、男女とも日本勢が中国勢を抑えて優勝

2018-06-10 18:21:30 | 生活

卓球のジャパンオープンで男子は張本智和、女子は伊藤美誠が共に決勝で中国選手を破って優勝した。特に男子の張本は準々決勝で第1人者の馬龍に勝っており、堂々たる優勝である。決勝は中国の張継科とで、私はこの試合をテレビで見ていたのだが、フルゲームの最終ゲームはジュースという大激戦だった。

張本は既に世界戦での優勝経験もあり、それほど驚くことではないのだが、これまでは中国勢に勝っても「運良く勝った」という印象があったのだが、今日の試合は全く実力伯仲という感じだった。調子は二人ともそれほど良くなかったと思う。特に張本はゲームの序盤で勝負に出て強打した球でミスが続き、ゲームを落としたのだが、そこで作戦を変えて無理に攻撃せずにつなぎに出たのが印象的だった。相手の方が強いと思うと、チャンスボールが来ると思い切り打って決めたくなるものだが、つないで攻撃されても戦える自信があるものと見た。最後は調子も戻ってきて最終盤は張本の思い切りの良さが勝負を決めた印象だった。

女子は伊藤美誠が王曼昱(世界ランキング3位)に勝った。伊藤は世界ランキング6位で、これまで6連敗していた相手だったが、しっかり勝った印象だった。これまで卓球の世界大会では中国勢が他の国に負けるのは大会全体で1-2回という状況が続いていたが、今回は張本は3人の中国勢を、伊藤は2人の中国勢を破っており、日本と中国がまともに戦える時代に入ってきた感じがする。二人ともまだ10代で伸びしろがある。今後が楽しみだと思う。


音楽の趣味の合う人

2018-06-08 18:47:39 | 生活

私はNHK-FMの「夜のプレイリスト」という番組が好きでよく聴いている。この番組は週替わりで色々な人が毎日1枚のアルバムを紹介するもので、月曜日から金曜日までで5枚のアルバムが紹介される。

ミュージシャンもそうでない人も選曲者になるが、音楽好きの人が5枚を選ぶので良いものが多く、自分の知らなかった良いものを発見することも少なくない。しかし、5枚とも自分の趣味と会う人は稀である。それが今週は5枚とも私とぴったり趣味の合う人だった。渡瀬政造という人である。

月曜日がスタン・ゲッツ、火曜日がアストラッド・ジルベルト、水曜日がオスカー・ピーターソン、木曜日がMJQ (Modern Jazz Quartet)、金曜日がサラ・ボーンだった。ジャズとボサノバ、ボーカルが2枚とインストルメンタルが3枚というバランスも私の趣味とぴったりである。自分が持っているアルバムは水曜日の”We get request"だけだったが、どれも毎日楽しんで聴けた。

渡瀬政造という人は知らなかったのだが、調べてみると有名なイラストレータで漫画も描いている。ネットで絵を見てみると見たことのある絵だった。柔らかな、さわやかな絵を描く人である。 「この人と話をしてみたいな」と思った。


トランプはアメリカ経済を弱くしている

2018-06-06 09:35:33 | 社会

トランプ氏が大統領になってから株価が上がっているので「一見めちゃくちゃだがちゃんと考えている」と評価する人も少なくない。しかし私は前任者までの一連のアメリカ政府の成果を食いつぶしているという見方をしている。トランプ大統領は” Make America great again”と言っているが、彼のやっていることは”Make America weak again “ だと私は思っている。以下、アメリカ経済について振り返ってみる。

アメリカ経済は第2次大戦後、ヨーロッパ、日本、中国が戦争で疲弊した中で一人拡大を続け、圧倒的存在感を持つようになった。しかし、日本の復興によって安い労働力で品質の良い製品が作られたのに、アメリカの工場労働者の質は低く、日本製品がアメリカに大量に輸出されることになり、アメリカ経済は弱まっていった。日本に対しては貿易摩擦で関税をかけるとか輸出制限をするとかいった手法で制限したが、日本に続いて韓国、中国が台頭してくるのは目に見えており、アメリカ経済は行き詰まりが見えていたが1980年代である。この時期が戦後のアメリカ経済で最も弱かった時期だと私は思っている。

この時期に、レーガン政権は「ヤングレポート」の提言にある「プロパテント政策」に舵を切ることになる。これは特許重視というよりイノベーション重視という考え方で、技術進化が経済の中心になるように、特許の権限を重視し、「イノベーションを起こせば政府がサポートしてくれる」というイメージを作り上げた。この時期にはインターネットがここまですごいものになるとは予測していなかったと思うが、半導体は確実にイノベーションにつながるとしてサポートした。一方で製造業は「アメリカで作らなくても良い」として世界最適地生産で工場をどんどん国外(主に中国)に出していった。

結果は大成功だった。アメリカは世界のイノベーションの圧倒的中心地になり、経済力でも大きな力を付けた。その核となっているのはシリコンバレーである。世界がアメリカを恐れているのはIBMやGE、GMではなくシリコンバレーの力である。特許自体は、当初は有力なツールであったが、最近は特許だけを他社から買い込んで訴訟を起こして大もうけを狙うパテントトロールが増えてきて、政策を見直しつつある。

現在のシリコンバレーの強みは特許ではなくオープンイノベーションにあると私は認識している。これは世界中から優秀な人材を集めて、日々、他の企業と情報交換を行い、他社のアイデアも結び付けて実用化に結び付ける。本格的に立ち上げられそうならアイデアを持つ企業を買収する、というようなことが頻繁に行われている。日本のように均質な社会でアイデアを考えるのと、様々な異質な考えがぶつかり合ってアイデアを練るのとでは進み方が大きく異なるのは当然だろう。

トランプ大統領はこのようなハイテク分野の力関係を理解せず、製造業をアメリカに戻すことと、白人中心の社会にすることを目指している。弱かった1980年代の状態にアメリカを戻そうとしているように私には見える。まだそれほど結果には表れていないが、トランプ主義が続けばシリコンバレーも弱まっていくと私は考えている。

以前にも書いたが、中国はこのトランプ大統領の動きを絶好のチャンスと捉えているはずである。中国にとってはトランプ政権が続いてくれたほうが都合が良いので(ロシアが大統領選挙でトランプ氏を支持したのと同じ理由)、中間選挙で共和党(トランプ陣営)が勝てるように、現在の貿易交渉でもあまり強く戦わず、貿易摩擦のアメリカ側の成果が出たように見せつつ、将来の反撃の準備を進めていると思っている。中国がトランプ政権に強力に反発するのは、「トランプ政権はここまで」と見限った時だと思っている。

イノベーションの拠点がシリコンバレーから他に移る可能性が出てきているが、日本に移るとは思えないところが残念なところである。

私の家の近くのリニア新幹線の経路

2018-06-03 14:58:27 | 生活

リニア新幹線は横浜線の橋本駅通ることが発表されているが、私の散歩範囲の中でJR東海が工事用に土地を確保している場所がある。

一つは川崎市麻生区の王禅寺の北側で、近くに王禅寺ヨネッティという川崎市のゴミ処理の熱で温水プールを運用しているところの近くである。尻手黒川道路に面したところにJR東海がかなりの用地を確保していてかなり大掛かりな工事が既に行われている。駅ができるわけでは無いがメンテ用の出入り口を作る計画のようである。多分ここを拠点にしてトンネルを掘るのだろう。

最近になって、その工事現場の比較的近くにもう一つJR東海が用地を確保している場所が見つかった。ヨネッティから尻手黒川道路を川崎方向に行くと川崎北部市場という大きな市場があり、その先に清水台という交差点がある。そのすぐ先あたりである。二つの拠点の距離は4Km程度しか離れていないので、「こんなに頻繁に拠点を構えていてはJR東海も大変だろう」というのが私の感想である。

どうも、リニアのトンネルは知って黒川道路の下を通るらしい。地図で見ると、この道路は品川から相模原の地図上の直線に近いのでこの道路の下にトンネルを作るのが土地の権利の問題なども少なく、やりやすいのかもしれない。

王禅寺ヨネッティから川崎北部市場あたりは比較的開けているが鉄道の線路が無く、鉄道交通的には不便なのでこのあたりに駅ができると良いのだが、と思う。東京と名古屋を1時間で結ぶリニア新幹線の駅としては品川に近すぎるのだろうが、各駅停車でも駅を作れば、このあたりは大きく発展すると思う。多分無理だろうが・・・


久々の党首討論は安倍総理の逃げが目立った

2018-06-01 13:37:04 | 社会

5月30日に1時間弱ではあったが党首討論が行われた。立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表、共産党の志位委員長、日本維新の会の片山共同代表の4人だった。私はテレビで見ていたのだが、午後3時頃だったので見ていた方は少ないと思う。以下、質問概要と私の感想である。

枝野代表はモリカケ問題で安倍総理を追求した。これまで国会で言われたことを少し違う言葉で追及し、安倍総理も少し違う言葉で応答したような内容の無いやり取りだった。

玉木代表は「自動車の関税問題でアメリカから事前通告があったか」「日ロ首脳会談を20回以上開催しているが具体的進展はあったか」の2点を質問した。これに対して安倍総理はアメリカに対する質問に対しては鉄鋼とアルミの問題を「これはたいした問題ではない」と長々と話し、最後に「自動車の関税はまだ検討段階だが私も玉木氏と同様あってはならない行為だと思っている」と回答した。具体的には回答していないが、「事前通告はなかった」「好ましくないと思っているが対応策はまだできていない」ということだと私は解釈した。ロシアに関しては平和条約の議論をしているが内容は明かせない、という回答だった。

志位委員長は「最近の官僚の不祥事がこんなに連続して出てくるのは何が理由だと認識しているか」と問うた。安倍総理は「不祥事は私の責任。再発防止策を講じる」と回答した。志位氏は「答えになっていない」と更に言ったが、2度目の回答の同様のものだった。

片山氏は「内閣人事局の人事権が強すぎる」と官僚に対する人事権が強すぎると指摘した。特に質問という感じではなく自分の意見を言いたいという感じだった。回答の「あるべき姿を追求する」という感じだった。

私の感想は枝野氏は失敗、片山氏は討論を目指していない、とこの二人に対しては否定的である。玉木代表は安倍総理の外交に対して本質的なところをついており、アメリカの自動車関税に関しても具体策は持っておらず、ロシアとも20回も交渉していて具体的に示せる成果が無いことが明らかになった。先日、安倍政権の外交は70点、と私は評価したが、70点でもこのレベルである(70点を下げるつもりはない)。ターガート・マーフィーの「日本はアメリカの属国とみなされている」という言葉が重みをもって感じられた。

志位委員長の質問に対しては安倍総理は全く答えていない。答えられないのだろうと思う。最後に志位氏が「答えてくれないから私が言うが、全部総理を護るためですよ。国民は皆分かっている」と指摘した。枝野氏の質問がはぐらかされたのとは対照的で、質問者としての力量の差を感じた。

翌日、メディアがどう報じるかを興味深く見ていたがテレビでは殆ど報じられなかった。NHKでは枝野氏の質疑で進展はなかったような報道をしていたと思う。メディアの報道姿勢にも物足らなさを感じた。