今回は高い能力を持つ若い人物をトップに据えるために企業の取れる行動について考察してみる。
一番自然な手法は20歳代の若者が起業した企業が大きくなって世界的な存在感を持つような大企業に成長することである。米国のGAFAや中国のBATやHuaweiなどはこのパタンで、殆どの従業員は起業者よりも若く、トップが20歳代、30歳代でも社内的には何の軋轢もない。GAFAやBATに関しては起業家が高齢者に差し掛かってくる時期に来ており、活力が失われて他の会社に負けていくのか、何らかの手法で活力を維持していくのかが今後重要な問題となっていくだろう。
良く知られているように日本ではこのような若い起業家が作った企業が急速に大きくなっていくことができない。それは日本社会では主に高齢者が牛耳っている抵抗勢力が政府の委員会などを抑えており、新しいビジネスモデルを受け入れ難い社会になっている点が本質だと私は認識している。人工知能のプリファードネットワークスなどはアメリカや中国なら既に大企業になっていただろうが、日本の企業なのでいまだにベンチャー企業である。
しかし、トップの若返りによってパフォーマンスが上がるのなら、個別企業でもその手法を採用したところは業績が上がるはずである。以下では、現在高齢者が牛耳っている日本の大企業がどうしたらトップを若返らせることができるのかについて考察する。
・職位と個人の価値の分離
日本の企業では職位が上の人を「偉い人」と呼び、あたかもその人が全人格的に上位にあるように扱う雰囲気がある。これを「職位は単なる企業内の役割」と認識する風土を育成する必要があると思う。「さん」付けでお互いを呼び合うなどがまず手を付けるべきことだと思う。
・合議制の人事評価
もう一つ重要だと思うのは人事評価を必ず合議制で行うことである。会社員である以上、人事評価は極めて重要で、それを特定の個人に握られているとどうしても頭が上がらなくなる。私の経験では多くの日本企業で若い人の評価は合議制で決めているのだが職位が上がるにつれて合議制が少なくなり、次期社長の指名などは現社長が決めることが多いように思う。そうなると「能力」よりも「態度」が重視されることが増えてしまう。
・トップとしての能力評価
トップ人事を決めるには実績よりも能力評価が重要である。実績はどのような分野を担当しているかという運に左右される面が大きいので、そうではなく「どのような判断をしたか」を見てその人の能力を評価すべきである。それも一人の評価ではなく複数の人が「あの人は能力が高い」と評価するような人がトップとして選出されるような仕組みが必要である。そのための仕組みとして私は「合宿」が有効であると思っている。社長を選ぶには年に2回程度の役員合宿を行って議論を尽くす機会を持つべきである。2時間の会議だと、部下に命じた資料で乗り切れることが少なくないが、合宿となるとどうしても本人の考えが出てくると思う。
・社内を動かす力よりも判断力
前回書いたように社内を動かす力はどうしても経験の占める割合が大きくなる。それよりも判断力が優れた人をトップに選び、社内を動かすのは経験豊かな人が周りでサポートするべきだと思う。このような価値観は現在の社長がその気になれば社内で定着させることができるように思う。
このブログの読者に現在の役員や社長は殆どいないと思うが、そこそこの地位にある人はいるのではないかと思う。周囲と議論してみてはいかがだろうか?
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