ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

必ず遅れる中国国際航空

2013-06-30 16:27:51 | 生活

先週の月曜日に日本を出発して北京、フランクフルトと回って土曜日の夜中に帰ってきた。中国国際航空で羽田-北京-フランクフルト-北京-羽田と回ってきたのだが、これだけ回って12万5千円程度、それも燃油サーチャージが5万円ほどのって、この値段だから、格安だと思う。しかし、毎回遅れた。

月曜日の朝は北京から来る飛行機が向こうを飛び立たなかったとかで、何時間遅れるか分からない、という連絡を受けて羽田からAir Chinaのチャーターバスで成田に向かい、成田の午後便に乗った。それは定時発の予定だったが、飛行機に乗り込んでから出発せず、一時間ほど遅れた。

北京在住の人によると北京の発着便はほぼ毎回遅れるそうである。後の3回も全て1時間ほど遅れた。北京空港の管制制御がうまく言っていないそうである。フランクフルトは問題はないのだが、北京からの便が1時間ほど遅れて到着したので、折り返し便はやはり遅れた。

大学に行くようになってから欧米に行くのは初めてである。北京‐フランクフルトはビジネスクラスにアップグレードしてくれたので快適だった。最近のビジネスクラスは寝るときに座席がほぼまっ平らになるので疲れがたまらない。

それにしても、中国国際航空はこんなに毎回遅れていては「安かろう、悪かろう」の評判が定着してしまうと思う。乗務員も乗客も「遅れるのが当然」という感じである。

中国ではインターネット環境が弱くなかなかアクセスできなかった。ドイツでは忙しかった。写真もあまりとれなかったのだがいくつかをUpしておこう。

北京の国立通信研究所CATR

北京の航空技術大学。ずいぶん立派な建物である

フランクフルト中央駅

フランクフルト市内を流れる川(マイン川?)

チアガール。バスケットの応援

フランクフルトの繁華街にある教会

移動が多かったので疲れた。

 


東京都議会選挙の結果

2013-06-26 09:51:50 | 社会

日曜日に東京都議会選挙が行われ予想通り、自民党の圧勝だった。国政与党の公明党も順調である。これに対して大きく議席を減らしたのが民主党、殆ど存在感を示せなかったのが維新の会である。共産党は躍進している。

今回の都議会選挙で最も振るわなかったのは民主党のように言われているが、私は維新の会だと思う。民主党のこの結果はかなり予測できたが、維新の会は予測よりもかなり悪かったという感じである。

私はこのブログに何度か「民主党は社会党のように無くなるだろう」と書いたがしばらくは無くならないと思い始めた。選挙互助会としての民主党議員の受け皿がなくなったからである。衆議院選挙後は維新の会が民主党を離れる議員の受け皿であった。しかし、今は維新の会は民主党の受け皿には成り得なくなっている。メディアは橋下副代表の失言問題が主な理由のように書いているが、私はそれよりも根本的な問題は石原-橋下体制の不自然さにあると思っている。

橋下氏は自衛隊問題などでは右寄りの発言をしているが同時にリベラルなイメージもあり、アメリカ寄りの体制をとる自民党に対する対抗軸としてリベラルな票を獲得できたのが先の衆議院選挙腕の躍進の原動力だと私は思っている。しかし、石原慎太郎氏を代表に据えたことで維新の会は自民党よりも更に右寄りのイメージができてしまった。そこへきて従軍慰安婦発言でそのイメージが固まった感がある。

今の時代は、右、左で議論すべきではなく、既得権益を保護する政党と、既得権益を無視する政党という切り口で議論するほうが当たっているだろう。既得権益は企業だけでなく労働者にもある。維新の会は既得権益を認めない政党として私は位置付けており、これが維新の会を好ましく思っていた点だった。これは若者にとって良く、老人に取って良くない考え方だと思っている。しかし石原氏のこの点に関するスタンスは良く分からない。むしろ既得権益を保護する側にいるのではないかと思っている。つまり石原氏と橋下氏は日本を独立国家として自立する国にすべきというスタンスとアプローチは一致しているが、国内でどういう運営をすべきかについては一致していないと思う。

東京は代表である石原氏が知事を務めていた地域である。その東京で維新の会が殆ど議席を獲得できないというのは、石原慎太郎氏は支持されていないと見るべきだと思う。私自身も石原維新の会は自民党よりも更に右寄りなのではないかと感じている。それで今回の都議選での民主党の票が共産党に流れ共産党の躍進につながったと思っている。

維新の会はまず石原慎太郎氏と袂を分かつべきだと思う。大阪では維新の会はかなり大胆に既得権益を壊している。しかし、壊した後に新しい仕組みができているのか、それがうまく機能しているのかについては極めて不透明である。維新の会はこれからしばらくは大阪府政に専心し、大阪で既得権を壊した後の新しい仕組みを機能させることができることを示すことに注力すべきだろう。それが成功すればまた人気は戻ってくるだろうし、失敗すればそれまでの存在だと思う。


ケータイ紛失騒動記

2013-06-24 22:04:20 | 生活

今日から出張で今は中国に来ている。

昨日は三鷹にある老人向けマンションに住んでいる母のところへ行ってきた。ケア付きのマンションだが最近あまり調子が良くなく様子を見に行ったものである。家を出るときにケータイを持って出たつもりだったのだが着いてみるとケータイが無い。私はいつも胸ポケットにケータイを入れているのだが無い。家に置き忘れたのかと思って自宅に帰ってきてから探してみても見つからない。

家内のケータイで電話をかけてみると呼び出し音がなっているのだが誰も出ない。家の中では呼び出し音は聞こえないのでやはりどこかに落としたものだろう。ウィトラのオフィスでも同じことをやったがやはり呼び出し音は聞こえない。

これはどこかに落とした、と思いドコモに電話をしてケータイの使用を止めてもらった。その時に「呼び出し音が聞こえているので電話はまだ生きている」と言ったらこちらで探してみましょうと言われた。しかし数分して、「お客様は位置情報サービスを使っていないので探せませんでした」と言われた。テレビの刑事ドラマなどでは犯人の位置を警察が捜しているが、あれは本人からの要請でも犯罪捜査などでないと、使えないらしい。見つからない場合には警察に紛失届を出すと、保険が効いて数千円で同じものが手に入るという説明を受けた。感じの良い対応だった。

ケータイの捜索を継続し、三鷹の近くの途中で立ち寄ったスーパーに電話して遺失物でケータイが無いかと聞いてみると届いている。機種も届けがあった時間もあっている。電話が鳴ったはずだが、というと落とし物には触らないことにしている、という返事だった。三鷹の近くまで再度車で取りに行った。渡されたケータイを見て驚いた。画面のいたるところにひびが入っている。どこに落ちていたかと聞くと駐車場だそうである。良くこれで壊れずに動いていたものだと思う。車に軽く引かれたのだと思う。持って帰って、再度ドコモに電話してケータイの機能を復活させ電話してみるとできる。画面にひびは入っているが充電端子もうまくつながる。頑丈にできているものだと感心する。

当面は使えそうである。しかし使い続けるには問題がある。見つかったので警察に遺失物として届ける訳にはいかず、買い変えるしかないだろう。今日から海外出張なのでとりあえず画面にひびの入ったケータイを持ってきた。何度か電話がかかってきたが問題なく使えている。

さて買い換えるとして何にするかである。発売されたばかりのGalaxy S4も魅力である。一番つながるというソフトバンクのiPhone 5も魅力である。もうしばらく待てば次のiPhoneが出るだろうからそれも良いかと思う。AUの97%カバーのLTEの実力も見てみたい気がする。などと色々考えている。帰国してから行動することになる。3カ月ひび割れたケータイを使い続けるのは抵抗感があるので、次のiPhoneを待つことにはならないだろうと思う。


ベランダ菜園の収穫

2013-06-22 16:41:20 | 生活

5月29日のブログで書いた、ベランダ菜園のナスが実り、収穫した。その時にトマトとナスの苗木を買ってきた。

大規模修復が終わったウィトラのオフィスがあるマンションのベランダで育てるつもりだったのだが、実は苗木を買ってきた時はまだ工事は完全に終わってはおらず、しばらく自宅においていたら、どんどん大きくなって運びにくくなったのでそのまま自宅のベランダに置いておいた。そうしたらナスが収穫できるくらいに大きくなった。

私はまだ1カ月くらい先に収穫できるものだと思っていたのに一月足らずで収穫できるとは随分早いものだと驚いた。後いくつくらい実がなるものなのか分からないが楽しみである。写真には映っていないが、トマトも実がなっている。ベランダ菜園もなかなか良いものだと思った。

今年は空梅雨の感じがしている。最近は雨が降っているがもっと本格的に降らないと関東地方は水不足に陥るように思う。今日が比較的湿度が低いせいか、梅雨明けが近いように感じる。


首相官邸の「日本再興戦略」を読んで

2013-06-21 11:11:35 | 社会

昨日、ある人から「首相官邸のHPに『日本再興戦略』というのが6月14日付で出ているから読んで見たら」と言われてダウンロードして読んでみた。基本的には成長戦略に沿ったもので98ページの文書で立派なことが書いていると思うが、先日書いたFCCの「国家ブロードバンド計画」と比べると本気度という点で疑問を感じる点がいくつかある。

この資料は「日本経済再生本部」がまとめたもので、日本経済再生本部とは安倍総理を本部長とする内閣閣僚から構成される組織なので行政の最高機関が発行したものである。「今国会に法案提出予定」等と書いてあるので、この資料にあることは実行されるとみて良いのだろうと思う。新聞で読んだ成長戦略第1弾から第3弾までを一つの文書にまとめたものだろうと思っている。このように考えを具体的に形にすることはコミットメントになるので国民からすると分かりやすい。まとめた安倍総理にはまず敬意を表したいと思う。

しかし、計画は書いてあるのだがPDCAサイクルについての言及がない。国会で反対されて通らないこともあるだろうし、情勢が変わって方針が変わることもあるだろう。そういうときにどうするのか、今後この資料を見直しをかけて行くのか、などの言及がなく、言いっぱなしで終わる可能性を感じる。逆に言うと、具体的アクションが書いていない項目は言ってみただけではないかという感じがする。FCCの「国家ブロードバンド計画」は自分が実行主体では無いことに関しても、プロジェクトの遂行管理をきちんと書いていたのとは大きな違いである。

内容的には、成長戦略について書いた時に書いたように、予算を使う話しが殆どである。予算を使わず精度で対応する物もあるのだが、予算削減項目は殆ど出てこない。従ってサステイナビリティというか実現性に疑問を感じてしまう。また、日本版NIH(医療に関する国の研究機構)の創設とか、日本版Data.govとか、日本版ITダッシュボードとかいう言葉が出てくる。発想が世界に向いておらず、日本国内に閉じている感じがする。

インフラ輸出などの話しは出てくるのだが、日本で培ったインフラ技術をODAの古い手法で東南アジアなどに売り込む、という考え方に見える。これでは大きなマーケットは取れず、限定的なビジネスにしかならないと思う。グローバルビジネスを目指すには、日本のインフラ構築と並行して海外のインフラの要求条件を考慮し、取り入れられるものは取り入れるし、取り入れられないものは、置き換えが簡単にできるようなアーキテクチャを考えておくことが重要だと思っている。これがこれまでの日本企業にはできておらず、政府の指導が必要な点だと思っているのだが、どうもそういった視点は見られない。

ITに関する分野で言うと、データベースに「日本版」とつけたりして世界で通用しないものになるのは明らかだし、政府情報システムを5年間で1500から半減、8年間で運用コスト3割減、といったとんでもなく遅い計画である。これでは世界の流れには到底ついていけないだろう。閣僚にIT産業に詳しい人が入って方針を大幅に見直さない限り、長期低落傾向の日本のIT産業は地盤沈下が続くと思う。

批判を多く書いたがこういう活動は評価している。臨時国会が終わった年末あたりに、国会審議の結果を受けてこの文書の見直し版ができ、PDCAサイクルが明確化されるようなら本物だということができると思う。そうでないなら参議院選挙対策の一過性の物だと私は思ってしまう。


最近、歩く量が減った

2013-06-20 10:38:11 | 生活

6月に入って、歩く量がぐっと減った。

主な理由は暑くなってきたからである。特に最近は湿度が高く歩くと汗が噴き出てくる。私の歩きは、いわゆる散歩ではなく、家から駅とか、職場から駅とかいった移動時間を歩いていたので大量に汗をかくとどうも後の気持ちが良くない。梅雨に入り天気が良くないということもあるのだが、実際に雨が降っている日はそう多くないのでこれはたいした理由にはなっていない。これからは汗をかいても良い服装で、家を出て家に戻るという歩き方をしないといけないのかもしれない。それならジョギングのほうが良いかとも考えている。

もう一つの理由は万歩計が壊れたことである。契約を解除したシャープ製AUの携帯電話についていた万歩計の機能を利用していたのだが、それが壊れてしまった。そうするとどうも頑張って歩こうという気分にならない。やはり万歩計の歩数が自分の歩く動機になっていたと改めて感じた。今使っているGalaxy S3でも探せば万歩計のアプリはあるのだろうがどうも億劫でやる気にならない。

その大きな理由はGalaxy S3の電池の持ちが悪いことである。それでもあまり使わなければ2日くらいは電池が保っていたのだが、最近は24時間保たないようになっていた。調べてみるといつのまにか無線LANの電源が入った状態になっていた。無線LANを切るとまた2日保つようになった。化速度センサを入れればまた電池の保ちが悪くなるのではないか、というのが万歩計をためらう理由でもある。

暑さと関係があるのかどうか分からないが最近は疲労を感じるようになってきた。手術から半年たって、入院中に下がっていた体内のコレステロール値がまた上がってきたのではないかという感じがしている。食べ物をさっぱりしたものにしないといけないと最近は感じている。それでランチがしばらくは800円ランチだったのがまた500円ランチに戻ってきた。

今年の梅雨は雨量が少ない。最近雨が降っているのだが量としては少ないように感じている。このまま来週あたりには梅雨明けになって、水不足が騒がれるのではないかと心配している。


G8の成果は脱税対策

2013-06-19 09:28:54 | 社会

世界の主要8カ国の首脳が集まるG8の会議が終了し、安倍総理はアベノミクスがG8でサポートされたと会見で語っている。しかし、私は積極的に支持されたというよりは反対されなかったという程度のことだろうと思っている。アベノミクスは通貨安競争の側面もあり、他国から注文がつく可能性もあるのだが特に注文がつかなかったということで一安心というところだろう。

私は今回のG8の最大の成果は脱税対策で協力する姿勢が主要国にできたことだと思っている。特にイギリスのキャメロン首相が積極的に旗を振ってこの脱税(過度の節税)を取り締まる方向に動いたというのは注目に値すると思っている。

キプロスの預金封鎖について書いた時に触れたのだが、世界にはタックスヘイブンと呼ばれる税率が極端に低い地域があり、この地域に実態のない本社を形の上だけ登記する会社が少なからずある。大企業はこういうことはあまり行わず、個人の資産家が小さな会社を作って登記していることが多いようだが、ある意味で脱税の手助けをしているようなものだと私は思っていた。そして、そのようなタックスヘイブンはイギリス領に多い。

バミューダ諸島、英国領バージン諸島、ケイマン諸島、ジブラルタル、ジャージー島、マン島など多数ある。今回のG8での議論の主眼は先日アップルの節税で話題となったように海外で上げた利益を本国に還流させる手続きなどにあるようだが、タックスヘイブンのほうがむしろ犯罪性を感じる、取り締まるべきことだと私は思っていた。今回イギリスの首相が率先して言いだしたことでイギリスとしても放置できず、G8の前にこれらタックスヘイブンの自治領の首脳を集めて圧力をかけたそうである。

これにより、世界の税制が緩やかに連動して動き始めることになれば好ましいことだと思っている。なお、G8の8カ国は、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、ロシア、イタリア、カナダで、中国やインドは入っていない。


アメリカ政府の個人情報収集問題をどう思う?

2013-06-18 08:52:15 | 社会

元CIAの職員がアメリカ政府の個人情報収集の実態を暴露して大きな話題となっている。イギリス政府もG20の各国代表団を盗聴していた、とこれも同氏の暴露である。オバマ大統領は「情報収集は外国人に対してだ」等といったものだからヨーロッパから強い反発を食らっている。

この事件で最も喜んでいるのは中国政府だろう。中国はアメリカに対するサーバーテロの事実をアメリカ政府に発表され、オバマ-習近平会談でも大きな話題となって、押されていた。それが相手を押し返す大きな材料を得たことになるだろう。今、この暴露を行ったスノーデン氏は香港にいるらしいが中国政府が保護しているのではないかと私は思っている。ヨーロッパも、自分たちもやっているに違いないのだが、今回の問題を外交カードとして使おうという姿勢が感じられる。

これに対して日本政府は全くの無言である。外交カードとして使おうという意思はないのだろうか? マスコミも事実を報じるだけで論評を避けている。これが日本政府がやっていたと分かったらどうだろうか。蜂の巣をつつくような大騒ぎとなることは間違いないだろうと思う。しかし、私には現在のアメリカの問題に対して口をつぐんでいる人に、「政府が国民の個人情報を収集している」ことに対して仮に日本政府がやっていたとしても非難する資格は無いように思う。これに対して避難するであろう人は、今分かったアメリカ政府の行動に対して非難の声を上げるべきだと思う。

イギリスのFinantial Timesは編集委員個人の意見としてアメリカ政府の情報収集を容認するような記事を書いている。明言はしていないがFT全体にそういった雰囲気があることは間違いないだろう。私自身も容認派である。暴露の内容を見ても政府はテロリストの分析とか、サイバーテロ対策とかにこの情報を使っている。このためにこういった情報収集や分析は必要である。最近私は「サイバー交番のススメ」という記事を書いた。サイバー交番が仕事を全うするためにはある程度の調査はやむを得ないだろうと思う。

私自身、自分のネット上でのプライバシーが調べられることをあまり気にしていない。街角に監視カメラがたくさんあることもあまり気にしていない。もし政府なり、どこかの大政党のような大きな団体が私のブログを見て危険人物だと判断して色々情報収集すれば、不利益をこうむることはあるだろうが致命傷になることはあるまいと思っている。それよりもサイバー空間の秩序を維持するために公的権力がある程度介入することは必要だろうと思っている。国民として注目しておくべきことは、情報を収集する行為ではなく、収集した情報の使われ方だと思っている。

私はむしろ、日本政府のこういった情報収集に対する取り組み姿勢の弱さのほうが気になっている。私自身は個人情報だ、プライバシーだと騒ぎ立てる人は後ろめたい行動をしているのではないかと勘繰っているのだが、日本社会では騒ぐ人の声のほうがはるかに大きいと感じている。今回の事件をきっかけに個人情報の在り方、収集の是非について日本国内でももっと議論を始めると良いと思う。


悪人を作ってしまう復興庁幹部のツイッター報道

2013-06-17 08:32:38 | 社会

復興庁の幹部が「国家公務員」と言ってツイッターで不適切な投稿を繰り返していた、として処分を受けた。私はたまたまテレビでそのツイッターの文章をいくつか見たのだがそれほど違和感は感じなかった。言葉は強いけれど、鋭い皮肉という感じで当たっている内容のような感じがする。その時のテレビは、「この内容が問題」ということでいくつか例を見せていたのだが、その内容に関しての私の印象である。

ところが、処分が決まると、報道各社は一斉に一番悪い印象を与える文章を、更にそのキーワードだけを抜き取って「悪人である」下のような印象を与える報道に注力した、という印象がある。内容は復興庁の幹部であることを明かして、その立場で発言しているのならやり過ぎである。しかし、国家公務員の一員として会議に出席したときの印象を出しているだけならやり過ぎのようには見えなかった。そこも報道では、「復興庁の幹部がこういった」というように責任とリンクさせて悪人に仕立て上げている感じがする。

確かに言い過ぎの面があるので、そういう報道があっても構わないと思うが、全社同じトーンというのが気になる。

復興庁あるいはどこかからそのようなスタイルの報道にするように圧力を受けていたのなら圧力をかけた側の問題が大きい。しかし、どうも報道側に自主判断で表現を選んでいるように感じられた。どこか1社がスクープ的にこの問題を報じて復興庁幹部を悪役に仕立てたら、報道各社は一斉に同じ方向に走り出し、「できるだけ悪く感じられる言葉」を探した感じがするのである。

厚生労働省の幹部で逮捕された村木さんの時にも同じように感じた。村木さんの場合には裁判で勝って復職し、最近昇進したが、あの時にも「本当か?」と疑問をなげかける報道が無かったのはさびしいと感じたものである。報道各社は見栄えを考えるだけでなく内容を自分で考えてほしいものだと思う。


日本にはない「国家ブロードバンド計画」

2013-06-13 07:12:08 | 社会

アメリカ合衆国の通信を監督する機関FCCがオバマ大統領からの依頼を受けて3年ほど前に「国家ブロードバンド計画」という報告書をまとめている。これは「2020年のアメリカのブロードバンドはどうあるべきか、そのために政府は何をなすべきか」を提言したものである。それによると

・2020年にはブロードバンドは「あれば便利なもの」ではなく「無ければ著しく不利になる社会インフラ」になる。従ってアメリカ国民全員がブロードバンドを使えるようにするべきである。

というのが基本姿勢になっている。そのために「僻地に住んでいてブロードバンドを使えない人」「お金が無くてブロードバンドが使えない人」「ブロードバンドに興味が無い人」に対して対策を打たないといけないとして合計200に及ぶ提言を行っている。この報告書は日本にはない、あるいはこれからの日本では出そうにない、以下の2点の特徴を含んでいる。

第1の点は、殆ど予算の積み上げをしていないことである。アメリカ全土をブロードバンドでカバーするには膨大な資金が必要になる。しかし、報告書が提言しているのは、現在も使っている予算をいかに有効活用するか、現在ある設備等をいかにに有効活用してコストをかけずにブロードバンドを広げるか、ということであり、そのために様々な政策提言を行っている。日本ではアベノミクスで色々な委員会で様々な政策提言が行われているが、私の眼にはこれらは「いかにして国家予算を獲得することを正当化するか」を目的としているように映る。予算を使わずにどうやって改善するかを基本姿勢としたのもはまず見かけない、というのが私の印象である。

第2の点は国のほぼ全ての機関に要求を出している点である。ブロードバンドを実現するために財務省は・・・、国土交通省は・・・、経済産業省は・・・、文部科学省は・・・、総務省は・・・、厚生労働省は・・・、というように名指しの提言が数多く含まれている。もちろん一番多いのはFCCは・・・、という自分が何をするかということであり、大統領は・・・、国会は・・・、というのもある。こういった国の全部門を巻き込むような提言書は日本ではまず出てこないだろうと思う。FCCは日本で言えば総務省の外郭団体である。到底他の省庁に要求を出すこのような報告書は書けないと思う。

報告書は最後に、「この一連の提言を実行するために、大統領は進捗管理をする組織を大統領直下に置くべきである」と結んでいる。オバマ大統領は報告書に強い感謝の念を示したが、そのような組織は作られなかった。他の省庁に強制力を持つような報告書にはならなかったということである。それを見て、この報告書は失敗だったという人もいるが私はそうは思っていない。報告書にあった精神はアメリカ全体に受け止められた感じがするし、「国家ブロードバンド計画」に沿った流れをあちこちで今、見ることができる。

日本はブロードバンドのハードウェアは進んでいるが使いこなしが遅れていると言われている。今後ブロードバンドが人々の生活インフラになっていくとき、ますますアメリカとの差が開くのでは無いかと懸念している。