ウィトラのつぶやき

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第4次安倍改造内閣に感じること

2019-09-13 14:53:42 | 社会

安倍総理が内閣改造を行った。新しい内閣に対する私の印象は「目玉は小泉進次郎環境大臣」というごくありふれたもので、それ以外で全般的な印象は側近を登用したのと幅広い派閥にチャンスを与えるが石破派は干す、というごく普通の印象で取り立ててブログに書くようなものは無いのだが、一点だけ他の人とはかなり異なるだろうと思う私の視点がある。

それは総務大臣高市早苗氏に関するものである。安倍内閣の総務大臣は新藤義孝氏、高市早苗氏、野田聖子氏、石田真敏氏と変わってきたのだがこの中では高市早苗氏が一番存在感があり、しっかりしていたと思われるので、高市氏に戻した安倍総理の判断はまともだというのが普通の見方だろう。私自身、高市氏が一番まともだと思っているのだが、気になっているのは彼女がかなり強く旧自治省のほうを向いている点である。

総務省は旧郵政省と、旧自治省が合体してできたもので、旧自治省系には地方創生という大きな課題があるので自治省のほうを向く人物を大臣にすることは選挙を考えても自民党総裁としては自然な判断だと思うのだが、このままだと日本の通信行政が大きく出遅れる点を私は気にしている。大臣にあまり興味がないと、政策は基本的に官僚の上げてきた提案に基づくことになる。しかし、総務省の通信系の官僚はかなり劣化していて、世界の動向が定まった後でないと動けない状況にあると私は考えている。その一方で通信は所謂デジタル革命の中心的部分で、最低でも世界の先進的な動きに付いて行くくらいでないと日本はかなりまずいことになる、特にこの2-3年が重要だと私は考えている。

日本の通信行政はこれまで総務省の官僚と旧電電公社(NTT)がリードしてきた。しかし、インターネット時代になって通信の主役は通信事業者ではなく、インターネットのサービスプロバイダになってきている。これから起こる様々な通信を巡る変化は、通信事業者にどう対応させるかではなく、その先にあるサービスプロバイダをどう育成するべきかになる。日本の通信官僚にはその視点はかなり弱いと私は思っている。

例えば、話題の5G移動通信に関していえば、電波をどのように通信事業者に割り当てるかではなく、事業者以外の一般ユーザが5Gを使えるようにする「ローカル5G」が重要になる。私は今の総務省にはこのような流れに対して適切に対応できないだろうと予測している。官僚の意識が低い場合、政治の側から官僚に圧力をかける必要がある。しかし、高市大臣はそのようなことには興味を示さないのではないかと懸念している。

通信官僚が通信事業者と結びついているのは日本だけでなく世界中で起きていることである。しかし、米国は進取の気性があるので比較的転換が早いだろうと思っている。欧州は日本と似ているが、通信事業者以外の声は日本よりも強い。中国は官僚(共産党)が産業全体を抑えているので、通信事業者の最適化ではなく産業全体の強化に通信をどう利用するかという視点を政治家が持っていると思う。日本はこういった点で出遅れるだろう。

このような傾向は通信分野だけでなくあらゆる分野で起こっている。AI、IoT、クラウドなどによるデジタル化の波に対する見識を適切に持って動いているには日本の省庁では経産省だけに私は見えている。そして日本は通信行政が総務省、IT行政が経産省と別れている点がますます政府全体の動きを遅くしている。私はICT行政全体を経産省に統合するべきだと思っているがそのような動きは簡単には出てこないだろう。

この2-3年で世界の通信行政が大きくは変化しないことを願っている。


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