ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

囲碁、井山名人、全冠制覇

2016-04-24 15:55:27 | 囲碁

囲碁の十段戦で挑戦者の井山名人が勝ち、3勝1敗で十段位を獲得した。これでテレビ碁などの1手1分で打つ早碁を除く7大タイトルを全て制覇した。内容も圧倒的で他の棋士はちょっとかないそうにない感じがする。日本では圧倒的な強さを示す井山7冠だが、先日アルファ碁に負けた韓国のイ・セドル九段にはかなり負け越していると思う。韓国や中国にはこのクラスが何人もいるので、以前も書いたが井山名人は世界ではテニスの錦織圭レベルとみるのが妥当だろう。

日本のタイトル戦は持ち時間が長く、韓国・中国は短めなので長い勝負になるとどうなるをを見てみたい気はする。日本のタイトル戦には中国・韓国の棋士は出られないことになっているのだが、オープンにして世界戦にするべきだと思う。7大タイトルはそれぞれにスポンサー企業がついているので、どこか1社くらいはオープンな世界戦にしないのかな、といつも思う。どうも日本の囲碁界は閉鎖的な感じがしている。

30年ほど前まではプロ棋士として囲碁を職業として生活できる人は日本にしかいなかったので日本に強い人が集まってきていたのだが、中国や韓国でプロ棋士が成立するようになると勝てなくなってきた。以前も書いたが、日本のプロ棋士が勝てなくなってきたのは勉強方法に原因があると思っている。日本では名人のようなタイトル保持者になると一人で勉強するようになるのだが、中国や韓国では強い人でも頻繁に集まって意見交換をする。オープンイノベーションにはかなわないということだと思う。

私が学生だった40年くらい前は「30歳代以下の名人はあり得ない」などと言われていた。それはノウハウを蓄積するのに時間がかかっていたからである。しかし、今は逆に「40歳代以上の名人はあり得ない」という感じに変わってきている。インターネットの普及などで情報の展開が圧倒的に早まり、体力が重要になってきているからである。日本では中国・韓国と比べるとプロ棋士の平均年齢は高い。これも勉強方法に関係があると思っている。

日本の中にも中国、台湾、韓国人の人は参加している。30年くらい前までは日本のレベルが圧倒的に高く、囲碁が強くなりたい人は日本に来て修行をして、日本のプロ棋士制度でプロ棋士の認定を受けた人たちである。古くは中国の呉清源、私より少し上の世代で台湾の林海鋒、私より若干若い韓国の趙治勲、最近では台湾の張栩などの名棋士がいる。しかし、これらの人を囲碁ファンは外国人とは見ていない。日本で活躍しているので、生まれが日本でなかったとしても日本人棋士とみなしており、中国や韓国を活躍の場としている人たちとは別の眼で見ている。大相撲で北の富士などが「日本人力士に優勝してほしい」という発言を頻繁に行い、モンゴル出身力士を別の眼でみている感じがあるのとはかなり違うと思っている。呉清源は既に100歳を超えた中国出身の名棋士であり、ずいぶん前に引退しているが、今でも「最も尊敬する棋士は呉清源」という人が、プロ・アマを問わず多いと思う。こういった点では囲碁界のほうが相撲界よりも開かれた心を持っていると思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿