ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

スマートグリッド普及のチャンス

2011-03-31 08:03:42 | 生活

地震の影響で東京電力の株価は大きく下がっており震災前の1/4を切っている。国有化も噂されるので株価がゼロ円になることを心配している人が多いのだろう。空売りもかなりあるかもしれないと思う。それはさておき、東京電力の立て直し、つまり関東地方の電力供給の立て直しには年単位の時間がかかることは確実だろう。これは逆に言うとスマートグリッドを普及させるチャンスだと思う。

私の知人ですぐ近くに住む人は家の屋根を全て太陽電池にしている。ガス会社とは契約せずに家の中はオール電化、電気供給が不足するときは東京電力から供給を受け、余ったときは東京電力に売るようにしているという。これで月々の経費がかなり下がるのだが、太陽電池の経費を回収するには10年ちょっとかかると言っていたと思う。こういう家は計画停電などには強い。殆ど心配しなくて良いだろう。

私の家は暖房も風呂も炊事もガスであるが、風呂と暖房は電気でコントロールしている。停電になるとガスは止まっていないのに暖房も風呂も使えないということになるだろう。オール電化の家では炊事もできなくなりもっと大変だろうと思う。こういう事態になると、家に蓄電池があって数時間の需要は賄えるようになっていると良いなと思う。日産のゴーンが言っていた電気自動車の電池を古くなったら家庭用の蓄電池として使い、車には新しい電池を入れる、といったアイデアが現実的なものになってくる感じがする。これが実現するのは相当先だろうが、蓄電池の接続部分を標準化するなどは始めても良いのではないかと思う。

電力が不足して、東京電力の業績も悪化するということで電気代の値上げは当然考えられる。その意味でも、スマートグリッドを普及させる大きなチャンスだろうと思う。東京電力はこれまでスマートグリッドに対しては手間がかかるので及び腰だったと聞くが、今はそうも言っていられないだろう。日本の産業界はスマートグリッドでどこを狙うか、日本の復興をきっかけとして世界に出ていくにはどういうビジネスモデルが良いか、深く検討する良い機会だと思う。


福島原発の深刻な事態

2011-03-30 08:08:24 | 社会

福島原発に東北電力からの電気が通って、内部の状況が分かってくるにつれて、事態は相当に深刻であることが分かってきている。

最近の報道では原発の外とつながるトレンチから高濃度の放射能が検出されたことと、土壌からプルトニウムが検出されたことで、原子炉が壊れていて、核燃料が外部にさらされるいわゆるメルトダウンが起こっていることは確実なようである。

それがどの程度大規模なのか、今後制御が効かないように核分裂が続いてしまうのか、そのリスクがどのくらいあるのかはまだわからないが結構リスクはあるような感じがする。日本人である私などは、最近深刻な事態であることが分かったような印象を持っているが欧米の専門家などからみれば当然この程度のことは起こっていたと想定されたはずで、最近その証拠が見つかった、という認識なのかもしれない。それが欧米の「隠しているのではないか」という見方につながっていたように思う。

私がまだ分からないのは原発と海との関係である。スリーマイルにしてもチェルノブイリにしても巨大な煙突があってそこから湯気が出ていてそれで冷却をしていた。福島の発電所にはその煙突が無い代わりに海の水で蒸気を冷やしていたと聞いているが、それならば海中にパイプが通っていてその中を水蒸気が通って冷却する、というような仕組みがありそうなものなのだが、そのような絵が出てこない。どうして原発が海辺にあるのかの理由が説明されていない感じがしている。復旧するということは外部から水を注入しなくても冷却機能が働くことを意味するはずだが、そこの仕組みが分からない。

今でも、原発関連の発表は東京電力から出ている。政府の一部である原子力保安院などは東京電力からの情報を分析しているようである。つまり対策は東京電力が行っているようである。しかし、政府が専門家を中心とした対策チームを作りそこが対策を練って、行動し、情報収集するという仕組みに変更すべきではないだろうか。

そのチームの中で東京電力の人達が大きな役割を果たすのは間違いないとしても、東京電力で閉じて行動してその発表データに周りから色々言うという状況ではなくなってきている感じがする。

震災直後に菅総理が東京電力に怒鳴りこんだことで政府が対策の中枢に入れなくなっているとしたら不幸なことだと思う。

 


あたらない緊急地震通報

2011-03-28 08:08:46 | 生活

地震があると緊急地震通報というのが出る。テレビの番組に割り込む形で出る緊急地震通報と、携帯電話に通知される緊急地震通報がある。3月11日以来、体に感じる地震は何度もあって、テレビに出た緊急地震通報、携帯電話に来た緊急地震通報などを何度か見ているが、どうも関連が薄い気がしている。

テレビには緊急地震通報が出ても携帯電話にはこない場合もあるし来る場合もある。テレビは見ていないことも多いので実際の地震との関係は正確には分からないが、少なくとも携帯電話に通報される地震通報に関しては体感地震規模との関連はかなり薄い。最大の3月11日の地震の時にはこの通報は来なかった。その後の余震では何度か通報が来たが来ない時も結構あった。そして通報が来たときの地震が大きかったかというとそうでもなく、より大きな余震でも来なかったことも何度もある。

テレビに出る緊急地震通報の場合には、テレビを見ている状態なので避難経路を考えるとかするのだが、携帯電話の場合には街に出ていたり運転していたりして、「行動を中断」したり「車を道路わきに止めて様子を見る」ことになっている。テレビでも緊急地震通報が出た場合にはそのようにアナウンサーが言う。これはかなり大きな社会的インパクトがある。それにもかかわらずそれほど大きな地震は来ない。今では、緊急地震通報が来ても、「あ、何が起こるのかな」と身構える程度の人が殆どだろう。

元々、緊急地震通報はP波(縦揺れ)とS波(横揺れ)の伝搬速度の違いを利用してP波を受けた時にS波が来ることを予測して伝えるという仕組みだったはずだが、これだけ当たらないと、皆が無視するようになるのではないかと思う。最近ではテレビに緊急地震速報が出ても携帯電話には来ないのは携帯電話会社が配信を止めたのではないかと私は思っている。

情報の発信元は気象庁だが、気象庁は本当にこの情報を発信する意味があるのか、技術がまだ成熟していないのではないか再吟味する必要があると思う。私はテレビやラジオでアナウンサーが「今揺れています」という情報のほうが信頼性が高いと思っている。


北方謙三の水滸伝、読破

2011-03-27 19:59:43 | 生活

1月に読み始めた北方謙三の水滸伝、全19巻を読み終えた。私は元々長編歴史小説が好きで、「徳川家康」「西郷隆盛」「私本太平記」「宮本武蔵」「三国志(吉川英治)」「楽毅」など色々読んでいる。塩野七生も好きで、「海の都の物語」「ローマ人の物語」等を読んでいる。

水滸伝は歴史ものというよりは中国の古典であり、それを日本語にしたものであるが、一応宋時代の歴史を描いている。ただし、フィクションのようである。北方謙三はこの中国の古典を登場人物は同じ人を使いながらも役割を変えたり、ストーリーを変えたり、別の人物も登場させたりして大幅に再構築したらしい。

ストーリーは宋の時代の政府に不満を持つ様々な人物が国の作り替えを目指して、梁山泊というところに集まり、実質的に新しい国を作り始めて宋軍と戦う話である。水滸伝はこれまで読んだことはなかったが、梁山泊という言葉は聞いたことがあって、一種のユートピアのようなイメージを私は持っていた。読んでみるとやはりユートピアのイメージがあり、梁山泊に多士済々の様々な人が集まってくるところが面白く、19巻飽きずに読み終えた。感想としては、戦いの場面が多すぎて、もっと国の運営と言った方面の苦労を描いてもらいたかった気がする。

経済的には、強力な資金源があって困らなかった、というのが現実的ではない感じがしている。それでも北方謙三の独特の語り口と「男の心」の描写は印象的である。娯楽小説としてお勧めの作品である。


下りのエスカレータが止まっている

2011-03-25 08:09:26 | 生活

我が家は東急沿線にあるので東急電車が交通手段の基本である。地震以来、全て各駅停車で運行しているので多少いつもより時間がかかるが本数は多くなってきてそれほど問題だとは思わない。

電力不足に対して東急でも様々な手を打っている。その中の一つに下りエスカレータを止めるというのがある。上りも止まっていることがあるが下りはほぼすべて止まっていると考えられる。私はこれに少し違和感を覚えている。

確かに上りのほうが疲れるのでエスカレータがあるとありがたい。しかし、ここは運動だと思って歩けばよいのではないだろうか。むしろ足の悪い人などにとっては下りのほうが有難いのではないかと思う。自分の経験でも筋肉痛や肉離れで歩行に障害がある場合には下り階段のほうが歩きにくい。下に降りるときに自分の体重が被ってくるので余計に力がかかることと、踏み外すと転げ落ちるのではないかという恐怖感があるからである。上りを止めて下りを動かすべきではないだろうか。それに下りのほうが消費電力も少ないのではないかと思う。

ここまで考えてあるアイデアを思いついた。ケーブルカーのように上りをけん引するケーブルと下りをけん引するケーブルをつないで、下りのエスカレータに乗った人の体重を上りを運ぶエネルギーにするのである。こうすると大幅に省エネになるのではないだろうか。更に考えれば下りに人が乗っていて上りに人が乗っていない時にはブレーキをかけることになるのだが、そのブレーキで発電して充電する。そしてその電力を上りの人が多い時に使うというプリウス方式をとれば、わずかの電力でエスカレータを運行できるのではないかと思う。

特許にならないかな?


東京都の水道水にヨウ素混入の発表

2011-03-24 08:41:35 | 生活

東京都の水道水から、成人の規定値以下ではあるが、乳児の規定値以上のヨウ素が検出され、水道水をなるべく飲まないように、という発表があった。水のペットボトルはあっという間に売り切れだそうで、今後も当分供給は追い付かないだろう。

政府はこのような発表をするときに、これで何が起こるか、それに対する対策はどうとれば良いかを考えなかったのだろうかと思う。当然のことながらペットボトルの水の供給は追い付くわけはなく、パニック状態になるだろう。特に保育所などの他人の子供を預かっている組織は自分でリスク判断することができないので困ってしまうだろう。政府は発表する際にその結果起こることをある程度予測し、対策を考えながら発表すべきだろう。

今朝の新聞各紙は社説のこのような趣旨のことを述べている。しかし、マスコミは報道でもう少し考えられないのかと思う。テレビ朝日を見ていたら、ヨウ素入りの水を飲むと直ちに甲状腺がんになるような報道をしている。政府発表を読みあげるようなニュースではなく、大学教授を連れてきて解説させてである。どうして「これくらいなら大丈夫」と言わないのか。別のチャンネルでは(NHKだったと思う)乳児を持つ母親がコメをとぐのにペットボトルの水を使っている場面を流している。どうしてそこで「ここまでやらなくても良い」というコメントをつけられないのだろうか。

マスコミだってホウレンソウや牛乳の問題である程度勉強しているはずである。政府に要求するだけでなく、自分たちも報道の結果起こることを考えるべきである。ペットボトルの水が不足するので今度は「心配ありません」というメッセージが流れるだろう。しかし、これは「他に解決策が無いからだ」と思われてしまう。最初の発表のインパクトは大きい。


Google-QualcommがWINTELに取って代わる気配

2011-03-23 08:42:03 | 経済

Appleは今年に入ってVerizon向けのiPhone 4とiPad 2を発売した。それを分解したレポートによると、いずれも無線チップはQualcommのMDM6600を採用しているとのことである。

それまでのiPhoneやiPadは無線チップにInfeneonのチップを採用しており、そのInfeneonをIntelが買収したのだが、AppleがQualcommに鞍替えしたことでIntelはスカをつかまされたと言えるだろう。cdma2000とWCDMAの両方に対応している点が決め手になったものと思う。

Qualcommは現在の3G移動通信に使われているCDMA方式を最初に開発した会社として知られており、CDMA技術のライセンスを大きなビジネスとしてきた。しかし、1990年前後に出願した特許はそろそろ期限切れを迎えるものが多く、新たなビジネスを開拓する必要があった。数年前からスマートフォン用のチップSnapdragonに注力し今では殆どの会社がQualcommのSnapdragonを採用している。Snapdragonはアプリプロセッサを含むプラットフォームでこれだけでスマートフォンを作れるのだが、AppleはSnapdragonは採用せずに、無線モデム部分だけをQualcommのMDM6600を採用し、アプリ処理は自社アーキテクチャののA4とかA5とかを採用している。この結果、無線モデムではQualcommが圧倒的なシェアを持ち、アプリプロセッサでもかなり高いシェアを持つことは今後確実だろう。

更にQualcommは2月のMWC'11で2.5GHzの4並列のARMを採用したチップを発表している。もはやノートPCを上回る処理能力だろう。いくらAppleが頑張っても大勢はAndroidに流れており、スマートフォンとタブレット端末の分野ではAndroidとQualcommチップが主流になり、更にノートPCの領域を飲み込む可能性まで出てきたと思う。

Qualcommはモバイルテレビの分野にも進出してMediaFLOというのを提案して、周波数ライセンスの獲得まで行っている。しかし、これは失敗に終わった。他にも新しいディスプレイなど色々やっているが失敗しそうなものが多い。新しい試みには失敗はつきものである。それでも本命のチップビジネスでは、成功をおさめている。Intelと違って工場を持たない研究開発型の会社がどこまで伸びるのか、強くなりすぎて問題を起こすのか、今後見ていきたいと思う。


関東は福島を支援するべきではないか

2011-03-22 13:30:54 | 生活

今回の地震で福島の原発が落ち着いてくるとともに、復興へ向けた動きが具体化してきた。

復興への義援金を集めたりを色々な人がやっているが、私が思うには関東地区の各都県で福島、特に原発関連の被害者を支援する活動を起こすべきではないかという気がする。それは一般の、例えば大阪の人が義援金を出したりボランティアをしたりするのと少し意味合いが違っていて、「私たちのために建てた発電所がそちらにご迷惑をかけて申し訳ありません」というような意味合いである。

関東に在住の人が頼んだわけではなく、東京電力が選んで福島に原子力発電所を作ったのは事実だが、それによる恩恵をこうむっていたのは関東地方の人達である。そして福島の人達は今回の事故で避難所生活を余儀なくされたり、牛乳が売れなくなったりしている。関東でも計画停電で色々困ったことが起こっているが逆に言うと今までどのくらい福島の発電所が我々の生活にとって重要だったかが分かったということである。

これで、原子力発電所は迷惑施設ということになって、当分新規発電所の建設は難しいだろうが、日本は原子力無しで全てのエネルギーをまかなうのは難しいだろう。原子力発電所を作るには冷却できる海の近くでしかも人口の少ないところが良いので、東京電力が作る原子力発電所が福島や新潟にあるというのは経済的合理性がある。しかし、地元民が大反対してどこにも作れない、という事態は好ましくないだろう。

援助で福島の人達が納得するかどうか、納得はできないだろうが、それでも関東地区の知事連絡会などで話し合ってはっきりと「関東から」と見える形の援助を福島の人に提供することは必要だと思う。沖縄の米軍基地もそうだが、こういう地元には迷惑施設だがどこかには必要である、という迷惑施設は他にもいろいろある。そのような場所の地元の人にはその他の地域に住む人たちが感謝の意識を持つことが必要なのではないかと思う。


根が深そうなみずほ銀行のシステムトラブル

2011-03-22 08:37:17 | 経済

ここ数日間、みずほ銀行のシステムトラブルで預金が引き出せなくなったりしている。我がウィトラはみずほ銀行をメーンバンクとしていて、家計もみずほ銀行をメインの家計銀行としているので、色々不自由がある。ただ他にも銀行口座を持っているので3月中に解決してもらわないと大変なことになるというような深刻な問題ではない。 

それでも不便なので気になって少し調べてみるとどうも相当に根が深そうな感じがしてきた。まず、この時期に問題が出たので地震との関係かと思っていたが、どうも地震との関係ははっきりしない。むしろ地震は関係なくシステムに内在していた問題が地震をきっかけに噴き出してきた感じがする。第1勧銀と富士銀行が合併したときに、富士通を入れていた第1勧銀とIBMを入れていた富士銀行での統合は難しく、結局富士通系の勘定系に決まったようである。この時に大変苦労したようであるが、発表などを見るとみずほが自分でシステムを作ったような感じである。最近では保守業務を中国にアウトソースし始めていたらしい。 

富士通のシステムをベースにしていたことや、それを自前で構築していたこと(全部自前の訳はないと思うが)、保守を中国にアウトソースし始めていたことなど色々怪しげな点があるが、原因究明は相当先になると思われる。やはり統合時点で外資系のシステムにするべきだったのではないだろうか。日本のソフトウェアを私があまり信用していないからこういうことを言うのだが、今後、原因についての発表で訳のわからない原因不明のような発表ならやはりシステムの抜本的な見直しが必要だろう。 

今後、海外展開を考えるのなら、今のシステムを改良していくのではなく、全く違うシステムをコツコツと作るべきだろう。それも海外の大銀行とコンセプトを合わせたようなシステムに移行するようなほうが良いのではないかと思う。使えるようになるには何年もかかるし、今のシステムのメンテと並行開発なので大変だろうが、今のままでパッチを当てていくよりは良いのではないかという気がする。


連合軍がリビアのカダフィー派を攻撃開始

2011-03-21 08:42:50 | 社会

日本に帰ってきたら花粉症の情報をあまり見聞きしなくなった。地震でそれどころではないのだろうか。今日は雨が降っているのだ花粉は多くないが、時期的には今が最盛期のはずである。しばらく日本を離れていて助かったと思っている。

日曜日からフランス、イギリス、アメリカの連合軍(フランスが中心の模様)がカダフィー派に対する攻撃を開始した。どの程度のものか内容はまだ良く分からないが制空権を掌握するのが目的らしい。日本政府はこの行動を支持している。

今のリビアの状況は内紛だから外から国が手を出すべきではない、という意見もある。アメリカのイラクへの介入のようなことになる、という意見である。しかし私はテレビなどを見て銀座いのリビアの状況は内紛ではなく虐殺だと思っている。国際的にもそういう認識だろうと思う。今のリビアの状況は民族対立や宗教対立ではなく、カダフィーが自分の地位を守るために反対する国民に対しては「皆殺しも辞さず」という態度に出ているとみている。そこにあるのは個人の身の安全と財産の保全でしか無い、そのために現在の地位を利用して傭兵を雇い、税金をバラマキ、武器を使っている、というのが私の見方である。かなり極端な見方かもしれないが国際社会はこれに近い見方をしていると思っている。それでも内政干渉は極力避けるべきなので慎重に行動している、という印象を持っている。

私はこの一連のリビアの動きに対する日本政府の対応が気になっている。あまりにも消極的ではないか、と思う。政府は攻撃を支持してはいるが、実際に攻撃が始まってから追認する談話を発表した程度である。欧米諸国はかなり前からカダフィー派の資産凍結を発表しているが、日本政府は何も発表していない。何兆円もの資産を持っているカダフィー一族は日本でも運用していると思われるのだが、GDP世界3位の日本が野放しで良いのだろうか、という思いである。

日本に対するリビアの影響は極めて小さいかもしれない。だがそれとは別に様々な国際的な事件に対して見識を示すことは、日本がどういう考え方を持っているかを示すことになる。遠い国の事件だから無視する、という態度で良いのかと思う。

中国はスエズ運河経由で艦隊を地中海に派遣したそうである。中国の軍艦が地中海に入るのは初めてのことだそうである。これは戦争をする目的ではなく、リビア在住の中国人の国外退去を助ける目的だそうだが、始めての地域に艦隊を入れればその他にも様々な情報収集を行うだろうことは容易に想像できる。日本政府と違って中国政府のしたたかさを感じる。