ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

新しい万能細胞の作り方のニュース

2014-01-31 10:41:59 | 生活

昨日から今日にかけて、理化学研究所がSTAP細胞という万能細胞を作る方法を見つけたと発表し大騒ぎになっている。

中心的な研究者が小保方さんという愛らしい女性なので内容だけでなく研究者も含めてニュースバリューが高く、マスコミは大騒ぎである。フェイスブックでも私の複数の知人が記事を紹介している。本人たちにすれば難産の末ネイチャーに掲載が決まったのでプレスリリースをしたのだろうが、これほど大きな騒ぎになるとは思っていなかったのではないだろうか。

今回の万能細胞については、もともと万能であったものが機能分化した細胞を後でまた元に戻せる、ということが本質のように思う。世の中に不連続は基本的に無く、不連続に見えても変化が速いだけなので、変化した直後ならまだ元に戻せる、ということを示したということだろう。機能分化して日が経ってしまった細胞は戻せないということだから、元に戻すための残留成分は時間とともに消えていくというようなことではないかと思う。これは万能細胞に戻すプロセス解明に大きなヒントになると思う。

山中教授のiPS細胞は機能分化してかなり時間が経過した細胞に対して複数の遺伝子を組み込むことで万能細胞に戻しているということなので、iPS細胞とSTAP細胞の共通点や違いを細かく分析すると、普通の細胞を万能細胞に戻すのに必要な物質やプロセスがかなり見えてくるのではないかと思う。

印象としては小保方さんの発見は偶然の要素が強く、山中教授のほうが本質に迫っている感じがするが、1方向からのアプローチだけでなく違う方向から同じ結果にたどり着けたということはこの分野の真相解明に大きなヒントを与えてくれることは間違いないだろう。ぜひ両者協力して取り組んでもらいたいものだと思う。


新技術により失われる職場

2014-01-30 10:59:46 | 経済

英国Economist誌の1月18日号に、現在の情報通信技術のめまぐるしい発展が多くの人の職を奪うことに対する警鐘があった。これは日頃、私が感じていることと一致しているので紹介しておきたい。

歴史的に見ても新技術が現れれば古い職業を奪うということは繰り返されてきた。産業革命で動力を手に入れた人類は農業を大幅に効率アップして農業人口を大幅に減らした。しかしその代わりに工業という新しい産業が起きて農業よりもはるかに多くの人が工業で働くようになった。次のステップとして工業に自動化ラインが導入され、工業生産が機械化されて工業人口が減少すると代わりに様々なサービス産業が発展し、多くの人がサービス産業に移ってきた。このような歴史があるので経済学者は心配していないが、果たして次の産業は何だろうか、という問いかけである。

イギリスの経済学者によると、現在の仕事のうち47%は自動化で無くなる可能性があるという。更に厄介なのはこれまでの機械化は単純作業を機械化することだったが、コンピュータシステムはどんどん複雑なこと、あるいは高度な判断で人間にしかできなかったこともできるようになってきているという点である。

ここからは私の考えで(Economist誌に触れてほしかったが触れていなかった点)あるが、日本の製造業が強いのはベルトコンベア式の単純作業時に従事していた工場労働者を多能工化して複雑な作業をさせるようにした点であると考えている。ベルトコンベア式ラインではネジ一本止めてベルトに載せまた次の装置のネジを止める、次の人は別のネジを止めるという作業形態だったのを、組立てのかなりの部分を一人で担当する、そういう人が複数並んで作業をしている、という形態にしたことである。この方式は習熟するのに時間がかかる一方、作業に工夫の余地が出てくる。その工夫をカイゼン提案として皆が共有することにより手順がどんどん洗練されていく、というシステムを作り上げた。日本の工場労働者は世界で一番やりがいがあり、かつ幸せだと思う。

情報システムはこの分野にまで入り込んできていると思う。つまり、作業手順などをモニタして大量のデータとして収集する。それをそれぞれのアウトプットと比較することによりコンピュータシステムがカイゼン提案をするようになる。いわゆるビッグデータであるがこんな時代がすぐそこまで来ている。そうなってきた時に必要とされるのは機械よりも深い洞察力を持つごく一部の人と、全体の流れを統括するような人になっていくだろう。

Economist誌も、コンピュータに仕事を取られて新しい仕事が出てこないとは思っていない。いずれ新しい仕事が出てくるのだろうが、それまでには数十年の時間差がありそうで、これまでのスキルが機械に勝てなくなった人はうまい職場を見つけられすに生活が苦しくなってくる。こういう人たちに対する配慮が政治の仕事だとしている。一時的にかもしれないが貧富の差が広がる。仕事をしない人を社会福祉で生活させるのでは社会の活力が出ないし国際競争にも負けてしまう。この問題は政治が考えるべき大きな問題だと結んでいる。

私も全く同感である。今から20-30年経つと、コンピュータでもできるような仕事をしている人と、次にコンピュータに何を指せるかを考える人とで社会に対してつける付加価値は大きな差がついて、それをそのまま収入差に当てはめると大きな貧富の差になると思う。おそらく経済的付加価値と収入の関係を見直す(付加価値の対数に収入が比例するとか)ことが必要になるだろう。社会は人に何を求めるのかという社会哲学含めた議論が必要になると思う。


やはり成功した「ネスカフェ・アンバサダー」

2014-01-29 17:07:50 | 生活

最近の日経電子版にネスカフェ・アンバサダーが成功しているとか新しいタイプのイノベーションだとか言う記事が出ている。

「たしか、このブログに書いたな」と思って調べてみると昨年の3月31日にネスカフェ・アンバサダーについて「面白い」と書いている。私は今は会社勤めをしておらず、このビジネスの影響は皆無なのだが、自分の会社員時代を思い起こして「成功しそうなビジネスモデルだ」と思ったものである。あの時は「富山の薬売り」のようだと書いたのだが、それ以上の色々な工夫が入っているようである。まず、コーヒーメーカーに新しい機器を導入して満足感の高いコーヒーを飲めるようにした。更に、職場のコーヒー担当者を取り込んで利益をシェアするようにした、という点が大きい。私は職場のコーヒー担当者の負荷を下げる、というところまでは想像できたが、利益をシェアするところまでやるとは思わなかった。

このビジネスモデルは、日本の職場でのコーヒーの飲み方を分析し、「担当者を見方に取り込もう」と決断した時点で勝ちだと思う。日本で一層広がるのは間違いないだろう。おそらく日本以外ではなかなか難しく、日本だから成り立つビジネスモデルという点が多々あると思う。そこを見直してグローバルに通じるモデルにすれば、たいしたものだと思う。ネスレはグローバル企業なので間違いなく考えていると思うが世界にどう応用していくか、その考え方、アプローチは多くの日本企業の参考になると思う。


ちょっと長い散歩

2014-01-25 13:09:53 | 生活

昨日、今日と暖かい日が続いており、今日は3月下旬並みの気温と聞いていたので午前中に少し長い散歩に行ってきた。あざみ野駅から電車で長津田駅まで行ってそこから歩いて帰ってきた。NHK-FMをラジオで聞きながらできるだけ車の通らない道を歩く。車が通ると騒音でラジオが聞こえないからである。地図は見ないで自分の方向感と住居表示を頼りに歩いてみたい道を歩く。

長津田駅前の北側は再開発が進んで高層ビルが1棟だけ建っている。あたりの様子を見ると複数の高層ビルを建てて武蔵小杉や二子玉川のようにするつもりではないかと思われる。再開発地域から少し外れたあたりには私が新婚直後に住んでいたような木造モルタルのアパートが結構ある。これらのいずれは再開発に取り込まれるのだろうと思った。

長津田から恩田川流域を経て青葉台方面に向かう。恩田川流域は開発規制がかかっているらしく、農地が残っている。

写真は恩田川。シラサギやアオサギがいる。

長津田から田奈、青葉台への途中はまだ田舎町のような感じだが、結構立派な店ができている。今後高級住宅街になると踏んでいるのだろう。まだまだ発展しそうな感じだ。青葉台地区の桂台に入ると整備された高級住宅地の感じになる。若草台を通って鴨志田中央という大きな交差点に出た。ここまで来ると私の散歩コースに含まれており何度も通った場所である。ここから鴨志田団地を経て、稲の株が残る「寺家ふるさと村」を経由して琴平神社、王禅寺を経由して帰ってきた。

王禅寺ふるさと公園の紅梅。咲き始めが可憐な感じがして好きである。

こちらは王禅寺の境内にある蝋梅(だろうと思う)。

天気は曇っており寒くはないがそれほど暖かくもなかった。時間は約2時間、13000歩程度の散歩だった。その後、スーパー銭湯「ゆけむりの里」で体を温め、ウィトラのオフィスで自作の野菜炒めとワインのランチを食べ終わったところである。

気分は春


東京の有権者も気の毒に

2014-01-23 10:53:30 | 社会

東京都知事選が告示されたが私は東京の有権者は投票したい候補者がいないという気の毒な選挙になると感じている。細かく見ている訳では無いが、「東京を良くしよう」と考えて立候補した人がどれだけいるのか、という感じがしている。マスコミは原発の方針が軸になると言っているが、これは元総理の細川氏が原発を争点にしたいとして立候補したからに他ならない。細川氏が立候補しなかったらこの話題はそれほど取り上げられなかっただろうし、細川氏が原発の是非を争点にするのもおかしな話したと思う。

東京には原発はないが、東京都は東京電力の大株主だから電力政策を議論することが大切だというロジックのようだが、それならば大株主として東京電力をどうするかということを争点にすべきだろう。事故を起こして大赤字の東京電力の経営をどうするのか、東京都の電気代はどこまで上がるのか、今後さらに補償問題で赤字が膨れ上がるのを大株主としてどうするのかなどを議論すべきだろう。

東京電力を清算すればこれまで東京電力に投じた税金は紙くずになってしまうが、それでも今後の赤字補てんを求められ高い電力を買わされ続ける都民にとってはまだましかもしれない、こういった議論ならば都民の生活につながっている。しかし、議論しようとしているのは原発をどうしていくかという話であり、国の政策に口出ししようという細川氏の意図にマスコミがのっかっている構図に見えて、都民のことを考えているようにはとても思えない。

そもそも「後出しじゃんけん」とかいって立候補を期限ぎりぎりまで表明しないほうが有利のように言われているが、これは東京都民が政策で投票せずにムードで投票するものだと、立候補者からみなされていることを意味している。立候補者も、マスコミも都民をばかにしていると私は感じている。

大阪で維新の会が出た時には「地方自治の在り方を変える」ということを強く打ち出して知事や議会選挙で訴えた。これで維新の会が大阪府の再生に成功するか失敗するか、いずれにせよ大阪府民の問題意識は高まっていることは間違いない。地方自治に強い意見を持っている維新の会がどうして東京都で候補者を立てなかったのか、不思議でならない。石原前知事が田母神氏を個人的に支持しているが、これは維新の会の意思では無い。維新の会は東国原前宮崎県知事が述べたように太陽の党と合併したことで地方自治に対するビジョンを失ってしまったのか、と思う。

いずれにせよ、政治家からは「都民はムードで動く」と見切られている東京都の有権者には気の毒なことだと思う。


理系人材を産学で育成

2014-01-22 12:59:11 | 東工大

今は、大寒の時期で気温は冷え込んでいる。今朝7時台に家の近くを歩いているとアスファルトの上にうっすらと霜が張っている。それが融け始めてその上に足を載せるとつるりと滑る。特に下りの坂道は注意が必要だった。空の雰囲気は春で、そろそろ春が近いと感じる。

今日の日経新聞に「理系人材、産学で育成12大学が2000人派遣」というような記事が出ていた。12大学と8企業が話し合って「産学協働イノベーション人材育成コンソーシアム」を立ち上げる、という話しで企業としては三菱電機、東レ、三菱重工、パナソニック、日立造船、村田製作所、ダイキン工業、DMG森精機である。大学側は東大、京大は入っていないが、東工大、阪大、慶応、早稲田などは入っている。

大学側が研究者(大学院生)データベースを作り、企業側がそれを検索できるようにするのと同時に、企業側は研究テーマデータベースを作りマッチングを取る。仲介するのがコンソーシアム、ということである。この特徴は企業側から見れば日ごろ教授付き合いのない異分野の学生を検索できる点にあるという。

確かに私が企業に居た場合も学生を受け入れていたが、付き合いのある教授のところだったな、と思う。結構な仕組みだと思うが、問題だと思うのは派遣期間が2-3カ月という点である。私の経験では2-3カ月では専門分野の学生でも企業側から見れば殆ど役に立たない。教えるだけで終わってしまう。仕事があるとすれば取得した実験データの整理くらいだろうと思う。就職のためのインターン以上の効果は出ないと思う。

やるなら1年単位だろうと思う。基本を1年にし、双方が合意すれば2年、3年と延長できる、というのであれば学生が企業の現場を実体験できるし、企業の側も学生の仕事での成果を期待できる。その学生が大学に戻って教授の道を歩んだとしても企業の仕事をある程度知っているということができるだろう。企業からすると優秀な学生であれば返したくないし、ダメな学生であればすぐ返したい。そこの調整を図るのがコンソーシアムということにしないとコンソーシアムはただの事務方でこれまで大学と企業の間でやっていたことと殆ど違いが無いことになってしまう。

1年単位だと昇進とか就職とかにも影響が出るのでそのあたりの整備も必要である。それくらいのダイナミックな構想が欲しいものだと思う。

 


久々にじっくり読んだ学会誌

2014-01-21 14:45:27 | 東工大

私は長年、電子情報通信学会の会員で昨年「フェロー」にしていただいた。そんな訳で学会誌を長年購読しており、毎月送られてくる学会誌を読んではいるのだが、普段は10分くらいかけてぱらぱらとめくって終わりである。それが2014年1月号は2時間くらいかけてじっくり読んだ。その主な理由は「特別小特集:超成熟社会、発展のための科学と社会システム」というのが面白かったからであるが、そのほかの「スマホアプリ向けプライバシーポリシーの作成と第3者検証の取り組み」「日本におけるシステムLsI事業の失敗」というのも興味を引く記事だった。

特別小特集は慶応大学の山中直明教授がリーダとなって組んだものであるが、執筆陣がすごい。元東大総長の小宮山宏氏、郵政民営化を小泉総理と一緒に推進した竹中平蔵氏、グーグルジャパン社長の村上憲郎氏をはじめ各分野から錚々たる8名の執筆者を集め、インタビューを交えて超成熟社会を論じている。執筆者から分かるように視点は情報通信に閉じることなく社会全般の課題を考えどう取り組むべきかを論じている。賛成する部分も納得できないような部分もあったが私の脳はかなりの刺激を受けた。このような特集号を組んだ山中教授の力量に改めて感心すると同時に、竹中平蔵氏を教授に迎え入れてこのような企画を可能にしている慶応大学の間口の広さにも感心した。

特に印象強く思ったのは小宮山氏と竹中氏の記事だが、小宮山氏は全体的に「解決策はある」という前向きなトーンで書いており、竹中氏は課題の複雑さ、同時並行的に解き進めていくべき課題を示しており、私には竹中氏のような複数の問題を並行して解くという視野と全体最適の価値観を持った人が政府にもっといてくれたらな、と感じた。

以前私はこのブログに「学会誌はつまらない」と書いたがこういう面白いこともたまにはあるのだと思い、学会誌を見直した気分である。


大一番で強くなる人、弱くなる人

2014-01-19 18:44:23 | 生活

大相撲の大関稀勢の里が3敗目を喫して横綱の目が完全になくなった。先場所、優勝こそできなかったが、13勝2敗で両横綱を破っており、今場所が13勝以上で優勝なら横綱昇進と言われていたが、中日までに3敗して完全にその目はなくなった。初日に負けた時に「こりゃだめだ」と思った人も多かったろう。

稀勢の里は地力はかなりあるので横綱ともいい勝負をするのだが、大一番に弱い。大一番になると普段の力を出せないように思う。逆に横綱の日馬富士は大一番になるとかえって強くなる気がする。横綱昇進も最初のチャンスを一発で決めた。日馬富士に限らず、朝青龍も白鵬も大一番では却って強くなる気がする。モンゴルの人は精神的な鍛え方の手法を持っているのだろうか。同様の精神的強さをテニスのボルグなどにも感じていた。

全般的に、日本人は大一番で弱くなる人が多いように思う。大一番に強いのはサッカーの本田だと私は思っている。あとはノルディックスキーの荻原健司にこの種の強さを感じていた。荻原氏は一時は政治家をやっていた。

自分はどうかというと、大一番では硬くなって弱くなるほうである。少なくとも卓球ではそうだった。私は高校の卓球部で会社に入ってからも会社の卓球部に入って試合に出たりしていたが、どうも硬くなると弱くなる。しかし、大学でやっていた囲碁では弱くなることはない。囲碁では最初は緊張していても戦っているうちに没頭してしまい、緊張のような気分はどこかに飛んでしまう。どちらかというと大一番に強いほうだったと思う。学会のプレゼンなどでも余白はないと思う。そう考えると反射神経が緊張するとうまく回らなくなるということらしい。

いずれにせよ、大一番に強い人と弱い人では平素の実力が同レベルでも結果には大きな差がつく。相撲でも稀勢の里と日馬富士では地力は稀勢の里のほうが上くらいだと思うが片方は横綱で片方は大関、優勝回数でもかなりの差が出ている。精神を鍛えることは重要だとつくづく思う。


今年に入ってからの企業のトップ人事

2014-01-16 12:27:25 | 経済

今年に入っていくつか日本を代表する企業のトップ交代が発表された。新日鉄住金の社長交代、日立の社長交代、経団連の次期会長の決定などである。いずれも従来型の人事とは少し違う感じを私は受けている。

14日には東レの榊原会長が経団連の次期会長に内定したという発表があった。現在の米倉会長は日立の川村会長を考えていたらしいが、川村氏に固辞され榊原氏に決まったようである。榊原氏は東レの前社長であるが、その前の前田社長、現在の日覚社長のほうが有名で榊原氏は何となく地味な印象である。東レは炭素繊維や、水の浄化膜などの新技術を開拓してきて立派な会社だと思うがその中では堅実な人のような印象である。ただ中国や韓国では評価が高いらしく、政府との交渉も期待する人が多い。個人的には自前主義にこだわりすぎるのではないかという懸念を持っているが、これからどんな動き方をするのか注目して行きたいと思っている。

15日には日立の社長交代があった。今まで社長だった中西氏が会長兼CEOになり、専務だった東原氏が社長兼COOになるという人事である。川村会長が退くのが、経団連会長を断った理由だろうと思う。実権は中西氏に残るだろうから日立の場合はCEO/COO制度を強く打ち出した、という点に重きがあるのだろう。日立がグローバルビジネスを行う決意表明でもあり納得のいく人事である。

16日には新日鉄住金の社長人事の発表があった。新日鉄と住友金属が1年半前に合併し、新日鉄出身の宗岡氏が会長兼CEO、住金出身の友野氏が社長兼COOという対戦だったが、CEO/COOは廃止し、宗岡会長、友野副会長、そして新日鉄出身の進藤氏が社長という体制になる。CEO/COOを廃止したということを海外にどう説明するのか分からないが、内部的には新日鉄系の人事で一本化する雰囲気が見え、統合効果が出てくるように思う。この規模の大会社の統合としては早いほうだと思う。

まだ日本的要素を残してはいるものの日本企業も変わりつつある。より合理的な方向に変わるのは好ましいことであり、今回の3件の発表は合理的な方向への変化と感じられた。

 


囲碁部のOB会

2014-01-12 16:33:02 | 囲碁

土曜日、日曜日と熱海で大学の囲碁部のOB会の合宿に行ってきた。ここ6年ほど熱海の温泉で行っているが幹事の人の熱心な呼びかけで最近はいろいろなところから集まるようになった。東京近辺はもちろん、名古屋地区、関西、東北に住んでいる人も集まって総勢29人の盛会だった。

クラブ活動のOB会は職業も年齢の違う人たちが集まっていて同窓会とは全く別の楽しさがある。私は高校の卓球部のOB会にも出ているが、卓球部の場合には今も卓球をやっている人は少なく、集めって飲むだけであるが、囲碁部の場合には60歳、70歳になっても囲碁を続けている人が多く、集まるとおしゃべりではなく、囲碁大会になる。昨日からスペインのマドリッドで棋聖戦の挑戦手合いが始まっている。このことも話題になった。

囲碁大会は持ち時間を決めて手合い時計を使う、大会形式である。たまに軽口を聞く人もいるが、ほとんどは黙って、勝負に熱中する。大学囲碁部なので実力は皆高く、そこらの碁会所ではなかなか巡り会えない相手と、たっぷり打てる。囲碁は手談という別名があるくらいで、対局すると相手の気持ちが伝わっている。全体で6局打って私が3勝3敗だったが、もう一つくらいは勝てたはずで、自分では多少不満だった。

韓国の囲碁年間が置いてあったので、何局か並べてみた。日本のプロとは姿勢が違う。以前書いたように囲碁には戦略を立てる「大局観」と戦術を決める「読み」が必要である。プロなら両方を持っているが、日本の棋士は、「読み」で「行ける」と判断しても、大局観が「危ない」と告げれば決行しない。危ない道を渡らずに確実に勝つ道を探す。しかし、韓国の棋士は「読み」のほうを優先し、「行ける」と判断すればやっていく。無難な手を続けていると押し切られてしまうことが多いのだろう。しかし、プロとて神様ではないので、読み間違いもある。負けるときは比較的簡単に負ける。危ない道を渡るので、抜群の勝率を続けることは難しい。しかし、道場剣法ではなく真剣勝負を毎日やっているので感覚が研ぎ澄まされていく。それが日本の棋士が勝てなくなってきた理由ではないかと感じた。

OB会に話を戻して、いわゆる近況報告とか、他の人はどうしているとかいうことは食事時間などの雑談で話をする。全員と話すわけではないので、年齢の近い人の近況を聞くことになる。私以上の年齢の人は囲碁を楽しむという感覚だが、若い人(50歳くらいまで)は研究熱心で雑談の時間も詰碁を解いたり、その日に打った碁を並べ替えして研究している。強いはずである。

「友あり遠方より来る」そして趣味の囲碁を楽しみ、酒を飲み、温泉に入る、楽しい一日だった。