ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

尺八演奏家 中村仁樹

2011-01-29 15:53:49 | 生活

尺八演奏家の中村仁樹という人の演奏を聴いた。尺八、琴、ピアノのトリオであった。母が入っている高齢者用住宅でのイベントだったので、それほど期待はしていなかったのだが、なかなかのものだった。

「春の海」や「浜辺の歌」などの日本的な曲、ジャズっぽいアレンジの曲、クラシック風の曲、自作の曲などを織り交ぜた1時間ほどのコンサートだったが、色々な雰囲気が出ていて味わい深いものだった。

自作の曲などは作った時の気持などを説明してから演奏してくれるので、なんとなくイメージができる。聴衆は高齢者ばかりだったのでおとなしく聞いていたが、若い人が聞いたら結構盛り上がったのではないかと思う。

尺八の音も、いわゆる尺八の音からフルートを思わせるような音まで結構いろいろな音が出る。27歳なのでまだ若いが作曲、、編曲ともにセンスがある感じがする。そのうちこの人は有名になるのではないかと思う。


地方議会の問題

2011-01-28 10:14:30 | 社会

昨日に続いて、地方議会の問題点を書いてみよう。殆どの情報は片山総務大臣の発言その他から得たものである。

昨日書いたように、地方の議会は殆ど議論の場として機能していないそうである。片山氏は「一度身近な議会を見に行ってください。そうすればすぐに分かります」と言っている。なぜそうなるか? 片山氏は色々な理由を上げているが私の眼にとまったのは「議員と住民の乖離」という点である。

今の国民は会社員が圧倒的に多いが会社員が議員に立候補するためには会社を辞める覚悟がないとまずできない。優秀な社員であれば会社が引き止める。結果として議員になるような人たちは自営業の人ばかりになる。つまり住民の職業と議員の職業が分布が大きく異なっていて、本当に住民の求めるものをやるような場になっていない、という話である。

阿久根市や名古屋市で市長と議会が鋭く対立している。阿久根市長はかなり極端なことをやっていて選挙で負けたのだがあれだけ極端なことをやっていても、選挙結果は小差である。報道では市長の極端な行動ばかりが流れてくるが、おそらく市の職員や議会にもかなりの問題があるのだろうと感じている。こういう点はマスコミの問題ではないかと思っている。

もう一つは、もっと住民投票をやるべきだ、という意見である。私の知り合いでアメリカのオレゴン州に住んでいる人は、選挙のたびにかなりの数の住民投票を同時にやっていると言っていた。その中には例えば奨学金の額を大幅に増額できるようなファンドを作る、というような話も含まれているそうである。夫婦で話し合って意見が違い二人で賛成と反対に1票ずつ入れて結局ゼロ票と同じになる場合もあるとか言っていた。

アメリカの地方議会は会議を夜やったりして会社員でも務められるようにしているそうである。地方議会のやり方などはアメリカに学ぶところもたくさんあると思う。

 


地方分権は準備が整っていないと思う

2011-01-27 09:10:46 | 社会

菅総理も所信表明演説で述べているが、ここ数年、地方分権の議論がかなり強く言われている。

私はこれまでこうした意見に漠然とした拒否感を持っていた。その理由は優秀な中央官僚でもダメなのに、質の下がる地方官僚に権力を持たせればもっとだめになるのではないか、という感じからきていた。

ここ数日、テレビや雑誌で片山総務大臣の意見を聞いてそのあたりの感じが大分確認されてきた感じがする。地方は知事や市長と言った首長と議会の2元連立性になっていてそれぞれ独立して選出される。片山総務大臣の話によれば、実権を持っているのは議会のほうだが、議会では殆ど実質的審議が行われず、殆どが根回しで決まっていて、議会は原稿棒読みと反対なしで決まってしまうのが殆どらしい。

そういう状況を熟知している知事たちが、橋下大阪府知事をはじめとして中央政府に地方分権を求めているのは、中央が地方に対して理不尽な締め付けを行っているからだということがやっと最近私にもわかってきた。その例が子供手当である。賛否両論ある子供手当を中央が勝手にやると決めて、その一部を地方で負担しろという。今いくつかの自治体が支払い拒否を表明しているが、こういうことができるようなルールになっているのが問題で国は国、地方は地方で責任を持つべきだというのが理屈のようである。

しかし、民主党政権発足当時にあった政治主導と同様に今の地方分権の流れは大きな危険性をはらんでいると思う。政治主導は官僚が狭い視野で国を動かすことの問題を指摘し、国民の代表である政治家が決断するべきだ、という意見で、一見もっともで今でも賛成意見は多い。しかし実態ではこの機会に乗じて全て自分の言うことを聞く官僚にして君臨しようという政治家が出るリスクもある。実態を知らない政治家が勝手なことをやろうとしてさっぱりうまくいかなかったというのが鳩山政権の総括と言えるだろう。

今の地方分権の話にも同様な問題を感じる。地方分権は権力の移行なので、「自分が権力を手にしたい」という人が、現状の問題点を理由にしているという側面がかなりあるように感じられて権限を移行すると却って大きな問題が出るような感じがしている。

地方分権は時間をかけてゆっくり進めるべきだと思う。


心に響かない菅総理の施政方針演説

2011-01-25 08:11:16 | 社会

通常国会が召集され、菅総理が施政方針演説を行った。私は新聞で読んだりテレビのニュースで見たりしただけだがどうも響いてくるものが無い。

演説は3つの理念を基本としている。「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」の3つである。これに菅総理の考え方の特徴が良く表れていると思う。私に言わせれば上記3点は「理念」ではなく「問題解決」である。「最小不幸社会」と「不条理をただす」はあきらかに問題解決である。人材育成で長所を伸ばすやり方と短所をなくすやり方があるが、菅総理のやり方は明らかに短所をなくすやり方になっている。「平成の開国」は少し性格が違うが、中身はTPP参加なので「バスに乗り遅れるな」的発想と見て良いだろう。やはり問題解決型でその先に何があるかは見えていない感じがする。

短所をなくすやり方は順調に行っているときは良いが、現在の日本のように社会が停滞しているときにはこれでは元気が出ない。反転して上昇し始めるというようなことは期待できないだろう。菅総理は元々理念とかビジョンとか言うのは苦手な人だと思っていたので、この演説は想定の範囲内とはいえる。しかしこれでは大きな失敗はしないのだが、これから2年半、日本がこのやり方で行くというのは長すぎる感じがする。それでも鳩山政権で作られた急落の動きは多少緩やかになってきたと私は思っている。

自民党は今選挙をやれば勝てると思っているので解散総選挙に追い込もうとしている。しかしそれでは民主党がダメだから自民党に移るだけである。自民党がダメだから民主党に政権が移ったときと大差ない。今の政治課題に対して自民党ならどうするか、を打ちださないで政権を取ってから考えるという姿勢ではしょせん長続きしないように思う。今回の国会では野党、特に自民党が何を言うか、政治を任せられるようなことを考えているかをマスコミに報道してもらいたいと思っている。

個人的には自民党の総裁が谷垣総裁から石破政務調査会長に変わったあたりで選挙になってくれれば良いと思っている。

 

 

 


第3世代移動通信の標準化(7) ヨーロッパでの対立と合意

2011-01-24 10:00:04 | 昔話

しばらく間が空いてしまったが、3G移動体通信の標準化の流れの続きを書こう。

アメリカとのすり合わせはある程度は進んだものの、「合わせよう」という合意に達するところまでは行かなかった。並行して韓国とも議論を進めていたが、韓国側はそれほど特定の技術にこだわりを見せていなかったので大きな問題にはならなかった。問題はうまくいっていると思っていたヨーロッパとの整合で起こった。

当時、ヨーロッパではFramesというR&D検討会の中でIMT2000の検討が進められていたが、その中には日本の検討会のように複数の方式が提案されており、その中で最有力と見られていたのがアルファコンセプトと呼ばれるWCDMA方式だった。これをサポートしていたのはエリクソン、ノキアといった北欧の会社だった。

それがある時期から、デルタコンセプトと呼ばれる方式がヨーロッパ内で急浮上してきてヨーロッパ域内で大議論になった。デルタコンセプトというのはヨーロッパで開発されたGSM方式をできるだけ継承しながら広帯域するような方式だった。詰めは不十分だったがGSMの延長線上というコンセプトが受けが良くて、シーメンス、アルカテルといったフランス・ドイツ勢がサポートしていた。

我々日本勢は青くなった。もしヨーロッパがデルタコンセプトのほうに流れてしまうと、また日本は孤立してしまう。ヨーロッパにアルファコンセプトを採用してもらうためにWCDMAの良さをヨーロッパのオペレータに分かってもらおうと様々な活動をした。97年の秋頃には私も何度もヨーロッパに行ってオペレータにWCDMAの良さを説明した。

ヨーロッパでは投票にかけられたがアルファが60%、デルタが40%で決着しなかった。ヨーロッパではどちらかが70%取らないと結論としないというルールになっていた。ドコモの社長がWCDMAに合わせてくれるならコアネットワークはGSMに合わせる、というような発言もして、97年末にFDD方式(上り下りは別周波数)はアルファ、TDD方式(上り下り同一周波数)はデルタ方式ということで妥協が取れ、決着した。それまで携帯電話の殆どはFDDであったので我々としては一安心だった。

この議論の過程で、ヨーロッパの議論の厳しさを私は体感した。このデルタコンセプトからできたTDD方式は、日本ではIPモバイルという会社に周波数が割り当てられたが、商用に至らないうちに会社は倒産し、周波数は政府に返却されている。


卓球の世代交代

2011-01-23 08:48:30 | 生活

昨日はテレビで卓球の全日本選手権を見ていた。私は中学、高校と卓球部に所属していたので卓球には愛着がある。今でもたまにやる事もある。

昨日、女子シングルスの決勝があり17歳の高校生、石川佳純が優勝した。見ていると腕なども細く、ひ弱な感じがするのだが反応が速いのと、サーブのうまさで勝った感じがする。若さで調子が良かったから勝ったというよりはしっかり駆け引きをして勝った感じがするので今後しばらく続くのではないだろうか。

しかし、中国選手などと比べると、非力さがどうしても感じられ、世界のトップに立つのは大変ではないかという感じがする。

男子のダブルスも行われ、これまで全日本で4連勝していた水谷、岸川ペアに、19歳と16歳の松平、丹羽ペアが勝った。特に丹羽は高校1年生であるが試合はむしろ丹羽の方が松平を引っ張っていた感じだった。女子の石川佳純は世界大会にも日本の代表として出ているので、それほど驚きはなかったが、男子の丹羽孝希は急に出てきたという感じである。丹羽は現在18歳以下の世界ランキング1位だそうである。中国が圧倒的に強い中で制限付きとはいえ世界ランク1位は大したものだと思う。

卓球は反応の速さが強さの中で大きなウェイトを占めるので10代で結構上の方に行く人が出る。しかし、本当に世界で勝つようなハイレベルになるとパワーが必要になってくる。世界チャンピオンは20代が多い。これから鍛えて行けば高校生の二人も力が付いてくるので、日本の卓球界は3年後くらいが楽しみだと思う。


海上保安庁のビデオ流出に幕引き

2011-01-22 07:23:07 | 社会

尖閣列島の中国漁船衝突のビデオをインターネットに流出させた海上保安庁の保安官が起訴猶予処分になった。同時に釈放された中国人船長も起訴猶予となり、刑事事件としての本件の捜査は終了した。何か、うやむやのままに幕引きをした感じで「これで良いのか」という思いがある。

辞職した元保安官のコメントやインタビューが報道されているが、悩んだ末に、「これを闇から闇に葬り去ることはよくない」という判断のもとにネットに投稿したと言っている。結果として海上保安庁内での大問題になり、本人も失職したのだが、謝りつつも自分のやったことは必要だったという思いが伝わってくる感じがする。この元保安官にはある種のすがすがしさを感じる。

最初はそれほど極秘扱いされていなかったので比較的簡単にアクセスできた。それがある時から秘密資料になり、職員に秘密保持の義務を負わせる。その義務を破った職員を罰したわけだが、結果としてその資料を見てしまった国民に対して「なぜこれを秘密資料にしたのか」という説明は一切なされていない。決めた側は知らん顔で、流したことだけを非難して、世論の反発が強いとできるだけ早く幕引きをしようとする、政府や官僚の体質が表れている感じがする。

秘密にする判断をした人も「どうしたらよいか分からなかった」というのが本音で、隠さないといけないという信念はそれほどなかっただろうと私は想像している。その人の判断は法に触れるとかいう話は無いので純粋な判断力の問題である。

私は会社勤めをしているときに、ある情報を話すことによるメリットもあるが、おかしなリアクションが出るかもしれないというリスクを感じて迷うことは少なからずあった。私は「迷ったら話す」を自分のルールとしていた。相手を信用して情報を共有することのメリットの方が大きいはずだ、と思っていたからである。

世の中には「迷ったら話さない」を自分のルールにしている人は少なからずいる。そのほうがリスクが少ないからである。しかし、組織全体がそういう風土になってしまうと風通しが悪くなる。たまに失敗があっても「迷ったら話す」をルールにする人が多数派になるような組織風土を作っていかないといけないと思っている。

今回の問題に関して言うとこういうことを促すのはマスコミの役割だと思う。改めてマスコミの力不足を感じる。


NECとレノボの提携

2011-01-21 11:00:38 | 経済

今朝の日経新聞の1面トップはパソコンでNECとレノボが提携して合弁会社を作る、マジョリティはレノボ、という記事だった。

私が驚いたのはその見出しの文字の大きさである。まるで大事件のような扱いだった。私自身にとってはそれほど驚きでもなく、「そんなこともあるか」くらいに捉えたので、日経の扱いの大きさでNECの底力を再認識したような気分である。NECのパソコン事業は僅差ながら国内トップなのでこれほど大きな記事になるのかと思う。

NECのパソコン事業と言えばかつては日本国内で断トツで利益も大きかった。またレノボは世界でトップだったIBMのパソコン事業を買収した中国の会社である。今回、NECのパソコン事業もレノボ傘下に入ることには時代の移り変わりを感じる。

国内のパソコン事業はどこの会社も利益は殆ど出ていないと思う。それはパソコンは比較的簡単に作れるようになって参入障壁が低いからだと思う。それでも売上金額はかなりになるので各社続けている。今回の提携で世界市場のシェアが増し、国際競争力は高まるだろうから、資本上のマジョリティは取れなくてもNECにとっては良い判断だったと思う。これで漢字文化に合わせた工夫などがうまく出てくれば、伸びる可能性もあるのではないかと思う。

今後を見守っていきたい。

 


日本と中国の都市鉱山争い

2011-01-19 08:59:12 | 社会

昨日のクローズアップ現代で日本の都市鉱山の現状を取り上げていた。都市鉱山とは廃棄物の中から金属を回収しようという動きで、循環型社会の実現の一部としても注目されている。レアメタルやレアアースと言った希少物質を取り出すには有力な手法と言われている。

昨年話題になったように中国は世界のレアアースの90%以上を生産している。それでもこのように貪欲に資源を集めている。中国はアフリカなどとも資源外交をやっていて補助金を出す代わりに資源の権益を集めるという動きを熱心に進めている。おそらく10年、20年先にアメリカよりもGDPが大きくなったときのことを想定して、そのとき必ず資源不足になる、という判断から動いているのだろう。

昨日話題になっていたのはこの日本の都市鉱山市場に中国が進出してきている、という話である。日本のごみ回収業者のところに中国人がやってきて高値で買い取っていくということである。日本の市場価格より高い(はるかに高いらしい)価格で買い取って中国まで運んで行くのだからコストはかなり高くつくはずである。それでもこういう行動に出る企業が出てくるのは、家電製品のリサイクル法ができて、家電製品をリサイクル義務がメーカ側に生じる。それに対しては補助金が出る。そこで多くの企業がリサイクルの工場を作る。そうすると工場の稼働率を上げて採算性を高めるために廃棄物市場ができる、ということらしい。

日本の活動も紹介していた。日本の場合は、廃棄物から効率良くレアアースを回収する技術を開発した、という話である。ここにも中国企業が来ていて共同事業やライセンスを求めている。日本の技術は現在の廃棄物の集まり具合ではなかなか採算が取れないらしく軌道に乗っていない。

技術開発をする日本と制度設計をする中国、それぞれの国の特徴が出ている感じがする。どちらが国の将来にうまく働くか、明確な気がする。両者の差がはっきり浮き彫りにされた番組だったと思う。


日本のスマートフォン市場の面白い現象

2011-01-17 10:46:29 | 経済

スマートフォン:携帯販売台数の48%--年末商戦

2010年12月の携帯電話契約数 - ソフトバンク首位、年間純増でも3年連続1位

上記二つは1月に入ってからの「ウィトラの眼」の記事であるがこの二つは矛盾しているように見える。

12月の加入者数増加で見るとソフトバンクがドコモの2倍程度あり、圧倒的にリードしているが、12月のスマートフォンの販売ではドコモがかなりリードしている。どうしてこういう現象が起こるのだろうか?

統計が正しいとするとその理由は、ソフトバンクは新規ユーザが圧倒的に多く、ドコモは買い替えが多いということになる。あり得ない話ではないと思う。

iPhoneのほうは企業ユーザが社員に持たせるために2台目の端末として購入しているので加入者数増加につながる。一方ドコモのほうは一般消費者が買い替えているので台数増加にはつながらないということが想像される。

企業は意思決定から実際に行動に移すのに時間がかかるのでAndroid端末を企業が導入するのは今年の後半くらいだろう。あるいはソフトバンクが戦略的に企業ユーザに売り込んでいて、ドコモはその点で出遅れていると言えるのだろうか?

いずれにせよ、スマートフォンは仕事に使えるようになってきていて、そこをどうやって攻めるかがオペレータにとって重要になってきていることを示していると思う。