昨日、韓国の友人が大学に訪ねてきてくれて一緒に飲みに行った。彼はサムスンの代表として日本の標準化委員会に参加していた頃からの知り合いで、一時は3GPPの副議長の勤めていた人である。現在はサムスンを退社して韓国政府の一員となっている。昨日の訪問は個人的なもので、部下を一人連れて夕方大学に来てくれて、一緒に大学の秘書の人が教えてくれた自由が丘の「松田」という小さな小料理屋に行った。鹿児島出身の人がやっているらしく鹿児島直送の魚を扱っている、ということだったがどれも吟味されている感じがしておいしかった。
政府でも通信研究開発関係を担当しているので技術の将来はどうなるかという話から、経済の話、アジアの連携の話までいろいろな話をした。その中で私が知らなかったことで面白く感じたのは韓国でもいよいよ周波数オークションが導入されるという話である。それも来月から始まるらしい。日本でも民主党政権になったときに周波数オークションの話で盛り上がったが、その後、内紛やら東日本大震災やらでこの話はどこかに行ってしまった。直接の関係者がオークションをやりたくない人たちなので、強い外圧が無いと変わらない。日本ではやるとしても4-5年先になりそうな感じがする。
国の研究機関の話も話題に出た。日本ではNICT、韓国ではETRIがその組織に相当するのだが、どうもETRIのほうがうまく機能している、というのが共通の見方である。両者の違いはETRIが実用につながる技術と将来技術の両方を研究しているのに対して、NICTは将来技術ばかりを研究している点にある。NHKが放送で企業名を殆ど出さないことに代表されるように、日本の政府は特定の企業と結び付くことに対して非常に警戒感がある。それで実用化が相当先になりそうなテーマばかりを研究する、という感じがする。批判はあっても日本のためになることならやるべきなのに批判を恐れる面が強く出過ぎている感じがする。
アジアの協力の話も出た。ヨーロッパがアメリカに対抗してまとまりを見せてきているのに対して、アジアの有力国である日本、中国、韓国はまとまる気配を見せていない。中国は自分だけで対立軸になりえると思っているようだが日本と韓国はどうするのか、日中韓の話し合いの場などはあるようだが、実態として進んでいるとは思えない。まず日韓である程度合意ができるようでないと難しいだろう、という点で意見は一致した。
美味しいお酒に、美味しい肴、そして楽しい会話を楽しんだ夕べだった。